路地

2022.11.28

今日は茗荷谷まで出掛けておりました。

来年早々にキッチンの設置を行なうIさんの現地確認だったのです。

アイランドキッチンなので大工さんの作業や内装仕上げの絡みは少ないのでそのあたりの心配はなかったのですが、Iさんから搬入がなかなか大変という話を聞いていたのでそのあたりを確認に出かけておりました。

駅に降りて、スマートフォンの地図を確認しながら向かったのですが、歩いてゆけても車が通れない場所があったりして、これはこれはと頭を悩ませながらぐるりと迂回して車が通れる道を探しまして、現場に到着。それでもIさんのおっしゃる通りにトラックがギリギリ入れるかどうかの感じ。

もう一つの心配が搬入。キッチンが2階になるのですが、バルコニーに腰くらいの高さの壁ができてしまうので、今回計画している5.0ミリのバイブレーションの天板(100kgくらいになるかなあ・・。)を揚げるにはどうしようかとずっと悩んでいたのでした。設置日まで足場は残されているというからどうにか屋外から上げるかなあ・・、でもアルミの笠木を傷めそうでおっかないなあなんて思っていたのですが、監督さんと大工さんにご協力頂けて、階段をキッチン設置後に浸けて頂くことで、どうにか屋内から荷揚げできそうになったのでした。大変助かります、ありがとうございます。

あとはとても段取りよく進めてくださっておられて、配管もすでにきれいに施工されていたので、納まりの打ち合わせも終わり。平日なのに時間を設けてくださったIさんとも最終確認ができたので、これでいよいよ制作に取り掛かれます。

では、これから取り掛かりますね、とお伝えして現場を後にしたのでした。

そういえば、この場所からならば祖父母の家が近かったなあ、なんて思い出し、すこし早めに打ち合わせが終わったので、後楽園駅まで遠回りしながら帰ってみることに。

自分が中学校の時以来このあたりにはきちんと来ていなかったからなあ、こっちだっけなあ・・、と昔の記憶を頼りに歩いていきます。

子どもの頃は、夏と正月には必ずここに来てたっけ。

後楽園駅で降りてドンチャックの大きな看板を恨めしそうに見ながら、そこからバスに乗ってきてたんだよね。こうして歩くと大した距離じゃなかったけれど、当時は私とユウ(弟です)が変に道草しないように二人の手を引いて歩くのは母にとって大変だったろうから、まずはバスに乗せちゃえってことだったのかな。

たしかにあの頃はドンチャックのある遊園地と本屋さんとおもちゃ屋さんはキラキラして見えたものね。

それで、たしか公園の前のバス停で降りたはず・・っと、それらしい道を入ってもちょっと違う。
無くなっちゃったろうか‥、35年くらい前のことだからなあ。

なんて何度か行き来していると、覚えのある路地が。
そうそう、このお肉屋さんがあった。そして、お豆腐屋さんも近くにあっていつもこのあたりは油揚げの匂いがしていたような。

そして、このあたりの道路が緑色(スクールゾーン?)だったはずなのに、今はもうそれは無くなっていて見落としていたのですが、お肉屋さんのそばの道を曲がると懐かしい路地が。

ここを曲がると通称「よっちゃんイカの工場」があって、そこを過ぎると駄菓子屋を営んでいた祖父母の家に辿り着くのでした。「よっちゃんイカ」というのは私とユウの想像で、たしか酢酸のような酸っぱい匂いがしているいつもシャッターが空いてフォークリフトが中にある大きな真っ暗な倉庫のような場所があって、子供心にちょっと怖くて、危険なものを作っているんじゃないか、なんて思っていたのです。

ああ、あった。

すっかりきれいな小ぶりな集合住宅に変わってしまっていましたが、お向かいの家の表札はまだ同じ方が住んでいるようでしたし、(あの錆びだらけのトロッコは無くなっていましたが。)当時からとても古かったお隣のアパートは今も当時のまま建っていてどなたか住んでいるようでした。すてきです。

そして、祖父母の家には風呂がなかったので、泊りに来るといつもみんなで銭湯に行ってたっけ。この写真の突きあたりに行くとたしか人一人くらいしか通れないような路地になっていて、夕暮れ時にだんだんと人の顔がシルエットになってくる頃にこの道を抜けていると、自分たちがどこに行ってしまうのだろう‥、ってもの淋しい思いがしていたっけな。途中で急に開けて地佐那児童公園があったりしてちょっとびっくりして、次第に湯気が立つ路地に辿り着いて石鹸の匂いなんかしてきて、ああ、やっぱり戻ってこられたなあ、なんて変に安心したりして。

そんなふうに30分ほど散歩して懐かしく、ちょっとうれしく、淋しい気持ちになりながら駅へ向かうと、こんにゃく閻魔様もその隣の中華料理屋さんも本屋さんも当時のままで、今日は自分にとっての小旅行のような時間でした。

母が無くなって今月でもう1年が経ちました。

お母ちゃん、どうにか頑張っておりますので、ご心配なく。

ウォールナットの引き出しの取っ手

かたちを探して

2022.11.27

スワローテイルのランプ

温故知新なんていうと聞こえは良いですが、要は良いものを真似させてもらっているのです。それが突き詰めていくと自分の形へとつなげていけたらよいなと思うのですが、それってなかなか自分には分かりづらくて、もうちょっとかな、あと少しかなって言うのがずっと続いていくのです。

この照明にしてもそう。ルイスポールセンのパークフースという照明がとても美しくてこれを木製で実現したいと思った時にシェーカーのオーバルボックスをモチーフにして作ったことがきっかけです。今から8年前の話ですね。このデザインのリング部分が四角い形で作ったのは今から15年前。もうずいぶん前にことです。

先日、シナで作った食器棚などを納品したEさんから追加でご依頼頂いているお父様の為のデスクのある収納棚には、Eさんも大好き、私も大好きな好文さんの取っ手のイメージして形を作らせて頂きました。実際にどのような開け心地になるのか楽しみなのです。

タモ柾目のオーダー食器棚

うれしい成長

2022.11.27

12月で8ヶ月が経つタケイシさんの手掛けるIさんの食器棚。

みんなの教え方が上手なのももちろんありますが、この時期でここまでできるようになってくれたのはとてもうれしいことです。

2階で仕事をしていると、ワタナベ君の高めの笑い声と、タケイシさんの低めの笑い声が良く響いてきます。

(ノガミ君とヒロセ君は普通のトーンなので普段はそれほど聞こえないのですが、機械がブンブンうなっている時に大きな声が響いてきます。)

