テーブルのオーダー「直径1300mmのクリの天板とオリジナルデザインのスチール脚のある円卓」 :家具屋の家づくり
2019.07.11
ダイニングテーブルと椅子を考えるにあたって、フクハラさんと相談していたのは円卓にしようか、ということでした。
私自身今まで円卓での暮らしというのはなかったことでしたが、ここ最近このようなテーブルを作らせて頂ける機会が多くあり、また工房でも来客の際には活用していたものですから、その良さは心得ておりました。
もちろんつくる円卓はlibraです。
実際に自分の暮らしに取り込むことでどんな印象なのかを見知っておきたかったのです。
サイズも標準の直径1300mm。最初はどのくらいの大きさにしたら良いかをフクハラさんと悩んだのですが、1200mmが良いのでは、という彼の意見を押し切って、私たち家族はみな体が大きいこともあるので1300mmにしたのでした。
もし、あの空間に大きすぎると感じれば、ひとまわり削ろうかなと思っておりまして。
使ってみると、1300mmという大きさは、私もアキコもそして次女のチアキ(ハルカはもう自室できちんと勉強するようになりました。)もここで書類やノートを広げて書き物をするので、このくらいの大きさがやはり使い勝手が良いです。
アイアンはつやを抑えた銀色で仕上げ、天板はクリを使っています。
タモに近い表情ですが、少し色が明るめで導管も思ったよりも深くないので、ものを書く時の不便はないですね。
ところどころにその明るさが集まったような黄色みのあるシミのような表情が現れますが、その印象も不快に感じることはなく、クリの表情としてとても気持ち良い印象です。
このテーブル、使ってみて感じるのは、音が硬いのです。
先日、カトラリーケースのことでも触れましたが、こちらのテーブルは天板から足に音が伝わる時にほんのり音が硬く聞こえます。そこがもう少し柔らかい音だったらよかったかな、と思えた部分です。
五本脚はうまく機能していて、脚の伸ばしても、鉄脚に当たることがないのがうれしいところです。
脚に関してのちょっとした悩みどころは、脚元に傷防止のフェルトを貼るのですが、脚と床の設置面積が小さいので、テーブルを使っているうちにフェルトの粘着がずれていつの間にか剥がれてしまう、というところでした。
特に直径が1300mmあるので、片側で肘をついて強く体重を掛けると、テーブルはてこの原理でちょっと傾こうとします。それを繰り返していると、フェルトがずれやすくなっちゃう。
自宅の床材はアカマツなのでそれほど堅い材ではないため、おかげであたりは浅い凹みがちらほらと。
熱湯をかけてはプクプクと戻すのですが、いい加減これはよくないと思いまして接着剤をフェルトに含侵させて貼り付けることで、うまく固定させることができたのでした。
椅子も合わせてクリで作っております。
デザインはcafeの形を基準にサイズを少し大きくして、座の印象をいつもと変えております。
このcafeの背は、3mmに挽いた材を3枚、型にはめて三層にプレスして作るのですが、背中のあたり具合がほどよく、食事の時にはリラックスして座っていられる良さがあります。
座面は、今回あきる野のFUJITAKE WORKSさんのご提案で「左右だけマチを取って、前後は包んで張りましょう。」という形で張って頂きました。
おかげさまで、左右は角が立った仕上がりで、膝裏が当たる前はなだらかな当たりになりました。
この家具たちを使い始めてみると、思っている以上に長い時間をここで過ごしている気がするのです。
肌への当たりかたが優しい仕上がりにできたからでしょうか。
よい形です。
結婚後しばらくしてこの町できちんと腰を据えて暮らし始めた時に作ったケヤキで作った今までのダイニングテーブルは今では工房でみんなの作業机のうちの1台になっています。