ネスト

「チェリー板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン」

沼津 S様

design:平成建設さん/Sさん/daisuke imai
planning:平成建設さん/daisuke imai
producer:yasukazu kanai
painting:haraki tosou

アメリカンチェリーのL型キッチン

きちんとなかよく皆さん行儀よく並んでいますね、という言葉がぴったり。Sさんがいつもどれほど気持ち良く使っているかが分かります。


アメリカンチェリーのL型キッチン

さらに全景。自分が使いやすいように置かれている道具たち。いろいろあるけれど狭いのではなく、気持ちより距離にみんなが並んでいる。

相変わらず沼津のほうにはちょこちょことお出掛けする機会があるのです。
平成建設さんが、こまめに私たちにお声掛けくださるのです。ありがたいことです。
今回は、長泉町にご新居を建てられるSさんのキッチンを作らせて頂くのです。
まずは、Sさんも交えて打ち合わせをしましょうということで、平成建設さんの住空間までお邪魔してきました。
私たちの工房がある、寒川町はちょうど神奈川県の真ん中にあります。いつもは横浜や鎌倉、川崎などの県東部から、東京都の方々からお声掛け頂くことが多いのですが、平成建設さんとお付き合いさせて頂くようになりましてから西の方にも出かける機会が増えました。
ここが神奈川の真ん中だからか、距離は確かに違うのですが、時間を考えると混んでいる東に向かうのと、少し空いている西の方に出掛けることはそれほど変わらないのです。

アメリカンチェリーのL型キッチン

Sさんが選んだコンロは、リンナイのグリル無しの4口のコンロ。「それぞれのバーナーの位置が近いけれど、1度に4つ使うこともないし、この形が美しくどこか懐かしいので。」

平成建設さんの打ち合わせの良いところは、みんなが楽しそうなところ。
設計の奥村さんとSさんはもうどこかお友達のようにお話ししているのです。
その輪に私も混ぜてもらうと、Sさんのホワッとした空気に包まれるのです。

あれこれとキッチンを考えていくのですが、「あー、もうだんだん分からなくなってきました。」とSさん。
たしかに、考えるのは大変です。
目の前に形があるわけでもないのに、イメージしていく作業って難しいですから。
家作りは、作る人にとっても、そしてそこに住む人にとっても、それを考えるのはとても大変なこと。
ここはどうしたら素敵になるか、どうしたら使いやすくなるか、それをイメージしながら一つずつ決めていくのです。
それが、なかなか決まらない。「うーん、迷います。どうしましょう。」とSさん。
ニコニコ奥村さん。
そのようなゆっくりとした空気の中、奥村さんの原案をもとにSさんの好みを取り入れたキッチンのだいたいのイメージが段々まとまっていったのです。
きっと温かなキッチンになります。なるべくSさんの思い描いているものを形にできるように頑張ります。

アメリカンチェリーのL型キッチン

シンクは、水栓がつくところをカウンタートップよりも1段下げた通称「デッキ付きシンク」にしています。水栓を開け閉めする時の洗剤の泡などがこのデッキ部分に落ちたり、洗剤のポットのお尻でカウンターが汚れても、カウンター全体が汚れることなく、デッキ部分だけ水あか汚れを落とせばお掃除も楽ですので。

最初奥村さんから頂いていたイメージは、「レトロなキッチン」ということでした。
なるほど、お話を聞くたびにそのキッチンの印象が、というかSさんのふんわりとした印象がキッチンに反映されていくのが分かるのでした。

アメリカンチェリーのL型キッチン

壁にはチェリーの棚板を。このような棚を作る場合は、いつも材料だけ私たちが用意して、施工会社さんに取付は行なってもらいます。大工さんにつけてもらったほうが、コストも抑えられるし、作業工程もスムーズですので。今回も棚板ができあがったら、現場に送って平成さんに取り付けて頂きました。