こういう状態はみんなを成長させてくれます。

うれしいではありませんか。

冬を迎える

2022.11.26

ビニルハウスに明かりが入る季節になりました。

海老名の川のそばに越して三年が経ちます。この家に住み始めてからは相模川沿いを走る自転車専用道を通って通勤していたのですが、土日になると河川敷の球場の練習に向かう親子連れで活気があふれるのですが、普段は圏央道の橋脚ばかりが目に入る少しもの淋しいと感じていたのです。道幅がきれいに広すぎて、生き物の呼吸がちょっと遠いような気がして。

でも、梅雨からこの初冬にかけてはアスファルトの上に朝顔の種がたくさん落ちているのかって思うくらいの小さな白いカタツムリやら大きなミミズやらカマキリやらカマドウマ(なのかしら)がなぜか草むらから這い出てきて路上にたたずんでいるので、それはそれで活気があるのですが。(自転車で踏んでしまわないように気が気じゃないじゃないくらいなのですが)

そのように思えるので、この寒くなってきた時期はむかしの通勤の道を通る機会が増えました。

大きな変化がないような道にも大好きだったビニルハウス(骨だけになって中に錆びだらけの機会が雨ざらしになっているやつ)も取り壊されたり、田んぼが埋められて大きな物流センターに変わってしまっていたりとこちらにも淋しい部分もありますが、あの明かりを見ると懐かしくてホッとします。

昔、ブログのどこかで書きましたが、この明かりを見るたびにイバラードの夜空屋を思い出します。

だんだんと夜の様子がシンとしてきます。

明日はハルの大事な日です。

ご飯は何だろう。

キッチンスケッチ

鎌倉から呼ぶ声

2022.11.26

ナラ柾目とステンレスの壁付けキッチン

最近は、この湘南の家を建てる方がとても増えているという話を聞いては居りましたが、いろいろな方々からお声掛け頂くこの頃を思うとそうなのだなあと実感しているのです。

最近、鎌倉で長くとても魅力的な家作りをされている技拓さんがこちらまでいらして下さってYさんのキッチンを作らせて頂いたのでしたが、その後もTさんのキッチンにご相談にいらして下さり、本日も新たなご相談に。

この頃は家を建てるための費用も多く掛かるようになりましたので、なかなかキッチンまで実現させることが難しくなりつつある状況ですが、こうして声をかけて頂けることはありがたいなあと思うのです。

今日、技拓のMさんと一緒にいらして下さったのはKさんご家族。高校生のお嬢さんも家作りに興味津々で一緒にいらして下さってお父さん、お母さんと賑やかに話が進んでいきました。

我が家はハルもチィもすくすく育ってくれているけれど、だんだんと私やアキコと一緒に行動することも少なくなったからなあ。ハルなんてなんだか貫禄があるというか、居るだけで安心感があって、アキコが二人居るような感じがするし、チィなんて話しかけても穏やかな笑顔でうなずくだけだし(言葉を発しなさい)、うらやましいなあなんて思いながら、ひとつのキッチンの情景をお渡ししたのです。

「おぉ、さすがフリーハンド。」

「これをリアルタイムで動画で皆さんにお見せしたらすてきですね。」なんておひねりの気持ちを頂いきましたが、それは照れくさいなあ。ここに来てくれる皆さんだけが見られる楽しみということで、はい、今日はこれでお開きです。

写真は先日設置したYさんのナラ柾目のキッチンと吊戸棚と、きょうのKさんのスケッチ。

実現できるように頑張ります。

おなかいっぱい

2022.11.25

朝、工房にやってくるとニォーと言いながら階段から降りてきる。

「おはよう、アイさん。」

裏庭で草をひと食みして、陽気が良い時は線路のそばに寝転がっている朽ちた木に乗っかって爪とぎして、草むらで用を足したりするのですが、この頃は草食べたらもういそいそと工房に戻っていくのです。お腹が減っているのです。

そのあとをよいしょとついていくと、ニャアアーと言いながらこちらを見てくるので、「ちょっとお待ちなさい。」と一声かけるのですが、荷物を下ろしている間もカーテンを開けている間もジーっと見つめてくるわけです。
ハイハイと古いお皿を流しに浸けて、新しいお皿にご飯を載せて皿を下に置くか置かないかのうちにもうさらに首を突っ込んでほおばり始める。
まさにほおばり始める。ヒゲやら頬にご飯のかけらが付こうがお構いなしさ。
ひととおり満足すると、ちょうど朝の陽ざしが温かに差し込む事務所の戸の外に出て、やっと毛づくろいをし始めたなぁと、思っていると、気がつくといつの間にかまたジーっと見ている。

この頃は人嫌いになっちゃったからか普段はほとんどお客様の前に顔を出さなくなっちゃったのに、この前なんて、あまりにお腹が減ったからか気が付いたら、ショールームの入り口でじっと正座していて、ちょうど打ち合わせも大詰めになって日が暮れだした頃だったので、うす暗くなった入口に堂々と座る真っ白なアイの姿を見たFさんの奥さんが「なんて神々しい姿。」とおっしゃってくださいましたが、あれはお腹が減っているだけなのです。

でも、毎日きちんとご飯を食べることができるというのは、そういう体でいられること、そういう日々を過ごせること、それだけで幸せです。

今朝も2回ご飯食べたら、もう斜面に出掛けちゃったよ。

さて、そのFさんのとても素材感の強いキッチンの形がいよいよまとまってきましたので、今日はその形をまとめましょう。

自分のことは自分でね

2022.11.24

「イマイさんがぜんぶ形を考えるのですか!」って驚かれることがあります。

昔はね、みんなに家具の形から制作まで全部を考えてもらってゆけたら、もっと楽しく仕事が進むかもしれないって考えたことがあって、2,3組のお客様の家具を当時ここで頑張ってくれていた(今は二人とも独立しちゃいましたね)タツヤ君とガク君に頼んだりしたことはありましたが、やはり取りまとめは私がしないといけない部分もあったりしたので、今は制作はみんなに任せて、設計や現調などは私自身が行なっております。

大変ですね、と言われることもあるのですが、今となっては、それが自分で行なえないようなら家具作りを仕事にしている意味がないのではないかと思えているのです。

「みんなにもっと任せたらあなたはもっと自由に動けるようになるよ。」なんてアドバイスをもらったこともあったのですが、仕事の手を広げるってことはもっと自分の思いが届かなくなるかもしれないって思えて。

