人となりがあらわれましたね
「ナラの食器棚とカウンターのオーダー」
横浜 S様
design:Sさん
planning:daisuke imai
producer:hideaki kawakami
painting:hiroyuki kai
築16年のマンションを手に入れてリフォームされるというSさん。「きもちの距離」の志木のIさんの製作例をご覧になってご相談くださいました。
Iさんの作例は使い勝手も印象もとてもきれいにまとまっているからか、いつもとても好評で、こうして今まで作らせて頂いたみなさんの形が新しい輪を作っていってくれていることに大変感謝しております。
Sさんの間取りでおもしろいなと思ったのは、一般的な間取りだと、リビングから見えるキッチンの端っこに冷蔵庫を置くスペースがあるところが、キッチンの横に並ぶように冷蔵庫が置かれて、キッチンと冷蔵庫の間に仕切りがあるので、リビングからの印象がとてもすっきり見えるという点です。
これだと、冷蔵庫から食材を出してすぐに作業ができるのでなかなか良い動線なのではないかなあと、あまり料理をしないながらもそう思えるのですが、皆様にはどう映るでしょうか。
そういう間取りですので、今回Sさんからご相談頂いたのはキッチンの背面に食器棚とカウンターを作りたい、というご相談だったのです。
冷蔵庫スペースのように奥まったところにセパレートタイプの食器棚。キッチン入り口あたりには、ちょっとした配膳用のカウンターとその下にゴミ箱を置くスペース。奥行きは30センチもないのですが、ちょうど使い勝手がよく、なかなかマンションでは珍しい形にすることができたのでした。
デザインとは何だろう・・。
何度かお話ししていることですが、私は自分で家具のかたちを作ることはあまりしていません。
皆さんからいただいたお話をもとに組み立てていくことが仕事だと考えております。
しかし、頂いた要望をそのまま組み立てていくだけではアンバランスな形になってしまうことが多かったりします。
特に今回のようにオープンな部分が多いと、扉や引き出しがつく閉じた部分と関わる部分の見え方が、1本のラインが入るか否かで家具の印象が全く変わってしまうことがあります。
緊張感とまでは言いませんが、すっきりとした印象を保ち続けるためには、何を見せて、何を隠すか。その中で使いやすい形やサイズはどのようになるのか。
家具をゼロから考えることはしませんが、いくつかの与えられた条件という味わいをを吟味し、咀嚼し、反芻し、その中でどの味わいをどの部分で生かすことができるかを考えることは一つのデザインだと思っています。
そして、その家具を使ってくださる方がその家具が暮らしの中に入ることで、その方はきっと家具をどう使いたいか考えることで、自分のリズムをあらためて見つめることで、自分自身の新たな一面を発見したり、暮らし方を見つめなおしたり・・。
家具が1台家に入ることで、暮らし方が整っていく。
その人の暮らしを整えることができる。
それが家具におけるデザインの本質なのかなって思っております。
本日も良いかたちができました。
Sさん、ありがとうございました。
ナラのセパレートタイプの食器棚
価格:500,000円(制作費・塗装費)
ナラの吊戸棚とワークカウンター
価格:370,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は60,000円から)