この台所
2017.09.21
お父さんと一緒にオイル塗装を仕上げたFさんから、あらためて写真が添えられたお便りが届きました。
「母の台所も祖母の台所も独立型でしたので、ちょっと離れているところにこもっている母や祖母の気配、包丁の音、ゆっくりとどくお料理の匂い、そういう気配がよかったな、と、そういう感じを娘たちにも伝えらえるといいな、と。仕上がってみて、基地みたいな感じがしてとても気に入っています。
堂々とリビングの真ん中にあるキッチンも素敵ですが、ちょっとひっそりしているキッチンも、「お台所」という感じで、特にイマイさんの作品だからこそこの雰囲気がでるんだと、うれしく思っています。
イマイさんのパンフレットを手にした日からずっと憧れていたキッチンが、目の前にあることがなんとなく最初現実味がなくて夢心地だったので、たぶんイマイさんにもコバヤシさんにもちゃんと言葉で表現できていなかったですが、こんなふうに、うれしさがこみあげています。
扉と引出をすべてつけ終わった後、娘が、「このおうち、千年住んでも、飽きないね」といってくれました。
そんなことを思える家に住めるなんて、ほんとうに恵まれた幸せなことです。」
憧れかあ。
チェリーの家具を使っているお客様のお宅に久しぶりに伺うと、ほどよく褐色になって深いつやが出始めているその姿にうれしくなることが多くあります。
「このチェリー、いい色になりましたね。」
そうお伝えするのですが、「あらっ、本当ですか。毎日見ているからかしら。全然気がつきませんでした。」
そして、昔の写真を見せると、「本当だー。」ってうれしそうにみな微笑みます。
自分では思ってもいなくて、ただ前に向かって頑張ろうと進んでいる姿がまるで日々少しずつ色みを増していくチェリーのように、結果としてみんなの「憧れ」となっているようでしたら、これほどうれしいことはない。