昔の2,3件を彼らに頼んだ時にもこういうことを強く思ったのです。

そうすると何のために私はこの仕事をしているのだろうって。

だからね、全部自分で考えて、自分で現地を見て、自分で写真を撮るのです。

でもね、もっとスタッフが居たら面白いかもねって思ったことがありました。

良い例えかどうか分からないのですが、私「ファイトクラブ」って映画が大好きなのです。

お話や物語の考え方も好きなのですが、あの二重人格の主人公がものすごいカリスマを持った別人格の時に、それに魅了された仲間がどんどん集まってくるのですが、ふと我に返った主人公が周りを見渡すと、そこには当然見知らぬはずの人がたくさん集まっていて、自分がどう口説いたのか分からないまま彼らが慕ってくれているっているシーンがあって、ふーんって思っていたのです。

そうしたら少し前にこんな夢を見ました。

私が朝早くに工房(と言っても夢の中の会社は大きな工場になっていました)に着くと、見知らぬ青年が数名当時のスタッフたちと談笑している。

「カナイ君、おはよう。」というと「シャチョウ、おはようございます。」と返してくれるのですが、隣に立つ青年がふと「この人誰?」ってカナイ君にこっそり聞いている。

私に見向きもせずに気づくことなくお互い楽しく談笑する人たちもちらほら。

なんかその様子を見て淋しさを感じたのですが、それよりも、私の居ないところで工房内がスタッフたちがこれほど楽しそうに過ごせるような状態にいつの間にか成っていたということにうれしくなったという夢でした。ああ、仕事を広げるためにではなくてみんなで楽しくなるために人数が増えるのならおもしろいだろうなあ、なんて夢から覚めて思ったっけ。

でも、実際はこじんまりした工房ですので、これ以上広げることも難しいわけで、今のみんなで居られることが一番のベストですから、私は今日も絵を描いたり、汗だくになって墨出ししたりするのです。

こちらのイラストは、千葉でログハウスに住んでいらっしゃるUさんのキッチン。これから打ち合わせにいらしてくださいます。どんな感じにまとまるかな。

パンを焼くとき

2022.11.23

「konasalon」というパン教室をされている熊崎さん。本も出版されている先生ですのでご存じの方も多いかと思います。

以前お住まいだったお家のキッチンを作らせていただいたご縁で、我が家のオープンハウスにもいらしてくださったり、お客様が熊崎さんの生徒さんだったりと、ありがたいことに交流を続けさせていただいております。

本を眺めたり、Instagramを拝見して「いいな、いいな。」と憧れてはいる「天然酵母でパンを焼く。」ということ。

手を出せないでいる私なのですが、今のままではいつまでたっても先に進まないので、まずはパンを焼くという作業に慣れていかなくてはということで、はじめは、熊崎さんのドライイーストを使ったレシピ本を参考に作ってみました。

本は以前からずっと持ってはいたのです。
お湯を張った鍋の上で発酵させるスタイル
発酵前
発酵後。しっかり膨らむとうれしいですね
成形
ベンチタイム。手ぬぐいを使っています。
お湯のお鍋の上に天板ごと置くスタイルがオーブンレンジの発酵モードよりも気に入りました。
二か所に切り込み、を間違えて十字に切ってしまい、ジャガイモのようになってしまいました…。
久しぶりにパンを焼きましたがうまくできた気がします。自画自賛(笑)。
ダイスケさんにも「美味しい。」と言ってもらえました。

いつも発酵がうまくいかなくて、予定よりも時間がかかったりして、夕ご飯を用意する時間にかぶってしまったりと、悩ましかったのですが、お鍋のお湯の温度で発酵するアイデアは素晴らしいなと思いました。

数年以上前に出されている本ですので、「今⁉」と思われてしまうかもしれませんが、

私にとってはこのタイミングでしたので、成功しやすい方法を知ることができてわくわくなのです。

手づくりしてみてうまくいくと本当にうれしいですね。

これからも、パン作りの練習を続けていきたいと思います。

働く大人の考え方に触れる時間

2022.11.17

工房に中学2年の二人が来てくれている間に、私とタケイシさんとお昼過ぎから中学3年生の授業に。

「つながりプロジェクト」というプログラムに参加させて頂きました。

やはり話すのは難しいよね。

いろいろと考えていったのですが、すべて伝わったかなあ。でも、みんな楽しそうに過ごしてもらえたからマル。

私の経験してきたことや感じてきたことを話したり、何か体験という形にできたらと思いまして、2つのワークショップを開きました。

1つ目のワークショップは、当たり前のことだけれどすべてのものは自然の物から生まれているよ、という意味を込めて、いろいろな樹種のコースターを鉄染めする教室。それぞれの木の匂いや沸騰したお酢の匂いや鉄釘の錆びた匂い。鉄媒染液と木々が反応して、色がどんどん深くなっていく様子。色がにじむ様子やぼける様子が表情になっていく楽しさなどが分かってもらえたら、私はそれで満足。

今、中学生の子供たちのまわりには、とても便利に思えるものが身近に手に触れることができる時代。でもそれは初めからスマートフォンだったわけではなく、初めからA4の様子だったわけではなく、初めから黒字に赤いラインの入ったジャージだったわけではなく、素材があって人の手が入って初めてモノとなっていく。着るものも食べるものも住むところも全て人がひとつずつ作ってきたもので、物を作ることができる能力があるということはとても素晴らしいことで、そういうふうに工夫しながら生きていく姿が美しいのだよね、ということが分かってもらえたら大満足。

続いては、私が皆さんの家具を作るなかで感じてきた「家具を作るだけではなく、その人の暮らしを考えていくことができる楽しさ」を感じてもらえたらというワークショップ。

私はスケッチを描いて家具を表現することが多いので、そのスケッチを通じてみんなにも何か感じ取ってもらえたらなあ、という思いを込めて。

まずは立体を描く課題。スケッチを描くうえでは目に見えない消失点があってそこに向かって線をつなげていくと立体が浮かび上がってきます。という練習課題を経てもらってから本題に入ろうかと思ったのですが、このシンプルな立体を描くことがなかなか難しく、また楽しくなってしまって、本題に入ってからも、立体で表現することが重点になってしまって、本題である「形を考えてもらう楽しさや考える楽しさ」まではつかみづらかったかもしれません。

