少し変わった間取りでも使いやすい形に

「ステンレスとタモ材の食器棚のオーダー」

川崎 H様

design:Hさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:tetsuya geshi
painting:iku nogami

ステンレストップとタモ板目材を使った食器棚

リビングダイニングから見た時の印象。L型のコンパクトなキッチンなので、シンクの奥(ここからだと手前)に、ちょっと物が置けるカウンターがあると良いなあと思えるのです。同じタモ材を使ったカウンターが来たら、もっと柔らかい印象の空間になりそうで。

「2月に引っ越し予定で、食器棚を貴社にてオーダーさせていただきたいと思っています。
引っ越し先は中古マンションで、現在リフォーム工事中です。
引っ越し前の食器棚完成は目指しておらず、じっくり考えてイメージ図を作ってから貴社へご連絡するつもりでしたが、リフォーム業者から連絡があり、食器棚の吊り戸棚を付ける場合は、壁を増強した方が良いと説明がありました。
現状は、40ミリ角のスタッドの間柱に9.5ミリの石膏ボードです。軽天間柱では吊戸は持たないと思うので、下地として石膏ボードの壁仕上げをべニア壁仕上げに変えた方が良いとの事でした。
貴社に吊り戸棚を依頼する場合、同様の対応が必要でしょうか。もし必要であれば、事前にベニア壁仕上げにして頂こうと思っています。
依頼予定の食器棚のイメージは、HPで紹介されている「暮らしのはじまりかた」の食器棚が近いです。
大変大変申し訳ございませんが、リフォーム会社様に本日中に回答をする必要があり、お電話でも構いませんので、壁下地の有無を教えて頂けると助かります。もし本日中が難しければ、下地有りで対応しようかと思っています。
突然のお問い合わせで大変恐縮です。。
今週末辺りには、イメージ図のようなものを準備出来ればと思っております。
お忙しいところ申し訳ございませんが、ご確認よろしくお願い致します。」

ステンレストップとタモ板目材を使った食器棚

ガスコンロ側から見た印象。冷蔵庫のと位置関係はこのような感じ。またガスコンロあたりですが、広角で写真を撮っているので広く見えますが、ガスコンロの下の引き出しを開けたり、調味料用の引き出しを開ける際は、一度横に体を寄せてから開け閉めする感じ。その感覚が使いやすいかどうか奥様と相談しながら決めていったのです。体をよけずに引き出しの開け閉めをするとなると、食器棚の幅を後40センチくらい縮めないといけなくなりそうで、そうなると収納としてあまり役に立たなくなっちゃうかなあと思いまして。

下地板の有無について、よく皆さんに尋ねられるのですが、一般的に大工さんが居れてくださる下地板は12ミリ厚の合板が多かったりします。その合板が広い面積に張られていていれば、どこでもネジが効くわけですが、結局その合板はネジで柱に止められているだけですので、再祖hから柱に固定できれば下地板は不要なのではないかと思っているのです。
そして、12ミリの厚みだとネジを固定するためのドリルのトルクを間違えると、回しすぎて空回りしてしまうことがあります。
ネジ山のピッチが広い粗目のものを使っても空回りしてしまうことがあったりして。
それなら最初から柱を狙って固定したほうがしっかり固定できると思っているのです。
でも、リフォーム屋さんがそういうなら入れておいてもらおうかな。
柱の位置はあらためて探せばよいので、必要なところは柱に固定しようかな。

食器吊戸棚内部の様子

吊戸棚内部の様子。志木のIさんのように内部もタモ材で作っています。リビングから見た時によく見えるところでもあるので、少し材料費が高くなっても開けた時の印象を大切にする、というのは見ていてとても美しいですし、とても良い選択だと思います。


食器吊戸棚内部の様子

市販のワイヤーラックを活用して、手前と奥で奥行きのある収納方法にしています。奥のものが取り出しやすそうでなかなか使いやすそうだったのです。可動棚の奥行を狭くするというのも一つの方法として有りなのかもしれないなあ。


食器吊戸棚内部の様子

こちらはお皿を立てて収納するためのラックを活用。こういうパーツを利用する前提で棚板の有無や枚数を決めていくと使いやすい収納になりそう。立ててしまうと取り出しやすいですしね。

