干しブドウカレー

2017.12.13

2017121300120171213002201712130032017121300420171213005「ちょっと変わったカレーですが、召し上がっていってください。我が家の昔からのレシピなんです。」
と、Fさんが作ってくださったのは干しブドウカレー。スパイスの後から甘みが出てきてとても美味しく、「良かったら」ということでたっぷりおかわりさせていただいたのでした。

「家全体の間取りをかんがえたりするときには、これからの家族の形や暮らし方といった先の事に目がいっていましたが、なぜかキッチンのことを考え始めると、子どものときの思い出が広がって、後ろにおいてきた時間が戻ってくる感じになっています。
そんなことで、あれこれ揺れてしまって少し不安になっていましたが、「いろいろな思いでいろいろ形を迷いながら最後に一つの形に辿り着きます」というお言葉に、その揺れている時間自体を大事に思えました。有難うございます。」
そうですね、その時間は本当に大切です。
人が前に進むには、大きな目標に向かい続ける力も必要ですが、今までいろんな人や場所や時間に頂いた大切にしておいた気持ちに後押ししてもらって前に進める力にすることも大事です。
でも、私が今でもよく覚えている台所の思い出は、いつまでも甘ったれて「シャツのボタンを閉めて。」と母に呟いたら、「もう一人でできるでしょ。」と、夕飯の支度をしている母が大きな声で怒りながら、野菜を洗っていた手の水をピシャっと顔にかけられたことかな。あぁ、いつまでも甘ったれじゃいけないんだって、その時思ったのでした。
それから、両親が不在の時に友達と二人で、千歳飴食べようとして包丁で切ろうとしたら、手が滑って指をざっくり切っちゃって、血が止まらないよう、と焦ったことかな。
それから、昔は台所に湯沸かし器があって、お湯のレバーをひねるとボゥっと大きな音がして、湯沸かし器の中に青い灯がともるのを、じぃっと見ていたこととか。
子供の時の記憶は、やっぱり今でも鮮明でそれが今も時間を形作っているっていうのが良く分かります。
上の思い出が今の私に生かされているのかどうか、良く分かりませんが・・。(笑)

「せっかくオーダーするのに隠れたところにキッチンを作るのは、と設計段階では迷いもあったのですが、母の台所も祖母の台所も独立型でしたので、ちょっと離れているところにこもっている母や祖母の気配、包丁の音、ゆっくりとどくお料理の匂い、そういう気配がよかったな、と、そういう感じを娘たちにも伝えらえるといいな、と。仕上がってみて、基地みたいな感じがして、とても気に入っています。
堂々とリビングの真ん中にあるキッチンも素敵ですが、ちょっとひっそりしているキッチンも、お台所、という感じ、特に、イマイさんの作品だからこそ、この雰囲気がでるんだと嬉しいです。
イマイさんのパンフレットを手にした日から、ずっと憧れていたキッチンが目の前にあることが、なんとなく最初、現実味がなくて、夢心地だったので、たぶん、イマイさんにも、作ってくださったコバヤシさんにもちゃんと言葉で表現できていなかったですが、いまはこんなふうにうれしさがこみあげています。」

Fさんとのキッチンのやり取りはこんなふうに楽しかったのでした。なんとなく空気が似ているというか。
今日あらためてお招き頂きまして、写真を撮らせていただき、お昼ご飯までごちそうしていただきました。
目を少し悪くされているFさん、棚下照明がちょうどまぶしい位置になってしまったということで、面白いものを作らせていただくご相談も。
これがまた楽しそうなのです。
来年になってしまいますが、楽しみにしてお待ちくださいね。
今日はありがとうございました。