そもそもクライアント役も設計役もクラスメイト同士となると、最初っから楽しいものね。

終始笑い声が絶えない時間になりましたが、お互い話をすることで形がまとまっていく、暮らしが広がっていく楽しさが少しでも分かってもらえたらうれしいなあ。

という感じで、無事終了。

タケイシさんにも自分でこしらえたコースターを子供たちがうれしそうに絵付けする様子を見せられてよかったよかった。

最後に団体の皆さんの顔合わせがありましたが、皆さまいろいろな意義を持ってこのイベントに臨んでくださっていることが分かってうれしくなりました。身近にこんなに魅力的な人たちが居るってことを知ることができただけでも私も子供たちもすてきな経験になったと思うのです。

こういう魅力的な場を設けてくださった先生、ありがとうございました。

本当はね、この先の高校生活に向かっていくみんなに最後に言葉を贈ろうと考えていたのですが、時間切れになっちゃったので、ここに掲載。(またかい、って思ってくれた方は私たちのブログの愛読者ですね。)

【贈る言葉】(今から2年前に娘の卒業式で伝えたかった言葉)

———————————————————————–

皆さん、ご卒業おめでとうございます。

卒業証書を受け取って私たちの前で一礼していく姿を見ていると、その凛々しい姿にとても頼もしさを見ることができました。もう前に進むことを躊躇わない姿が映っていました。

皆さんはこれからこの中学校区を離れて、いろいろな方向へと将来への道を歩んでいきますね。

喜びを感じることもあれば、苦しさを感じることもあると思います。

そういういろいろな思いでいっぱいになった時にちょっと力を与えてくれるかもしれないって思えること、私が若い時に感じたことをひとつお話ししたいと思います。

今から21年前に公開された映画で「マトリックス」(知ってるかな?)という映画がありました。

当時は実写のドラゴンボール(知ってるかな?)のようだ、なんて言って楽しんで見ていた映画です。

なかなか面白いテーマの映画でしたので皆さんも機会がありましたら、見てみてくださいね。

その中の登場人物が主人公に自分の進む道を選択することを促すシーンがあるのですが、初めてそれを見た時にわたしは選択なんて当たり前のようにしていることだし、いまさら何を意識しなければいけないのだろう、とふと不思議に思ったのでした。

でもね、こうして年を重ねてみると、「選択する」ということがどういうことかなんとなく分かってきました。

私たちは毎日毎秒自分でも気づかないうちに一つの道を選びながら暮らしています。

朝起きて、トイレに行こうか、顔を洗おうか。

空が曇っているけれど傘を持っていこうか、どうしようか。

例えば、君が家の鍵を忘れたのに気が付いたけれど、その時に鞄を見返してれば、今日提出するプリントを忘れずに済んだかもしれない。忘れたために補講を受けることになったから、家に帰るのが遅くなって雨に打たれて、翌日から3日間風邪で寝込んでしまった。

こんなふうに、ひとつの選択が全く違う形で結果に表れてくることもあります。

例えば、(このお話は先生ごめんなさい。)高校2年の時に授業中にこっそり読んだ「ツルモク独身寮」というマンガがあったから、インテリアデザインという仕事があることを初めて知って、家具を作る道、家具をデザインする道に進むことができたのかもしれない。

ひとつの選択が大きな結果になることを意識していると自分に対して気持ちをしっかり持とうと思えるのです。

例えば、新しい学校に入って、同じ中学からの友人のクラスは、何人か知り合いがいて楽しそうに思えるのに、自分の周りは知らない人ばかりで、全然楽しめない。授業も思っていたよりも楽しくなくて、こんなことならもっと友達が多く行った学校に一緒に進んでいればよかった。この学校に決めたのも両親の勧めで入ったからで自分は特別ここじゃなくてもよかったのに。なんて思ったりするかもしれない。

でも、結果としてこの学校に行くことを選んだのは自分なので、このクラスの分け方になったのも自分がこの学校に入ったらそうなることもありえるのです。そういう場面に直面した時に自分が選択したのだから自分が選んだ結果に悔しがるだけではなく、自分で選んだなりの答えを探していこう、という前向きな気持ち、すなわち自分の中での責任が生まれていく、それが自分で選択することなのではないかなと思えるのです。

私が今ここにこうしていられるのも、そういう自分の気持ちに迷った時に、「でも、こういう考えでこの道を選んだのは自分だし、それならよくなるように考えないとね。」という気持ちを持ってこられたからかなと思っています。

みなさんがこれから進む道では、そういう思いで立ち止まる時が来ると思います。

そうなった時になぜ自分がこの道を進んできたのかを選んだ気持ちをはっきりと思える気持ちを持ちながら、たくましくしなやかに進んでいってほしいと思います。

———————————————————————–

3年ぶりの職場体験

2022.11.17

今日は、職場体験の日でした。コロナ禍となり数年声がかからなくなっていましたが、9月頃でしたでしょうか、茅ヶ崎市のH中学校から連絡がありました。

再び声をかけていただいてうれしいです、ありがとうございます。

そしてその後、以前チェリー材のL型のキッチンを作らせていただいたOさんのご主人からもお電話をいただいたのです。

「今度うちの息子がイマイさんのところへ職場体験に行くので、よろしくお願いします。」と。

キッチンを作らせていただいた後もクレミルや湘南T-siteのイベントにご家族で足を運んでくださっていたOさん。

小さい時に会ったことがある彼がもう中学2年生だなんて、月日が経つのは早いですね、驚きました。

そんなすてきな巡りあわせで、せっかく私たちの会社を選んで来てくださったのですから、来た甲斐があったと思ってもらえるようにしないといけませんね。

最初の1時間はショールームで座学です。会社の成り立ちや、問い合わせからお見積り・スケッチを作成し、受注できたら図面作成し、担当する制作スタッフに図面を渡し打ち合わせ。その後、必要な材料を見ながら木取り表作成して制作していく、という流れを家具やサンプルを見てもらいながらお話しします。

途中ダイスケさんには、スケッチの書き方と図面の見方を伝えてもらいました。

その後は工房に行き、実際図面を受け取ってから製作スタッフがどう動くのかを木工機械それぞれの説明を受けながら動いていきます。担当は主任のノガミ君です。

ノガミ君は教えるのが上手で、新人スタッフに教え慣れているのもあるのかもしれませんが、

作業内容だけでなく、「この作業をするときはこういう姿勢でやると効率がいいです。」と細かく伝えてあげていて、小さなことなのですが、そういうことを知っているかいないかで、取り組みやすさが変わる大切なことだと思います。要領というのでしょうか。