「こんにちは。先日沼津の平成建設さんで打ち合わせをしていただいたSです。
ふわふわとした私の要望に根気よく付き合ってくださってありがとうございました。
ところで、あの日レンジフードを大きい台形?のいまどき主流ではないほうに即決したのですが、
最近の形と、私が選んだほうの形の性能の違いはなんですか?
その場で聞けばよかったのですが・・・。
おととしリフォームした実家のキッチンが最近の形だったので聞いてみたところ、油がたまるところがある、とか洗いやすいとか言われて心が揺れております・・・・。
それまで実家の換気扇は壁に直についていて、羽がくるくる回るやつでした・・。」

アメリカンチェリーのL型キッチン

引き出しの様子、その1。

結局「大きい台形のレンジフード」に決まったのですが、形はやはりモダンというよりは、どこか懐かしい感じのものになったのです。
私はてっきり白いレンジフードになるかと思っておりました。
たしかに、最近のモダンなレンジフードは継ぎ目無く成形されているもの、金網がついていなくて、簡単にファンを外して丸洗いできるものなどさまざまあります。
でも、最終的にSさんが選んだものは、やはりSさんらしい形でした。

アメリカンチェリーのL型キッチン

引き出しの様子、その2。


アメリカンチェリーのL型キッチン

引き出しの様子、その3。


アメリカンチェリーのL型キッチン

引き出しの様子、その4。


アメリカンチェリーのL型キッチン

引き出しの様子、その5。


アメリカンチェリーのL型キッチン

コンロ下のスライドワイヤーシェルフの様子、その1。


アメリカンチェリーのL型キッチン

コンロ下のスライドワイヤーシェルフの様子、その2。


アメリカンチェリーのL型キッチン

調味料用引き出しスペースの下段は、ボトルがしまえる引き出し。いつもは一升瓶が入るサイズを基準に設計しています。

そのような感じでSさんが思い描いていたのは、少し懐かしい向こうの台所。
向こうの台所で、お母さんがコトコトとご飯の支度をしていて、自分たちはそれをちょっと手前から眺めている感じ。
その向こうの台所って、お母さんのちょっとしたあなぐらのようになっていて、お母さんじゃなくちゃ、何がしまってあるか分からない。
実際、Sさんのキッチンではそのようなことはありませんでしたが、そういうどこか懐かしい巣のような印象になったらいいなと思うのでした。

アメリカンチェリーのL型キッチン

グリル無しのコンロの場合は、発火用の電池ボックスがむき出しになってしまうので、それだと美しくないので、ボックスもチェリーで製作。

そうしてできあがったキッチンは、やはりSさんらしい温かなキッチンでした。
今回のSさんの間取りは、リビングダイニングキッチンが1つのスペースになっているものではなく、キッチンが独立した形になっています。
それでも、リビングに居るだけで優しい空気がキッチンから流れてくるのが分かります。
これから、どんな暮らしが始まるかが楽しみですね。

アメリカンチェリーのL型キッチン

リンナイの4口コンロ「RD640STS」。

「キッチンは、私はもちろん気に入っていますが、夫と義母もたいへん気に入っているようで洗い物のたびに飛び散った水滴をきっちり拭いています。
お手入れの方法など教えていただきたいので、もう少し新しい家でのペースが掴めるようになったら、ぜひ我が家にいらしてください。
また連絡いたします。」

チェリーを使ったペンダントライト

今回は2階に上がる吹き抜けたところに、照明も作らせて頂きました。

できあがったキッチンを使い始めてしばらくした頃にお伺いさせて頂き、写真を撮らせて頂きました。
キッチンに踏み入れると、温かな空気に包まれました。
チェリーは色みを濃くし始めていて、Sさんの使い勝手が良さそうな道具たちが、にぎやかに並びます。
そして、キッチンの隣はパントリーになっていて、こちらも使い心地が良さそうにいろんなものが並びます。
にわかに祖母の家を思い出したのは、Sさんのキッチンが思い描いたとおりの形になっている証拠でした。

キッチン仕上
天板 ステンレスヘアライン
扉・前板 アメリカンチェリー板目突板練り付け
本体外側 アメリカンチェリー板目突板練り付け
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 ウレタンクリア塗装ツヤ消し仕上げ

チェリー板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

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