古書カフェ

「本棚のオーダー」

西東京 S様

design:Sさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:hidenori terai/daisuke imai
painting:hidenori terai

早朝5:30の小金井公園には、ウォーキングする人がまばらにいるだけ。春の雨上がりの空気が木立を抜けて薄荷飴のようなすがすがしさを私に注いでくれるような気分がします。足早に歩く私もウォーキングをしているように見えますが、格好は作業着だし、小脇には地図を抱えているので周りから見れば「何だろう。」と思われるかもしれません。
このあたりはコインパーキングが全く見当たらず、家具の荷下ろしを終えた私は、ようやく見つけた公園の有料駐車場から(早くみんなが待つ現場に戻らなくては)と思いながら足早に歩いている最中でした。地図がないとちょっと迷いそうなくらい大きな公園なのです。
何でこんなに早くにここにいるのかと言うと、この取付当日はSさんが入居した大きなマンションの引渡し日から3日しか経っていなかったからです。600戸を越える世帯数のマンションなので引越しが大混乱するようなのです。そこで整理券を配られると言うことでしたが、その整理券もいつから配られるのかSさんにも分からないところが多く、いつもの時間から取付をするようだと、当日かなり待たされることも考えられるということでこんなに早く来たのです。幸い、まだ入居されている方も少ないようなので、早めに来て、整理券がまだ配られていなければ、頃合いを見てすばやく運んでしまおうという考えでした。幸いSさんはエレベーターを使わない地階の部屋だったのです。
そんなような訳で、その日私は午前3時ちょっと前に起床して4時に会社を出発したのです。(工場から住まいまでが遠い河口君はもっと早起きしたのでは・・。)
徒歩25分掛けて駐車場から現場に戻り、Sさんを尋ねてさっそく家具を取り付けました。それが上の写真の大きな本棚なのです。
最近のマンションの構造は、戸境壁にも家具を固定したり、簡単に絵を掛けたりできるように、コンクリート面の上に直にクロスを貼る仕上げではなくて、きちんと柱を立ててその上に石膏ボードを貼って壁を作っているところが多いようです。「スケルトンインフィル」と言うやつなのでしょうか。こうすればコンクリートによけいな負担を掛けなくて良いですから。私たちも家具を固定しやすいので大歓迎です。そんなような訳で、これだけ大きな家具でも取付はすんなりと3時間掛からないくらいで終わることができました。時計を見ると午前9:30過ぎ。お土産にもらったたくさんのおにぎりをほおばりながら、お昼過ぎには会社に戻ることができたのです。何だか時間が長くて変な感じでした。
最初Sさんの希望は、古い本屋さんにあるような質素な感じの濃い色の本棚でした。
そこで最もシンプルに見えるように本棚の幅を等間隔にしました。また、一部テレビやAV機器を置く場所も棚の高さを他の部分と揃えて「何気ない」感じにしています。それがとっても良いのです。打合せを重ねるうちに濃い色だとかなり本棚の存在感が大きくなってしまうということでシナ合板独特の柔らかい感じはどうでしょうということになりました。
これからここにSさんが持っている昭和期の中古の家具が置かれるとまだグッと雰囲気が変わってくるのでしょうね。
その後、Sさんよりお便りを戴きました。
「今日は朝早くから遠いところをほんとうにありがとうございました。
仕事があったので、私は途中で失礼してしまったのですが、完成したところをみた妻は、おしゃれなカフェみたいと大喜びしていました。
私は、まだできあがったものを拝見していないのですが、組みあがっていく様子を見て、今井さんに頼んで、本当によかったと思いました。
今井さんのホームページをなぜ拝見したのか、さっぱりおぼえていないのですが、偶然の巡り合わせに感謝しています。
本が入るとまた感じが変わるかと思いますが、それはまた写真を撮ってメールでお送りしたいと思います。
それでは今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
本当にありがとうございました。」
うれしい感想ありがとうございます。

シナ合板で作るリビング壁面本棚

カーテンボックスの変形部に合わせて、本棚も整形。

シナ合板で作るリビング壁面本棚

AV機器とテレビをつなぐ配線穴。

シナ合板で作るリビング壁面本棚

AV機器同士の接続をしやすくするために、棚の奥は隙間を開けています。

シナ合板で作るリビング壁面本棚

Sさんから頂いた写真。Sさんの好みがつまったお部屋になりましたね。

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

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