自分がお料理教室に参加した時も、そのメニューの作り方よりも、「こうするといいですよ。」というレシピには載ってないプチアドバイス的なものの方が意外と頭に残っていて役に立っていますので。

実際にO君とK君が行った作業は、

・図書館の検索台の幕板部分の部材の磨き作業、(注:仕上がりには問題がないようにしています。)

・パネルソーを使って木材を切ってみる、

・トリマーを使って背板の配線穴の加工とその磨き、

・削り出してある好みの樹種のコースターの磨き、オイル塗装。

15時まででしたので、結構しっかりみっちりの内容でしたが、2人とも「すごく楽しかったです!」と布にくるんだオイル塗りたてのコースターを抱えて帰っていきました。

楽しいと感じてもらえてよかったです。お疲れさまでした。

指導を担当してくれたノガミ君に感想を聞くと、「今回の子たちはやる気を感じる子たちだったので教えがいありました。」とのことでした。そうなのですよね。

職場体験は第三希望まで書いて提出し先生に割り振られるそうで、木工は人気がない方なので、第一希望ではなく来ることになった子が今までもいると思います。でもそんな子たちでも、「やってみたらちょっと楽しかった。」くらいの感想を持つ機会になってくれたらうれしいですね。

「やっぱり木工は興味が持てない。」という感想でもいいのです。自分には合わないと知る機会にはなったのですから。進路を決めるうえで大事な経験です。

その人の視野が広がる機会になったのならうれしいです。

O君は「将来大工になりたいと思ってます。」としっかり伝えてくれました。

大工さんってお家でも何でも作れてかっこいいもんね。楽しみですね。

職場体験をしに来てくれて、ありがとうございました。

タモのペニンシュラキッチン

タモのペニンシュラキッチン

2022.11.15

タモのペニンシュラキッチン

昨日から引き続きヒロセ君とノガミ君に作業を進めてもらって、日が落ちる前に作業が完了したKさんのキッチンとバックカウンター。

今回は万代建材さんの幅が広くて動きがダイナミックなタモの単板を選んでもらって作った突板です。

とても良い表情。こういう濃淡がよく現れる形はとても美しいですね。

ここからKさんご夫婦で塗装をしていくので、またこれから表情が変わります。

ところで、最近よく採用される食洗機がこのリンナイのフロントオープンタイプ。今まではドアパネル型しか見かけなかったのですが、縁が隠れるドア面材型が出ているので、このようにすっきりとした納まりになります。

ただ海外製の食洗機と違って食洗機下で配管を結ぶため、設備屋さんとの連携が必要なので、いつもご協力くださる工務店さんにはとても感謝しております。

おかげさまでこうしてきれいに納まりました。

おやっ

2022.11.14

今朝は埼玉のKさんのキッチンの設置工事です。制作を担当したヒロセ君と今回はサポートのノガミ君と私とで出発。

キッチンとバックカウンターがあるので、量的に1日で終わるかどうかが微妙なので、泊まり込んでの作業になります。

「あのあたりはなぜかジンギスカンのお店が多そうなのですよ。」とヒロセ君。

もともと食に関する道を仕事にするかどうかを考えていた彼だけに抜かりないね。

Kさんご夫婦はお二人とも設計士さんということもあり、今回室内の仕上げを部分的にお二人で施工もされるということもあり、朝早くから私たちの搬入にも立ち会ってくださいました。

段取りよくして頂いたおかげで、荷物を置く場所もご用意頂けましたので、搬入はスムーズに終わって、納まりの確認も終えたら、私は先に戻らせてもらいます。

工房に戻ると、ワタナベ君とタケイシさんが作業をしております。

「おやっ、そうか。」

ワタナベ君が塗装をしていてタケイシさんが向こうで加工をしている。

今までだったら、「塗装があるならタケイシさんだね。」というように入社して間もないスタッフの作業というと研磨、塗装、プレスと言ったパートごとの作業ばかりになるのですが、もう彼女がここに来て半年が過ぎました。

のみ込みが良いこともあって、みんなからのアドバイスもありましたが、すでに自分で2台ほど家具を仕上げてくれています。

今回もノガミ君の提案で、彼女にはちょっと大きな食器棚を任せたいとのことで、今回はIさんの食器棚を手掛けることになっています。

そうかそうか、もうみんなの手伝いではなくて自身の家具作りができる頃になったのだなあと、ふと塗装をするワタナベ君を見て思ったのです。

下準備

2022.11.13

今日は予定を入れていない日曜日。

だから、アイにはすまないけれど少し遅れて工房にやって来たわけですが、お腹が減ったからどうにかしろと、朝からやかましい。

とりあえずおなかが満たされて満足気な顔の彼がどこかに出かけたのを見計らって、木曜日の準備をしなければ。

木曜日には町内の中学生二人が三年ぶりに職業体験で1日仕事をしにやってくるのですが、それは例年やっていたようにきちんと仕事をしてもらって、という段取りは付いているのですが、今回縁あってもう一つの中学校から「イマイさんに講話をしてほしいのです。」という相談を頂いたのです。

町内の中学三年生が卒業に向けて、地元で活躍しているいろいろな人の話を聞くことで自分自身の生き方を見つめるきっかけになってほしいという取り組みで始めたプログラムだそうで、10年ほど前から行なっているのだそうで、「実は、以前にも同じお願いをするためにイマイさんのところにお邪魔させて頂いたのです。」と先生。

そういえば父が学校の子供たちに話をしたって言ってたっけ。

話好きな父ならうってつけなのでしょうけれど、口下手な私に務まるのかどうかも分からないのですが、うっかり(笑)「はい。」とお返事してしまったものですから、その準備をしないとね。

話すことは上手じゃないから、何か経験しもらいたいと思いまして、2つほどワークショップを行なって感じ取ってもらえたらよいなと。

と、計画したのは良いのですが、なかなか大変そうで、うまくいくかしら。

ひとまず準備が整いました。

炊飯器収納

2022.11.12

Homify さんに掲載していただきました。取り上げてくださりありがとうございます。

掲載されていた写真が私たちのページの写真のはずなのに、ピンポイント過ぎて、どなたの制作例のお写真なのか私には探し出せずにいたのですが、ダイスケさんは、「これ、Uさん家の写真。」とすぐにわかって、さすがだなと思いました。こういうクイズなら、東大王にも勝てるだろうなと思います。(東大王さん達はまず私たちのこと知らないですね、失礼しました。笑)