そのようなわけで、下地を入れてもらうお返事をした後に、頂いたスケッチに基づいて形を考えてこちらでもスケッチし直した形でプランを考え、おおよその製作金額をお知らせしました。

hra017

これが最初にお送りしたスケッチです。吊戸棚の右側面に就けるポケットが特長的な形でした。

「スケッチ拝見いたしました。とても素敵に書いていただき、イメージが具体的になってうれしいです。
是非、貴社に制作をお願い出来ればと思います。
ゴミ箱がリビングから見える位置になるので、むき出しにするのか、何か隠すような形にするのか、
少し迷い中です。スライドレールなどの細かい箇所については、またお打合せさせて頂ければと思っています。
お打合せですが、貴社にも一度お伺いさせて頂きたいのですが、引っ越し先のキッチンが変わった作りで、奥行きにかなり不安がある為、可能であれば一度お越し頂いて、現地をご確認頂きたいと思っています。」

ステンレストップとタモ板目材を使った食器棚

扉の下はオープン棚。ここは皆さんの色がよく出てみていて楽しいスペース。今回、Hさんは私たちが作っているコーヒーカップ「mocha」を気に入って使ってくださっています。こういうトータルに私たちを見てくれるのはとてもうれしいです。

と、うれしいお返事を頂きまして、さっそくご新居の様子を確認させてもらうことに。
さっそくお邪魔させて頂きますと、キッチンはL型になっていて、冷蔵庫がちょっと離れた位置にある間取り。
食器棚を大きく作ろうと思うとガスコンロの前に立った時の作業がしづらくなるし、下の引き出しも開けにくくなる。
そこで、当初はスケッチのような形をイメージされていました。
吊戸棚の側面が火を使う作業の時に頭にぶつかりそうになるからちょっと引っ込めようかな、その代わりにすぐに取り出せるようなポケットを作ろうかな、と。

食器棚のゴミ箱収納

カウンタートップは、トップのみステンレスを張って、木口はタモを見せる仕上げ。より家具らしい表情にしやすい仕上げです。左端はゴミ箱を1台置くスペース。ゴミ箱はケユカのアロッツ。

で、奥様に実際にキッチンに立って頂いて、ご主人と一緒に使いやすいか、ぶつかりやすいかどうかなどいろいろとイメージしていったのです。
最終的にはシンプルなセパレートの食器棚の形にまとまりました。
オーダー家具ってその人にとってのピッタリな現物がその場所にあるわけではないので、イメージしながらあれこれ悩むわけですが、こういう動線を見ながらとなるとやっぱり実際の場所で確認しないと難しいですね。
おかげさまで現地でいろいろとお話しできので、良い使い心地の形にすることができました。

ステンレストップとタモ板目材を使った食器棚

ゴミ箱上の引き出し。


ステンレストップとタモ板目材を使った食器棚

中央4段の引き出しの様子。


ステンレストップとタモ板目材を使った食器棚

中央4段の引き出しの様子。


ステンレストップとタモ板目材を使った食器棚

中央4段の引き出しの様子。

納品後お邪魔させて頂いた時には、やはりイメージ通りにリビングから眺めたすっきりとした印象が心地よい家具になっていました。
あとはこの手前にあるキッチンのカウンターがもう少しうまくいかせたらもっと雰囲気がまとまりそうです。
お子さんがもう少し大きくなってまた暮らし方が少しずつ変わってきたら、そういう造作も楽しそうです。
少し先の未来の楽しさを思い描けるようなお話ができるというのはうれしい関係です。

また、いつでも、声を掛けてくださいね。

炊飯器用スライドテーブル

一番右側の列の収納の様子。このスタイルも定番になってきました。


炊飯器用スライドテーブル

上部は炊飯器をしまえるスライドテーブル。


ステンレストップとタモ板目材を使った食器棚

その下は深めの引き出し。


根菜バスケット

そして、一番下は根菜をしまうバスケット。このステンレスのバスケットはとても使い勝手が良いのですが、今後メーカーでは廃止していくそうで、どうしようかと悩んでおります。白いバスケットはいつでもあるのですが、使っていると樹脂がめくれてくることがあって、このステンレスが一番美しいんですよ。オリジナルサイズで作ろうかな、と思案しているのです。

ステンレスとタモ材を使った食器棚

価格:530,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から、取付施工費は35,000円から)

ちょっと関わりのありそうな家具たち