お味噌作り

2017.12.13

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「今度みんなでお味噌作りをするのですが、場所をお借りすることってできるのでしょうか?」と地元のお母さま方からお話をいただいたのです。おうちパンの様子を見て、私達のことを知ってくださったのだそうです。
打ち合わせなどで使っていない時ならどうぞどうぞということで、今日の午後は1階では家具・キッチンが、2階ではお味噌が作られていたのです。いいですね。おそらく初めてショールームが大豆と麹のいい香りで満たされました。
両親の田舎の岩手からおばあちゃんが作ったお味噌が時々送られてきたことを思い出します。色が濃くて、しょっぱくて、大豆の粒が大きくて、香りが濃かった気がします。それをつけて焼く焼きおにぎりがすごく美味しかったことを思い出しました。
みなさんとても楽しそうに作業されて、美味しくなるといいですね。
いつか「フリーハンドイマイさんで仕込んだ味噌は一味違っておいしいんだよ。」なんて言われるようになったらうれしいですね(笑)。
ご近所の方で手づくり味噌に興味のある方は代表の方を紹介しますので、ぜひお問い合わせくださいね。
私も次回は参加させていただこう!

kissakocookingへ行ってきました。

2017.12.12

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1日3食、台所に立つのがおっくうに感じる時もあるのに、料理教室に通いたくなる気持ちはなぜなのでしょう?家族みんな食いしん坊だからかな。
今日はお休みをいただいて、念願のKissakocooking のママクラスに参加してきました。お正月のお節料理のレッスンです。嫁いだ時に母から習ったものの、確認しても、母も作り方を変えたりしていて…。年に1度しか作らないから、「こんな感じじゃない?」と、大事なごちそうなのに曖昧になっていた部分がありました。レッスンのお陰で今年はちゃんと「ハレの日のごちそう」として準備することができそうです。 セイコ先生ありがとうございました!また次回お会いできる時を楽しみにしています!
instagram : @kissakocooking

イベント「クレミル」最終日、工房開放終了しました。

2017.12.11

2017121000320171210005201712100042017121000220171210001「フリーハンド」と名がつく私たちの工房。
「お客様が必要な形の家具・キッチンを作ります。」と謳って今のニーズがあると思っています。その工房が行う木工教室です、その感覚を体験できる機会にしたい思い、決まった形をつくるのではなく、皆さん自由に必要な形を作りましょう!と、なりました。
「バルミューダのトースターを購入したのですが、置きたい向きだとカウンターからはみ出てしまうので、それ専用の台が欲しくて」
「作業台が狭くなってきて、スペースを広くしたいのです。」
「こどもが生まれてから、絵本や育児書が増えて、本棚が欲しくなって。」
「来年こどもが小学生になるのですが、学習机が本当に必要かわからなくて。このミニデスクを作ってリビングに置いてみます。」
「キャットタワーを作りたいんです。」などなど。
今年も皆様それぞれ必要な形が出来上がりました。
ただ、「自由」を自由なまま実現させる為には、色々な事情が出てくることも今回実感しました。そんな状況にも関わらず、皆様「楽しかったです!ありがとうございました!」と笑顔で帰られる姿が見られて本当に良かったです。ありがとうございました。今後より良い機会になるように、皆様から頂いたご意見を次回に生かせるよう改善していきたいと思います。
年に一度、毎年12月にこのクレミルをすると決めていますので、そのタイミングで体験しに来てくださいね。
ミニキッチン・ミニデスクも次回も作れるようにしますので、今回ご参加いただけなかった方々、ご安心くださいね。
次回も皆様にお会いできる日を楽しみにしております!

漕ぎつく

2017.12.12

20171211002裏面に鮮やかな青の織物が写っているポストカードが届きました。
「Piece」と題された個展が開かれるのだそうです。
作家さんは工藤聖美さん。
1年半前にご自宅の玄関収納を作らせて頂いたのが懐かしく、端に添えられた文面が工藤さんらしいのでした。
「どうにか漕ぎ着けました。」
家具の納品のその後に、偶然、たしか国立新美術館に出掛けた時でしたか。作品を展示されている工藤さんにお会いできたのでした。
「また次回、個展を開かれる時はぜひお知らせ下さいね。」

その次回が今回なのでした。(本当はね、この前にも作品展があったのだけれど、イマイさんにお知らせするの忘れちゃって、あぁもう秋でいいかなって。と工藤さん。(笑))
そして、昨日午後から少しお休みを頂いて、アキコを二人で出掛けてまいりました。