今回の記事は、「あなたの住まいをスマートハウスに変える13の方法」という記事です。

スマート家電を利用すれば、携帯のアプリを利用して、暮らしに関する様々な操作ができるようになって便利、という内容でした。海外ではどんどん進んでいるそうで、私たちの暮らしも変わっていくのでしょうか。自分が中学生くらいの頃は、1人1台携帯電話を持って生活するなんて考えられなかったですから、10年後くらいには当たり前になっているのかもしれませんね。

ただ、「いくら便利でも、そこまで携帯のアプリで管理していきたくない。」と好みが分かれそうですね。私も今はその考えです。ただ、考え方は様々な出来事で変わりますから、選べる選択肢が増えているということはよいことだと思います。

また、掲載されている炊飯器収納の写真を見て、「おや!?」と思われた方がいらっしゃると思います。

横の部分にレールが見えていますね。最近おつくりしている炊飯器収納では、見えないように下側につけるソフトクローズのスライドレールを使う場合が多いので、見えないようにもできます。

スライドレールの金具は、デザイン・見え方・必要な高さ・強度・使い心地・価格など様々な特徴があります。お打ち合わせの時に、お客様と話し合って決めていきますので、ご安心くださいね。

今回掲載させていただいたのは1枚目が、Iさんのキッチンバックカウンターの炊飯器収納のお写真です。お作りしたキッチンの詳細が気になる方はこちらをご参照ください。

2枚目が、Hさんの食器棚の炊飯器収納のお写真です。マンションをリノベーションされた際に、L型キッチンの後ろ側に作らせていただいた食器棚です。そこに必要なものをコンパクトにまとめた形になりました。詳細が気になる方はこちらをご参照ください。

タモ板目のキッチン

2022.11.11

普段お世話になっている設計士さんのご自宅のキッチン。

相模原のこのあたりは畑に囲まれたとても静かな場所ですぐ近くには小学校もあるせいかまわりも若い世帯が多いようで、とても暮らしやすい町に思えます。

少し行ったところには、先日、柚木さんの展示会場だった女子美術大学もあって、気持ちにゆとりが生まれる空気が流れているのでしょうか。

そういう大らかな場所に作ったキッチンの木目も大らかなタモの板目。

最近はこういう大きな単板を使って作ることが多くなりました。その方がその表情がよく分かって見ていて楽しいと思えましてね。

昨日はお天気にも恵まれて、制作を担当したワタナベ君と最近は月に5日間ほど手伝いに入ってもらっている元スタッフのコバヤシ君とで、搬入を行ないましたら、汗が止まらないくらいの良い陽気でした。少し時間は掛かりましたが無事に完了いたしました。

よい印象になりました。

猫と暮らす家具

2022.11.09

猫と暮らす方々の家具作りというと、私たちの工房には常にいつも猫の誰かが居りますので(今はアイです)、猫の性質については一家言あるかどうかは何とも言えないところなのですが、こうして時々猫にまつわる家具の相談を頂くことがあるのはうれしいことですね、アイ。

今までにも、

7匹(だったかな?)のネコと暮らすOさんの食器棚「ネコ寄り

これからいっしょに暮らすであろうネコとの暮らしを想定して作った仕事部屋「猫との暮らしはこれから

ロフトに上がる階段が実はネコの文化空間だった「ネコ階段

「収納というよりはまさにネコ階段を作りたいのです。」というお話で実現したあらたな「ネコ階段

2匹(だったかな?)のネコが我が物顔で入り込むキッチン「森のキッチン

テレビボードと壁面収納とネコ階段がくっついた「ネコ階段にもなる収納

3匹のネコが入り乱れる空間にその子たちのために木工教室でエサ台も作ったHさんの「hop step

などなどいろいろと作らせて頂きましたが、今回の形は今までにないほど複雑な形だったのです。

デザインは猫と建築社さん。猫と快適に暮らす空間を提案されるということで、ヒトよりもネコさんメインになりつつある大きなプレイグラウンドのような空間ができあがりました。

ちなみにベースの樹種はタモのホワイトオイル仕上げで、ハウス部分は白くウレタンで塗りつぶし、スロープは、タモ、ナラ、ブラックチェリー、アルダー、ブラックウォールナット、クルミでスロープごとに樹種が切り替わっているのです。

人も猫もゆったりできて、楽しめて、というコンセプトでできあがったこの形ですが、あとは、はっちゃんが気に入ってくれるかどうかですね。

段付きシンクにまな板を

2022.11.08

ショールームのL型キッチンのシンクは段付きシンクです。

段付きシンクを選ばれる方は、水回りの作業スペースの確保ができるパンチングプレートなどを置く方が多いですが、
中村好文さんのキッチンのように、まな板を置くこともできますよ、ということで、タケイシさんに作ってもらいました。セン材のものです。きれいですね。

蛇口のすぐ下に置いて、水を流しながら作業する、お魚を捌くときなどには特に便利なのではないかと思います。
ただ、その使い方をされる場合には洗剤ポケットにしない方がよいのかなと思います。
水流で汚れが洗剤ボトルやスポンジに落ちないようにするのは難しいと思われますので。(吐水の位置と利き手や使う向きを考慮すればよいのかもしれませんが。)

お魚売り場で、買う予定はなかったのですが、小さいパックにぎゅうぎゅうに入っている豆アジの姿を見ると心苦しくて、変な使命感が沸き「君たちの命、ありがたくいただくよ。」と購入して、40匹位を捌いて、1日目唐揚げ2日目南蛮漬けで食べているのですが、
その時には、こういうシンクなら作業しやすかっただろうなぁと思っています(笑)。

キッチンのシンクの形をどうしようかなと悩まれている方に、ひとつの意見としてご参考になればと思います。

古知屋恵子版画展へ

2022.11.04

毎年この時期に茅ヶ崎に観に行っていたのですが、昨年は足を運ぶことができなかったので、ダイスケさんと一緒にお出かけしてきました。

Instagramを始められて、フォロワー数もあっという間にうちのアカウントを追い抜かれて(笑)、「ああ、古知屋さんが手の届かない人なってしまったよ~。」と思っていたのですが、

「あっ、今井さーん。」と、いつもと変わらない古知屋さんが会場にはいらっしゃって、とてもうれしかったのでした。

作品も、今年は題名の下に、コメントも書かれていて、より作者さんに近い視点でその作品を観ることができたようで、見ごたえがありました。

そして、実物の持つ色の濃淡というのでしょうか、画像で見たことはあっても、やはり実物の美しさには叶わないよなぁと思いました。すてきでした。

今年はほかにも新しい試みをされていました、「こっちいみくじ」です!

