灯篭の格子

2018.12.15

昔のように工務店さんや建具屋さんがその街の中で気軽に何でも相談に載ってくれる存在とは違ってきていて、ちょっと家の中の困ったことが出てくると誰に聞いたらよいのか分からなくて・・、というお話もよく耳にします。
昔、どなたかから聞いたお話しで、ある大工さんのお話がありました。
その大工さんがまだ小僧だったころは、親方に「自分で仕事するようになったら自分の住む町の五十件ときちんとお付き合いしていれば、どこかで何かしらお仕事をくださるから、仕事に困ることはないよ。」と聞かされてきた、というお話を聞いたことがあります。
それほど大工さんは町民のそばで仕事をしていたのに、今では、だれが建てた家なのか分からないまま住んでいるということも少なくありません。
物ごとが細分化されて、専門分野に特化した人たちが活躍する世の中はもちろんすてきですが、一人の人間がその町のいろんなところを知っていて、「あのちょっとここが・・。」と尋ねると、「ああ、もうそろそろくたびれてくるところが出てくると思っていたからね、行こうと思っていたよ。」ってなんだかいろんなことを知ってくれている人が居る町もすてきだなあって思うわけです。
写真は、いつも親しくさせて頂いているお寺さんの灯篭。もちろん、古くからお付き合いのある建築の方もいらっしゃいますが、「ダイスケさんには気軽にお話ししやすくてね。」って言ってくれて、今日も古くなった格子を交換させて頂きました。