desk to live

「漫画家さんの作業机(ワークデスク)のオーダー」

都内 Y様

design:Yさん
planning:tatsuya suzuki
producer:daisuke imai
painting:daisuke imai

漫画家さんのデスク

こちらが全体の様子。机は脚や引き出しの前板などはカバの無垢材で作っています。机の足元の鏡板や天板などは突き板で製作しています。

2003年の11月の半ば、とある漫画家さんからメールがありました。
「マンガカサン!?」
週刊のマンガ雑誌を読まなくなって久しく経つ私は申し訳ないのですがYさんの作品はあまり詳しく知りませんでした。最近読んだマンガといえば「三国志」くらいなもので・・。

漫画家さんのデスク

こちらが背面の様子。社長のデスクみたいです。そしてここは実際のYさんのアトリエ。アシスタントさんたちと一緒にここで作品を生み出していくのだそうです。当初背板は無しで抜けているイメージで考えていたのですが、Yさんは「この机の向かいにはアシスタントさんが座ると思うので足元はなるべく隠すようにしたいのです。」と言うことでこのような形で鏡板を入れています。

さっそく頂いたイラストを拝見しますと、なかなか素敵なイメージでした。不思議な机ができそうで楽しみだなと思いました。さっそく図面にしてみようと思ったときに、ふとそういえばうちの鈴木君もそろそろCADができるようになってきたから図面を引いてもらおう、と言うことで今回の設計は鈴木君に頼みました。納まりの寸法などは私が見てそれを鈴木君が図面に起こしていくという方法で作業を進めました。こういうふうに進めながら鈴木君にも家具の納まりを理解してもらえたらと思っていたのです。

この写真の形は当初のプランからだいぶ変わったものになったのですが、当初のプランもなかなか素敵なものでした。(机の脚が収納の役目を果たすようなプランで、簡単に言いますと、脚付きの箱が左右に2個あってその上に天板が載っている感じでした。)その当初のプランを提出したあとにYさんから参考写真を何枚か頂いて、それを元に形を再検討し、結果としまして収納と机を切り離してさらに原稿を描くための台も取外し可能なものになったのです。

漫画家さんというのも大変な世界のようで週刊誌ともなると何人もスタッフを抱えてそれぞれパートを受け持って仕事を進めていくのだそうです。Yさん曰くチームだと言っていました。「それが毎週続くのですからなかなか大変です。月刊誌ならもう少し余裕があるのですが・・。」そう言うYさんはその日もちょっとできた仕事の合間を縫って打ち合わせの時間を合わせてくださいました。私はてっきり一人でこつこつと描き進めていくものと思っていましたのでお話を伺うたびにいろいろと感心してしまいました。打ち合わせというものはその人の周りを巡るいろいろな世界のお話を聞くことができる機会ですので私たちにとって大変楽しみな時間でもあります。一緒に打ち合わせに言った鈴木君もいろいろと勉強になったと言っていました。
そして、現在仕事場として使っている住まいが手狭になってきたのを機に新しい仕事場に移るので机も新調しようということになったのだそうです。

漫画家さんのデスク

天板の上には原稿が描きやすいように傾斜した原稿台が載るのですがその傾斜した部分だけが取外し可能になっていて(この机の上で食事を採ることなどもあるからだそうです。)傾斜していないこの写真の部分は天板に固定されています。


漫画家さんのデスク

この部分は机の背面からちょっとしたものがしまえるように収納になっています。この小箱の扉は下に開くようになっていて、ここではミシン蝶番と呼ばれるものを使っています。また、この蝶番だけでは扉はすぐにパタンと下に開いてしまいますので小箱の中にマグネットを取り付けています。また、この部分にはつまみは付けずに扉に丸く穴を抜いてそこに指を入れて開けるようにしています。


漫画家さんのデスク

スライドテーブルの用途は詳しくは聞きませんでしたが、20cm近くとび出てくるテーブルが欲しいと言うことでスライドレールを付けたテーブルを作っています。


漫画家さんのデスク

Yさんから頂いた写真の中に「今購入を検討している家具」の写真がありました。その机のワゴンの引き出しに合わせて、引き出しを閉じている時は引き出しが6杯並んで見えるようにフェイクの目地とツマミをつけてさらに前板をいろいろな色に塗り分けました。この引き出しの上が原稿入れです。これは薄い棚板を差し込むように作りました。


漫画家さんのデスク

ワゴンは原稿入れの寸法を優先して考えましたので、そうするとプランでは机自体の奥行よりもかなり小ぶりな奥行の狭いワゴンとなりました。それではもったいないから机の奥行に合わせるくらいワゴンの奥行も深くして、ワゴンの反対側からも物がしまえるような面白い工夫をしましょうということになり、こちら側は扉をつけて奥行の狭い収納を作りました。

漫画家さんのワークデスク

価格:420,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から)

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