Mさんのキッチン・アイランドカウンター・手洗いカウンター・洗面カウンター・玄関収納:スタッフカナイ君の制作日記
2019.06.19
今年の1月から3月にかけて製作させていただいたMさんのキッチンと家具たちです。(ニット帽を被っているのが、カナイ君です。)
<キッチン>
今回のキッチンのサイズはとても大きく、シンク側とコンロ側がL型に一体になったデザインで、シンク側の上には吊戸棚、コンロ側の横には家電収納が配置されたとてもボリュームのある家具です。その大きさにより全てを同時に製作するのは難しく、また一部ウレタン塗装もあったりしたので、部分ごとに製作するにあたっての段取りや製作手順を考えることにとても苦労しました。
また、今回初めて使うキッチンパーツや初めて行なう納め方など工夫がたいへん必要な構造になっています。
吊戸棚は扉を閉めてしまうとシンプルな形ですが、真ん中にステンレスパイプをたくさん渡して水切り棚にしていたり、その上その奥に照明を付けたりと、見えない部分で大変手間のかかった細工を施しています。
また、今回はフィオレストーンという初めて使うクォーツでして、いつものように天板を薄く見せる仕上がりでしたので、工房での仮組から現地の設置までの運送など取り扱いに大変苦労しました。
家電収納は扉が収納されたり、電気オーブンを組み込んだり、さらにその上で家具のラインが揃うようなデザインになっていたので、組み立て方も試行錯誤しながら決めていく部分がありました。
<アイランドカウンター>
L型キッチンの構成に合うようにレイアウトされ、クォーツの上にタモの無垢材が載るという特徴的なアイランドカウンターで、足元灯やコンセント各所のための配線経路の確保や、冷蔵庫をぴったりと囲う格子の製作など気を使う部分がところどころあり大変でした。天板の無垢の固定は、その下の石に楕円形の穴をあけ、無垢の伸縮にも対応できるように工夫して取り付けてあります。
<1階手洗いカウンター・2階洗面カウンター>
製作は通常の作業でできましたが、現場の仕上がっている壁から壁にぴったりと納めるために現場で一度解体しながら寸法を調整して納めたりと、とても気を使いました。
<玄関収納>
この家具は、ノガミ君に製作してもらいました。箱の三方(両側と天板)の木目がつながるように突板の木取りをしています。また、箱上部の角は4ミリの角材を接着して仕上げてあります。これは突板で留め加工をすると、どうしても素材の強度が弱い部分があり、特に水平面では物を置いたり、ぶつけやすかったりするので、このように角の部分に無垢を入れる仕上げをすることがあります。通常「紐」と呼ばれるこの部材が入ることで、強度は増しますし、意匠的にもひと工夫のある美しい形になります。
また、扉の手掛けは45度に加工してあります。この手掛けの形は私達は普段取り入れない方法なので新鮮な気持ちで取り組めたそうです。
実際に製作に入る2~3年前から私達に問い合わせをしてくださっていたMさん、製作の機会を与えてくださりありがとうございました!