Oさんのキッチンカウンター:スタッフ ワタナベ君の制作日記

2019.09.19

_dsc3313_dsc3339
初めてアイランド型の家具を製作を担当させて頂きました。
まず、タモの突板を使ったのですが、今回は木目にバラつきを出すランダム張りの突板を使っているのが特長です。
ランダムに張るのは、他のお客様の場合で木目をつなげないで作ることもあったりしましたが、今回のO様の場合は、木目はつながっている形にするけれど突板1枚ずつの柄は違うものにしたいという希望でした。
どういうことかというと、突板というのはうすい無垢材になるのですが、ふつうは幅20センチ~30センチくらいの1枚の突板を横に並べて貼るものなのですが、その幅ごとに違う柄(違うロット)のものを使うことで、整然とした印象を無くすのが今回の見せ方になります。
さらに木目のつながりをなくす形にするとよりバラついて動きのある表情になるのですが、そうなると自分たち作る側のセンスが問われるので、ちょっとホッとしています。(色や木目の違いがちょっと違うだけで全体の表情は大きく変わるので。)
そのランダム張りの木目を側面から背面側に掛けて木目が自然につながるように木取りした部分が苦労した点のひとつになります。
さらにその無垢目がつながるように見せるために側面と背面の角は斜めに加工しています。こうすることで、板の木口が出ないので、木目の縁が切れずにつながって見えるのですが、この斜めにする場合、角がとがってちょっとぶつけたりするとかけてしまうため、斜め部分に無垢材を練り付けるのですが、斜めになっているからその圧締が大変でした。
また、普通のこのボリュームの家具でしたら一つにまとめて作るのですが、社長から搬入がちょっと大変と聞いていたので、細かく分けて屋内階段から搬入できるようにしてあり、なおかつその現地でのジョイント部分が不格好に見えないように板の枚数を不自然に多くすることないように作っているため、その細工がひと苦労でした。
天板はステンレスのバイブレーションですが、小口はタモを見せるという形で作っています。これは通常下地の合板に先に小口のタモ材を練り付けて、最後に上から速乾ボンドというゴム系の接着剤で接着するのですが、この1.0mmくらいのステンレスだと重さでたわむので、接着する瞬間はたわんで変にくっつかないかといつも緊張します。
納品の時は、奥様に立ち会って頂いて施工させて頂いたのですが、後日「とても細かい気配りをしてくださって、実はダイニングペンダントの位置が間違っているのをスタッフさんが指摘してくださって、今のこの整った状態があるのです。ありがとうございました。」というお話をお聞きして、喜んで頂けたと安心しました。