ダイスケさんと引いてきました。その場で、中に書いてあるコメントを古知屋さんが読み上げてくれました。JOKER書いてありますが、「過ごし方」のアドバイスとイラストが1枚1枚手書きで書いてあります。良いアドバイスととるかどうかは本人次第ということだそうです。

私は、背中を押してくれるいいことが書いてあったと感じたので、お守りとしてお財布の中に入れて置こうと思います。

古知屋さんとは同い年で、子供が生まれた年も同じなので、「もう18歳だよ~。」なんて話でも盛り上がりました。

昔からの知り合いが元気で過ごしていてくれて、こうして会ってお話しすることができると、本当に元気をもらえますね。

「古知屋恵子展示会ツアー2022」、茅ヶ崎は今週末の11月6日までですが、ほかの場所ではまだまだ続きますよ。

興味のある方は、ぜひ、足を運んでみてくださいね。

古知屋恵子さん情報は こちら

針葉樹合板のキッチン

2022.10.31

あまり家具材としてはなじみの薄い針葉樹合板というものを使ってキッチンを作らせて頂きました。

もともと建築の下地材で使われることの多い材を表面に持ってくるとこのように大胆な仕上がりになりますね。

周りを見てみると、レンガやシナ合板などもとは下地として使われていた材でもその表情の良さに気づいて仕上げ材として使うことは良くありますものね。

最近では、節のある板をあえて表情に見せたり、さらには木の反りさえ楽しんだり、また、鉄を酸化させた表情を楽しんだりと、手の跡や素材の動きそのものを表現する家具も日常的に増えてきました。

私が家具作りを始めたこととは違うのだなあとあらためて気づかされます。

その針葉樹合板の積層の木口と、引き出しなどの表面にはツヤの抑えられた細かいエンボス仕上げになっているメラミン化粧板を使い、その対比を楽しむというキッチン。

設計士さんのご自宅になるのですが、いろいろなアイデアは私たちにとって新鮮です。

休日はキッチンで過ごしました。

2022.10.29

コンロが汚くて失礼しました…。
飯高さんのお皿でベーコンとほうれん草のスパゲッティのお昼です。

先日、NHKの「シェフの休日 とっておきの時間」という番組を観ました。

前の週の落合務さんの回も、本当に料理がお好きなのだなとわかるとてもすてきな内容でしたので、今回も楽しみにしていました。

お料理のプロの方の自宅のキッチンを使っている様子が見られるのは興味深いですよね。

今回の古澤一記さんのご自宅も、イタリアに滞在中の暮らしを再現したという、あまり目にしない、キッチン全体が古窯レンガのようなタイルに囲まれた、石と木を使ったキッチンが使い込まれている様子がとてもかっこよかったです。飾りではなく、それぞれが必要な暮らしの道具だからここにあるという存在感というのでしょうか、すてきでした。

さらっと作られるお料理の数々もシンプルなのですが本当においしそうでした。

ダイスケさんには再放送を録画してもらうことにして、私は影響されやすいので、お休みの日にさらっと何かを作っている風に過ごしてみたくなりました。

プラスドゥのガステーブルのグリルのダッチオーブンを普段あまり活用できていないので、機器説明書についていたレシピでパンを焼いてみようということになりました。

最初にお水と強力粉だけでこねて1時間置いておくという経験したことのないレシピでしたが、ダイスケさんが、うどんができるのでは、というくらい力を込めて捏ねてくれました。

そして夕ご飯は、ハルのリクエストで「ヨルさんのシチュー」を作ることにしました。

「SPY&FAMILY」というアニメを見ているのですが、先週のエピソードが、お料理が苦手なヨルさんが、お母さんの思い出の味を再現しようと奮闘するお話で、心惹かれ、私も食べてみたくなったのでした。

今の世の中、同じことを考えて、再現しようとレシピを載せてくれる方がいらっしゃるので助かります。私は「マンガ食堂」さんのレシピを参考に作らせていただきました。

パプリカパウダー・キャラウェイシード・マジョラム…、普段使わないスパイスを使って嗅ぎなれない匂いにキッチンが包まれると出来上がりが心配になりましたが、トマトシチューというのでしょうか、おいしくできました。食べなれないものにあまり手を出さないチイも「おいしい。」と食べてくれました。

(予算の都合上、牛塊肉から、合いびき肉のハンバーグに変更しましたが。)

パンもうまく焼けました。ダッチオーブンでパンを焼くのもいいですね。普段は電気オーブンを使っていますので、ガスを使ってパンを焼くことって怖い感じがあったのですが、これならできそうな気がします。

目玉焼きを載せるのが特徴だそうで、いつもの食べ方とは違いおいしかったです。ダイスケさん帰宅で3回目の温めなおしなので、汁気がなくなってしまいました…。

パンは目が詰まったフランスパン風というのでしょうか。成功なのかわかりませんが、おいしかったです。

気が付くと、私の知る限りでは、「すてきな暮らしをしている人はおいしいものを知っている人」が多いです。「おいしいものを知っている人がすてきな暮らしをしている」のでしょうか。

どちらかはわかりませんが、自分もそういう暮らしをしていきたいです。

そして、そういう暮らしをしていきたいという方々のキッチンづくりのお手伝いを、これからもしていけたらいいなと思います。

インターメーベルに寄せて

2022.10.29

昨日はノガミ君とタケイシさんとで、Nさんのお宅に食器棚の納品に伺っていたのでした。

築40年くらい?とおっしゃっていたかな。

部分的にリフォームをされて暮らしているという中で、「キッチン周りだけは仕事が忙しくてなかなか整理ができていなかったのです。」ということでだんだんと積み重なったものたちが場所を閉めておりました。

最初はこの食器棚の左下の引き出しだけを作るご相談を頂いてお邪魔したのですが、そのキッチンの様子を見て、またもともと使われていたビクターのインターメーベルというシリーズの当時のモダンな印象が残る食器棚が置かれていて、「このインターメーベルはね・・」と話すNさんの様子がとてもこの家具を愛おしく思っていることがよく分かりまして、この場所とこの家具をうまく活かせたら良いな、と思ったのでした。

なかなか物が多いと、なぜこれがここに置かれているのか、これを普段どのように使われているのか、というお話から始めることになるのですが、いろいろと聞いているうちにNさん自身でもどういう暮らしかたにしていきたいかというイメージがまとまってきまして、せっかく作るなら、少しでもカウンターを広く採って、上に積み重ねていたものを上部の空間を利用して収納できるようにということで、今回この形が実現しました。