こんにちは、工藤さん。
久しぶりにお会いして、いつも変わらない透き通った瞳で快活にお話される様子にたくさん元気を頂きました。
私も漕ぎ着けるかな。頑張ります。

工藤さんのすてきな緑色の作品をひとつ頂いてまいりました。ショールームでその独創的な織りかたを見ることができます。
次の作品は国展で拝見できるということです。また楽しみがひとつ増えました。

2017.12.11

昨日のワークショップで、Dさんが作っていただ照明。昨日霧吹きしておいたおかげで、ピンと張って気持ち良い姿になりました。
Dさん、「最初の4枚を貼っている頃はきれいに貼れていて、周りのみんなにもすてきって言われていたのですが、それから急に神のサイズが合わなくなっちゃって、その都度カットしていたらラインがよれよれになってきちゃったら、ちょっとスピードが落ちちゃって・・。」
ものを作るって言っても、私たちは機械のようにきちんと正しく同じものを毎回作れるわけではなく、その人の気持ち次第でその形の良し悪しが柔軟にというか大きく変わってくる。それは、良いことだと思っています。そういう気持ちの表れや素材の表情があるからこそ、好きになれるんだって。
だから、ものを作っていて思うのは作ることの大変さよりも、作り続けていくことの大変さのほうが大きいかなあ。
与えていると思っていても、じつは与えられていたりして、みんながみんなを実は支え合っていて、寄り添っていないように見えても寄り添っている。
だから、こうしてみんなは来てくれるし、私たちも喜んでほしいと願っている。
そういう1週間でした。
ワークショップでみんながどんなことができたかはあとでお知らせしたいと思いますが、まずは朝です。

指輪ものがたり

2017.12.09

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指輪=飾りの為に指にはめる輪。言葉にしてしまうとそのままなのですが、
私がここで見守らせて頂いた時間はもっと豊かなものに感じられました。
「結婚記念日なので。」と自分の好みの形を伝えながらお子様の様子を見る旦那さまとテキパキと2人分の指輪を作る奥様。
お母さんの隣で、スチールウールを濡らしながらマット仕上げを手伝うお姉ちゃんとその周りをお父さんと遊びながら行き来する妹さん。
「今度結婚することになりまして。でもしばらく指輪はプレゼントできなさそうだから、お揃いで手作りしようかなと思いまして。」
(とてもすてきな手作りのリングケースと、シルバーリングと一緒に渡すという木の指輪を見せてくださいました。彼女にはまだ内緒ということなので、写真も内緒にしますね。)
ご夫婦でとても楽しそうに仕上げ方の違う奥様の指輪を2つ作られた先日キッチンを納めさせていただいたIさん。
「主人が帰ってきたから、来れました。」と笑顔で指輪作りを楽しまれたKさん。
「わ~、かわいい!」「きれ~い!」と出来上がった指輪を見つめる皆さんはとてもうれしそう。見ていた私も思わず拍手してしまう時間です。楽しかったですね。この場所でそういう時間を提供できたことに感謝です。ご参加いただいた皆様ありがとうございました。すてきな時間をありがとうございました。そして、このワークショップを開いてくださったjardimのイシイさん。本当にありがとうございました!
明日はイベント「クレミル」最終日工房開放日です!ご予約いただいた皆様、よろしくお願い致します!

ステンレストップのタモのバックボード

2017.12.08

2017120800120171208003良いね。ご主人と決めた立ち上がりが雑巾摺が良い印象でまとまっています。
今月と来月とで、オーバーワークなくらいの皆さんの家具の納品時期が重なってきていて少し焦ったりするのですが、ネコたちは相変わらずいつものようにご飯を食べているし、新幹線が通るといつものように地震が起きたかのようにスタジオが揺れるし、いつものように子供たちはすやすや眠るし、いつものように陽は昇ります。
自分を見失わないように気をつけよう。

