「チェリーのダイニングテーブルのオーダー」

葉山　N様

design:Nさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:tsuyoshi kawaguchi
painting:tsuyoshi kawaguchi

「初めまして。
現在自分達の家を建築中でその家に合うダイニングテーブルのオーダーを検討しています。
家を持つのが夢だったので、7月の完成がとてもたのしみです。
いろいろ設計士さんと相談をしながら、無垢の床と珪藻土の壁、2間×5間のLDになりました。
私事で申し訳ございませんが、実はこの３月に父を亡くしました。父はよきアドバイザーであり大切な存在でした。家の完成を楽しみにしてくれてましたが、残された時間がもうわずかしかないと分かったとき、父が貯めていた自分のおかねを「新しい家に使って欲しい」と私にくれました。
このおかねをどう活かそうかと考えていましたが、ダイニングテーブルはどうだろうと思い至りました。家の中で一番大切な場所、ダイニング。家族が集まって、ご飯を食べて、おしゃべりして。
その中心となるテーブルに使うなら 父もきっと喜んでくれるだろうと思いました。作るならばみんなが集まっても狭くない大きさ、そして自分の子供が巣立っても 新しい家族を連れて帰ってきた時まで使えるような、経年変化を楽しめるテーブルが欲しいと思っています。
きっかけは「LUCCA」のブログでした。（LUUCAは以前に茅ヶ崎のKさんと鎌倉のNさんが家作りのことなどを書いてとても人気があったウェブサイトです。）今回イマイさんにご連絡したのはホームページを拝見して、家具とそれを使う人への気遣い・愛情みたいなものを とても感じたからです。
以下のように希望仕様をお送りいたします。お見積をよろしくお願いいたします。」
何だかうれしくなりますね。最初に頂いた問い合わせにこのようなことが書いてあったんです。

それからNさんはこちらに足を運んでくださっていろいろ素材についての検討をされました。やっぱり、「百聞は一見に如かず」です。見に来てもらったほうが分かりやすいですからね。サイズは大人数で使えるように長さ2m、幅90cm、高さ70cm。
大きいです。そうなると、天板が垂れたりするのが心配なのでちょっと厚く考えます。そうなるともう、とても存在感のあるテーブルができあがります。
問題は材質です。こちらに来て頂いたときにナラ材、チェリー材のどちらかまでは決められましたが今ひとつ「こっち。」というところまではいきません。それならば、一度搬入について確認したり、ご自宅の様子も見ておきたいので、「Nさんのリビングを見ながら決めることにしましょう。」ということになりました。そして、この白い壁、明るい床（時を経ていずれ赤く、茶色くなっていくのでしょう。）、家のつくりや使われている材料を見て・・・、も決めかねます。
うーん、私はナラの色みが好きなのでナラかなあ・・。でもチェリーも良いよね。なんて自問自答。Nさんご夫婦もやはり決められずに・・。でのね、最終的には奥さんが気に入った色、チェリーで決まりました。そのうち床の色と良く馴染んでくるでしょうね。

納品当日、お天気にも恵まれました。何でテーブルなのに搬入経路を確認するのかと言うと、うちで作るテーブルは特に指定がない限りは脚と幕板がホゾで接着されています。脚だけ外して現地で組み立てられる良い金物もあるのですが、どうも不安で・・。ホゾでしっかりと組んでおけばかなり頑丈です。特に重たい天板が載るから頑丈じゃないと、変に力を掛けると歪んでしまうのです。そんなわけでうまく搬入できる場所を見つけておかないと入らなかったりと言うこともありえます。（ちなみに私が以前に住んでいたアパートの玄関から間口が狭くて、普通のサイズで作ったテーブルも入りませんでした。・・のでバルコニーから・・。）
Nさんのお宅の場合もバルコニーから脚を搬入。脚だけを見ると何だか頼りなくも見えますが、天板を載せると急にリビングの中で一番の存在感が出ます。いい雰囲気です。
納品後そのテーブルでお茶を頂きました。
Nさんのお父さんに認めてもらえる良いテーブルになったと思っています。と言うよりも、お父さんから授かったと言うか頂いた大事なものになったのではないかと思っています。
このテーブルは使い始めるこれからどんどん良くなっていくのです。