なので食器棚の天板はちょっとL型に変形した変わった形をしていて、吊戸棚も上から物が落ちてきて危ない部分は扉をつけて、日常使いする部分はオープンで、というメリハリをつけた形になりました。その色も真っ白ではなく、少しグレイジュ掛かったホワイト、というマットな化粧板で作ることに。

ところで今回制作を担当したのはタケイシさん。入社して半年が過ぎて彼女自身仕事の飲みこみが早いこともあって、この家具はほぼ彼女自身が手掛けております。

やっぱり自分が作った形をその人に直接届けることができるってうれしいですよね。

彼女自身もうれしそうに作業を報告してくれました。

昨日のEさんもヒロセ君とタケイシさんの様子を見ておっしゃっていました。

「楽しそうに仕事ができるって、本当に良いことですよね。」って。

シナの食器棚とリメイクしたリビングボードとデスク

2022.10.28

先日家具の取付が完了したEさんのところにご挨拶にお伺いしてきました。

取付当日は、制作を担当したヒロセ君が帰ってきた時に言っていたけれど、お引越しと同時だったので、家具の取付が完了した様子をきちんと写真に撮れなかったということで、どのように納まっているのが今日あらためて確認できたのですが、どの家具もとても良くまとまっていました。

このリビングの家具とご主人の書斎のデスクは16年前に今は地元の福岡で頑張っているカワグチ君が制作した家具(show time)なのです。

それをこの新たな空間に合うようにヒロセ君にリメイクしてもらったわけですが、リビングのフィラーも使えなくなってしまった扉を加工して作ることができたので、とても一体感のある形になって、天板と吊戸棚は新しく作ったのですが、その対比もとても心地よく、さらには打ち合わせの中では一番シンプルに進めていたデスクが実はもう今回の家具の中で一番良いのではないかというくらいとても良い印象になっていました。16年使ってきてできたツヤの感じやウォールナットが色が抜けて赤くなった様子など時間が経たないと出てこない良さが今回のコンパクトな形にしたことで、これほどきれいに表現されていることに自分もビックリ。

まだ真新しい顔をした食器棚や吊戸棚も次第にEさんがきれいに色を付けていってくれるのでしょう。

楽しみです。

そんな家具のお話と共に取付に入らせてもらったヒロセ君とタケイシさんの師弟コンビのまろやかな空気をEさんが絶賛されていて、私たちの仕事への向き合いかたをこうしてストレートに褒められると照れくさいのでした。

折り畳み水切りラックを使ってキッチンの作業スペースを確保

2022.10.28

我が家もそうなのですが、アイランドキッチンは、水回りスペースの確保が難しく感じることがあります。ペニンシュラキッチンや壁付キッチンも同じでしょうか。

お家づくりは、土地の条件で間取りが決まっていく場合が多いですから、すべてを叶えることは難しいですね。

お料理の始まりは、材料を洗って、切って、という下ごしらえですよね。ボールやざるに入れて置いていきますが、まな板の周りのスペースというと、結構限られてしまい、キッチンの上がいっぱいになってしまいます。後ろのカウンターに置けばよいのですが、いくら水切りしていても、床に水分は落ちてしまいますね。無垢材の床だったりすると余計に気になります。

洗う時のことを考えると、シンクは大きめの方が使いやすいので、悩ましいです。

そういう時に役に立つのが、色々考えて作られてるキッチンアイテム達です。

今回使用しているのは、キッチンを作らせていただいたお客様のお宅訪問をさせていただいた時に教えていただいた水切りラックです。

ショールームのキッチンシンクに合うサイズは、Re:CENOさんで販売されているtowerの折り畳み水切りラックでした。色は黒と白の2色ありました。オリーブグリーンの御影石に合わせて黒にしました。

オーダーキッチンにされる方はシンクが大きめなので、長さが55~58㎝はないと届かないと思われます。

幅は26㎝ありますし、水が入ったボールを置いていても安定していましたので、調理中にこのスペースができるだけでも、とても助かりますね。

洗剤ポケットの上も渡せるので、洗剤ポンプの頭が飛び出ていない方は使いやすいかと思います。(飛び出ていても、その時だけ避ければ使えますしね。)

使い終えたら、洗って水切り籠に斜めにしておけばよいので、場所も取らないのが助かりますね。

商品紹介ページでは、お皿を立てて干されていましたが、バランスよく立てて置いていかないと、大きさによっては、浮いてひっくり返ってしまうので、少量を伏せた形で使う分にはいいかなと思いました。

購入してからは、ショールームのキッチンに常に置いてあるのですが、先日打ち合わせにいらしていただいたお客様にも、「こういうものがあるのですね!どこのものか教えていただけますか?」と言っていただけました。

「オーダーキッチンなら、段付きシンクにして、水切りプレートを付ければいいのに。」という意見もあるかもしれませんが、高価になりますし、お家づくりは予算の中から優先順位を決めて割り振っていく作業の連続ですから、

こういうアイテム一つで「あきらめなきゃいけなかった。」という思いから、「この方法を知ったから、こっちに予算をかけられた。」という感じに、よりキッチンを使いやすくしていけるようにご紹介していけたらいいなと思っています。

Hさん、こんにちは。

2022.10.23

こんにちは、Hさん。

4か月ぶりにHさんのところに。

言葉で言うと平坦に聞こえてしまうのですが、とても丁寧に暮らしている様子がよく分かりました。ひとつずつの仕草にその様子がよく現れておりました。

ビールを飲もうとして、グラスを持ったままの手でキッチンの灯りを消そうとトグルスイッチを下げようと力を入れたら、思いのほかスイッチが固くて、力んだらグラスをつかむ力が緩んでしまってグラスがそのまま落っこちちゃって派手にガラスが飛び散ってしまって、せっかくの団欒のひと時が少し淋しくなっちゃうようなことはないのでしょう。(笑)

「ダイちゃん、大丈夫?」ってアキコが気を使って声を掛けてくれたのに、何だか気まずくてブスッとしてしまうようなことはないのでしょうね。(笑)

お手入れの方法をお伝えして、写真を撮らせて頂いた後にこの家ができるまでの楽しさや大変さをあらためていろいろとお話しさせて頂きました。

Hさん、心安らぐ時間をありがとうございました。

施主様が設計士さんや私たちのような作り手とその思い出を共有できるのはとてもすばらしいことです。

また何かあればいつでもお声掛けくださいね。

ありがとうございました。