おうちパン教室の日でした

2017.12.05

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イベント「クレミル」4日目の今日は、「木のキッチンでおうちパン」第2弾!クリスマスに向けて「ツリーパンを作ろう」レッスンの日でした。「寒川町のパン教室~おうちパン~」を主宰されている藤沢まみ先生のママ繋がりの方々がご参加くださいまして、とても賑やかな会となりました。先生が事前に仕込んできたパン種をデモンストレーションで成形し、焼きあがると、いい香りがショールームに立ち込めて、私達が作った木のお皿[senkaku]に装って(ありがとうございます!)粉砂糖を振りかけると「わぁ~!」と皆さんから声が上がって…いい光景です。
「毎日ご飯を炊くようにおうちでパンを焼いてほしい。」と考案されたこのおうちパンレシピ。事前にタネさえ仕込んでおけば、クリスマスディナーにツリーパンが作れるなんて小さい子がいる家庭でも気軽に取り入れられるのでいいですよね。
お家に帰られてから実践されて、各家庭でこのすてきな光景が広がるのかと思うとまたすてきです。
なんだか幸せな気持ちになれました。ご参加された皆様、藤沢先生お疲れ様でした。
明日からの水・木・金曜日はワークショップはございませんが、手づくり市は続いていますので、手づくり通販サイトに登録されている方々の作品を近くで見られる機会です。ぜひ遊びに来てくださいね。

シルバーリングワークショップの動画を作りました。

2017.12.04

線が輪になりリングになる。そんな体験すてきじゃない。
一番最初の時間の教室で体験されていたお婆ちゃんの槌目をつけ終えた時に、その場にいたお客さんもクラフト作家さんもみんな揃って「わぁ、すてき。」って言ったよ。
こういう感動が生まれるんだよね、作ることって本当に素晴らしいことだよね。
来週の土曜日はまだ空きがありますので、ぜひみなさんも体験してみませんか。

この動画で少しでも伝わったらうれしいです。
【シルバーリング作りのワークショップ】

しめ縄飾り作りワークショップの日でした

2017.12.04

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今日はcocohanaflowerさんのフラワーアレンジメント教室「しめ縄飾り」ワークショップの日でした。クラスの最中よく聞かれたのが、「え~、難しい~。」「先生、ここはどうやるのですか?」という言葉でした。
「思っていたよりも難しい。」という体験の方が皆さんもやりがいがありますもんね。その作家さんが「やはりすごい!」となりますから。
でもそんな気持ちで仕上げたしめ縄飾りで迎えるお正月はきっと良い年が迎えられると感じられるはずです!
皆様、cocohanaflowerさんお疲れさまでした!
明日は、藤沢まみさんによる「ツリーパン教室」です。ご予約いただいた皆様お待ちしております。

工房開放日1日目

2017.12.03

12月3日 212月3日 312月3日 412月3日 712月3日 612月3日 912月3日 1012gatsu 3nichi

イベント「クレミル」2日目、工房開放日終了しました。今年も皆様思い思いのかたちが出来上がりました。
そして、ショールームにも足を運んでくださった皆様、お越しくださいましてありがとうございました。一番遠距離の方で大阪からいらしてくださった方もいらして(Iさん!)、本当に感謝しております。
工房開放日2回目は最終日の12月10日。参加人数が今日よりも増えるので、本日得た教訓を生かして次回に臨みたいと思います!
そして、明日は、cocohanaflowerさんのしめ縄飾り作りですよ!ご予約された皆様、お待ちしておりますね。

クレミル1日目

2017.12.02

2017120200220171202003jardimさんのワークショップが好評で、おばあちゃんから、中学生の女の子まで、みなさん時間をかけて自分のリングを作っています。
今回参加してくださっている手づくり文具雑貨工房さんと、素材が作品になっていくのを知ることってとても大切だなってお話していたのです。
ノートもそう、一枚の大きな紙が裁断されて、端を閉じられてノートになるし、リングも1本の銀線が輪っかになって閉じられて、叩き鍛えられて、ひとつのリングになる。
それは最初からその形をしているのではなくて、みんなの創意工夫でこの形に成っている、それが分かるってとても大切だなって。

西へ

2017.12.01

西に100キロほど走ると見えてくる富士川を渡ったその先に立てているIさんのところまでキッチンと背面収納の設置に行ってまいりました。
平成建設さんからのご依頼で今回作らせて頂いたのですが、Iさんとも密にやり取りさせて頂けたおかげで良い形にまとまりました。
信頼して任せて頂けるということは仕事もしやすく、何よりもその気持ちがありがたいのです。
打ち合わせをしていても取付工事をしていてもお施主さんも監督さんも施工業者さんもみんながみんなを敬っている(と言う言い方でいいのかな)、思いやっている、そういう気持ちが感じられる家作りって、携わらせて頂いて本当にありがたいのです。
いよいよ明日からクレミルです。
またバタバタだろうけれど、楽しみなのです。

