さりげなく

2017.10.05

すごくさりげないことなのかもしれないのですが、Eさんから「食器棚の横の冷蔵庫の上にやっぱり戸棚を作りたいのです。」とお話を頂いた時にはもうわたくしは形の迷路に迷い込んでおりました。
当時の食器棚の様子
お待ちしておりました。

ただシンプルに吊戸棚をつければそれで良いのかもしれませんが、それだと寂しい気持ちがしたのは私だけなのかもしれません。それでもその思いはぬぐい切れずにEさんにお勧めしたのは、隣り合う引き戸と連続するような形の提案でございました。小口を見せたいけれど見せすぎるのも嫌ですし、壁の立ち方が多少良くない部分をどうにか吸収したいところでもありますし・・。
ですので、扉が閉まっている分には本当に分かりづらいことなのですが、壁にぴったり合わせるために見えない部分で汗をかいた形になったのでした。
とても小さな家具ですが、そこにつまった思いにカイ君はとても勉強になってくれたと思っております。
自分で言って良いのかどうか、こういうところの良さってなかなかひと目では分かりにくい美しさがあって、フッと視線が通り過ぎたあとに、オヤッと思ってくれたら幸いです。
今日は、この吊戸棚のほかに元からその場所にくっついていたかのように、その隙間にはまり込んでしまったコルクが貼られた扉がある細長い収納棚も一緒に設置させて頂きました。
Eさんとは、いろいろ考えると奥様が結婚される前にそのお母様からご依頼を頂いたことがきっかけで始まったご縁ですが、もう二人のお子さんがはしゃぎまわる賑やかで明るい家庭になっているのを見ると、私もだんだんと小さな字が見えにくくなってきたのかなあと思うこの頃であるのです。