明日からクレミル

2017.12.01

「クレミル」に向けて作家さんの紹介が続きましたが、私達の紹介をしなくてはいけませんね。
オーダー家具とオーダーキッチン、木製雑貨を製作している工房です。
創業者のイマイセイジと代表のイマイダイスケと私イマイアキコ、そして、カナイ君、コバヤシ君、ノガミ君、カイ君、ワタナベ君の8人の小さい会社です。
家具・キッチンの設計、製作・運搬搬入・取り付け設置を自分たちで行なっております。「だから、独立しやすいですよね〜。」なんて言われますが、その為にこの形をとっているわけではないのです(笑)。
定番商品があるわけではないので、毎回異なる形を「○○さんのキッチン」「○○さんの食器棚」という風に、ひとり1台担当制で製作から取付搬入までを行なっています。
「家具がほしいわけじゃないし・・・。」という方でも、足を運びやすいように皆様のご協力を得てこの機会を設けているので、「こういうところでキッチンや家具を作ってるんだ〜。」と見に来ていただけだらうれしいです。
明日から、はじまります。
皆様よろしくお願い致します。
明日は、jardimさん のシルバーリング作りからスタートです!
当日参加も可能ですよ!

Bariton

2017.12.21

「チェリー板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン」

鎌倉 Y様

design:Yさん
planning:Yさん/daisuke imai
producer:iku nogami
painting:iku nogami

アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

リビングから見る。


アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

2階から3階に上がってきて視界に入ってくる全景。


アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

同じく視界に入ってくる全景。チェリーの柄がとても良い印象です。

「先日ご連絡さしあげました、Yと申します。
一年ほど前にカタログを送っていただきまして、やっと工事を進められる段階になりましたのでご連絡いたしました。
今回の由比ヶ浜の家は、私達夫婦の住宅です。自分達での設計・監理となります。
偶然見かけた御社のウェブサイトで、木製でありながらシンプルでモダンなキッチンにとても心惹かれました。
紆余曲折を経て設計したLDKにぜひ御社のキッチンを設置したいと思っています。
まずは見積もり用の図面(キッチン詳細図・平面図)をお送りします。
キッチンに関しましては、だいたいの希望のサイズ・使用目的などを書き込みました。
決め打ちしているものではありませんので、こうすればもっと使い勝手がよい・コストダウンできる・
製作しやすい等ありましたら、ぜひご提案ください。
また、キッチンは木造3階建住宅の3階となります。
ご不明な点がありましたら、ご連絡お願いします。
どうぞよろしくお願いします。」

アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

天板はステンレスヘアライン。ちょうどl型の角のところでヘアラインが切り替わっているのが分かりますでしょうか。タカハシさんの仕上げの美しさが引き立つのです。

と、ご夫婦で建築設計のお仕事をされているYさん。ですので、頂いた図面にはキッチンの形はしっかり描かれておりましたので、まずはその形で作るとどのくらいの費用が掛かるかをお伝えしまして、それからこちらにいらして頂けることになりました。
「こんにちは。」といらしてくださったお二人はとても対照的な印象で、静かで物腰が柔らかな奥様と、とても太い声を響かせながら朗らかにお話しされるご主人なのでした。

アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

シンクは奥様といろいろと考えまして、水栓の吐水レバーから滴る水が洗剤ポケットに落ちるような位置にポケットをつけて、さらにポケットは大きすぎることなく、水切りプレートもつけたい、という形を叶えたものです。

さっそくキッチンの打ち合わせをするわけですが、おおよそキッチンのイメージはYさんの中で決まっておりましたので、細かなお話をさせていただくくらいで、あとはお父様の代から建築設計のお仕事をされているということで、建築にまつわるとても魅力的なお話をしてくださいます。
そのお話とご主人の雰囲気になんというか圧倒されてしまいまして、ただ、うんうんとうなずくばかりになってしまいましたが、とても素敵な時間を頂いたのでした。

アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

シンクの下はゴミ箱を置くスペースとフキンをかけるスペースに。オイル仕上げなので、湿ったフキンをかけておくとチェリーの表面に黒ずみが出てしまうかもしれないので、そのあたりはご注意いただいて使ってくださっております。

それから、何度かメールでやり取りさせて頂いて、ナラやタモで考えていた木柄を深みのあるチェリーに変えていったり、ダイニング側の使い方をちょっと面白さを出してみようということになったり、今は調布で活動されているお二人ですが、いずれはこの由比ガ浜を拠点に、この自宅をアトリエにして、1階ではいろいろな人が集うことができる場所にしたい、っていう思いがあるのだそうです。
そうなったときにキッチンを見せられるような形にしたいなあ、と低く深い声で、そして笑い声を轟かせながらご主人がおっしゃるのでした。

アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

食器洗浄機を将来的に入れるかもしれない、ということで、この引き出しとスライドテーブルは取り外せるようにしています。

「でもね、イマイさん。家を建てるにあたって先日この辺りをぐるっと歩いたのですよ。そうしたら、私たちのようなお仕事をされてらっしゃる方々は皆さん同じようにサロンやカフェを持っていて。どなたも考え方が似るのですね。やはり地元に根付くのはそういうご近所付き合いが一番ですものね。でも、みんなと同じになっちゃったら私たちは後発になるのだから、どうしようかなあ。」
と、言いながらも楽しそうです。
確かに、みんな同じような考えや店構えになってしまう部分はあるかもしれませんが、鎌倉の店の並びを見ていると、同じお仕事の形でもいろいろな表現のしかたが工夫されていて、どこを見ていても楽しい場所ばかり。きっとYさんの場所もこの街の魅力の一つになるはず。

アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

奥様が希望していたのがこの緑のタイル。偶然にも、「アトリエで暮らすような」のIさんと同じタイルです。とても美しい色をしたタイルです。たしか平田タイルさんの「オールドフランセ」です。


アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

ガスコンロとガスオーブン周りの納まり。


アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

調味料用の引き出し。いつもは上段、下段と2つに分けてしまうことが多いのですが、一度にすべて引き出せるように、そして閉めた時にすっきり見えるように、ということで、上下一体にして製作しました。

その魅力の一つとしてお聞きしていたのが、「イマイさん、搬入がとてもとても大変なのです。」ということでした。
どのようなことかというと、車が家の下につけられないのだそうです。県道に車を寄せて、そこから大人がどうにかすれ違えるくらいの細道を3分ほど歩いたところにYさんのご新居が建つのでした。
おぉ、住むには物静かでとても魅力があるのですが、搬入はどうしよう・・。
「それと、リビングは3階になりますが、掃き出し窓がないのです。」
おぉ、どうしよう・・。
うーん、うーんと図面を何度も何度もにらむのですが、そうしていても始まりません。空間ができあがってこないとうまく運べるのかどうか分からないし、現調する時に確認して運べるサイズで作ればどうにかなるだろう、と根拠のない自信を持つしかないのでした・・。

アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

リビング側は大きな扉になっていて、そこを開けると奥行きの浅い収納が現れます。


アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

おもしろいのは、一部マガジンラックになっていること。

そうして、いよいよ上棟、そして現調となりました。
この近くはお客様も多く、ちょくちょく歩く道なのですが、この細道は知らなかったなあというくらい地元の人しか通らない道。
そこを通っていくと青い養生シートがかけられた現場がありました。
わぁ、どうやって運ぼう・・。そればかりが頭を巡るのでした。
「お邪魔します。」現場でYさんと監督さんを交えて、搬入、設置の工程やキッチンの納まりについて打ち合わせを行ないます。
「上棟の時は、警備員さん立てて片側道を塞いでやりましたよ。どちらかというと、時間がたつにつれて観光の人たちで往来が激しくなってくるので、朝早いほうが良いですよ。通勤の渋滞よりは観光の渋滞のほうが大きいので。」
「そうですか、分かりました。」と言いながらも実際どのようになるか私にもわかりません。
なるべくキャビネットはコンパクトに考えるけれども、天板がL型だからなあ・・。
そして、リビングまで案内してもらって、やっぱり心配なのでした。現場まで荷物を持ってこれても階上にうまく上がるだろうか・・。幸い、階段がぐるりと回りこんでいないで、まっすぐに上階へと上がる形でしたので、うまくすれば屋内から運び込めるかも。

アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

こちらは食器棚。今回は壁に埋め込まれているチェリーの棚板も一緒に作らせて頂きました。 このような場合は製作だけ私たちが行ない、取付は大工さんにお願いしています。

そんな不安を抱きながら、製作が始まりました。
プランは比較的シンプルで、少し手の込んだダイニング側の細工もありましたが、ノガミ君が段取り良く進めてくれて、製作は無事に完了。
そして、いよいよ設置工事の日。お盆の少し前の猛暑の8月10日がその日になりました。うまくいってね。

アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

食器棚の印象。

当日は、車を道路わきに長時間寄せておけないと思うので、もう全員で出動です。
朝一番で運び入れを始められるように早めに工房を出て、お盆休みが幸いしているのか車どおりが少ない中、荷下ろしは完了。それを徐々に会場へと上げていこうと思うのですが、キッチンと食器棚ということで、荷物の数が多くお隣さんの塀の前まで荷物がはみ出てしまったら怒られてしまったりして。
猛暑で流れる汗とは違った汗もかきながらどうにか頑張ります。
「なるべく短時間で作業を済ませますので、どうか少しお待ちいただけますでしょうか。」
以前からここに住む皆さんにとっては、新しい人たちが来ることを素直に歓迎できない部分もあるのかなあ、人付き合いは難しいなあ、と思いながら、小さなものから手早く足場を使って、小さな窓を通して、階上に上げていくことに。
心配していた天板は、階段の上のスペースが比較的ゆったりしていたこともあって、屋内から搬入できて、ほっとひと安心。
これですべて上がりました。
屋内に入れてしまえれば、あとは工房で組んだとおりに組み上げていくのみ。きちんと同じ手順でキレイに組み上げていきます。
長い時間をかけて、丁寧に作業を進めてもうすぐで終わるかなと思ったところで、「引き出しが開かないです・・。」とノガミ君。
L型のキッチンでやってしまいがちなミスを私がしてしまいました。
今回はガスコンロとオーブンにハーマンを導入しているのですが、取っ手がほかのコンロやオーブンに比べると大きいのです。ちょうど角に作った引き出しが空けると途中でコンロのハンドルにあたってしまうことに・・。
急きょ正面の前板の幅を縮めて、その分コーナー隙間調整材のサイズを大きくして対応することで無事に開閉できるようになりました。
コンロやオーブンも工房で仮組しておけば事前に気が付けたかもしれないのですが、かなかそこまで手が回らず、機器類の組み込みは現場で行なうことが多いために起きてしまったミスでした。このあたりは今後の課題で良い方向に考えていかなければ。

アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

引き出しの様子、その1。


アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

引き出しの様子、その2 。


アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

引き出しの様子、その3。


アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

引き出しの様子、その4。


アメリカンチェリーとステンレスヘアラインのL型キッチン

扉を開けた内部の様子。

まずはこうして設置も完了して、その後しばらくしまして無事にお引渡しを受けたというご連絡も頂いて、あらためてご挨拶にお伺いすることに。

「まだね、調布の家をすべて片付けたわけではなくて向こうで週の半分、こちらで半分という暮らしなので、まだいろいろ足りてないものもあるのですが、どうぞ見ていってください。」と奥様。
設置した夏から約1年後にこうしてお邪魔させて頂いたのでした。
チェリーは当時よりもかなり良く具合に日焼けしていて、とてもきれいに使っていてくださっている様子も良く分かって、良い顔をしておりました。

ここから新しい建築が生まれていくのを楽しみにしております。
ありがとうございました。

キッチン仕上
天板 ステンレスヘアライン仕上げ
扉・前板 チェリー板目突板練り付け
本体外側 チェリー板目突板練り付け
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 オイル「ナチュラル」塗装仕上げ

チェリー板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。