おひさま
「タモのキッチンアイランドカウンターのオーダー」
世田谷 N様
design:Nさん
planning:daisuke imai
producer:tsuyoshi kawaguchi
painting:haraki tosou
Nさんのお宅は環状線から少し入った静かな通り。いろんな人が通り抜けるこの通りですが、風は穏やかで、太陽はキラキラして、皆どことなく微笑んでいるかのようなやさしく静かな通り。そんな通りを賑わすことになったのは、Nさんのリビングとお子さんの勉強部屋が2階と3階にあったからです。
Nさんのお宅の1階は、ちょっとしたホールと言うか前室というか、多目的なお部屋で、そこからぐるりと階段を上っていくのですが、ちょっと狭い。冷蔵庫もクレーンで上げたそうで。で、家具も、もちろん中を通らずに、外から上げることになったのですが・・・。
今回オーダー頂いたのは、ダイニングで使うカウンターと書斎兼お子さんの勉強部屋に設置するデスクでした。デスクはある程度ユニットごとに分けて製作できるけれど、ダイニングのカウンターは分けて作っちゃうとあまり見栄えが良くない。それで、どこかで分割することなく作ったわけですが、うーん、重いなあ・・。なるべく軽くなるようにと思っていたのですが、やはりね、この大きさになると重いわけです。でもまあ、どうにかなるだろうと思って、取付当日を向かえて、そしてNさんのお宅に到着。
淡い期待を込めて、カウンターを眺めつつ、もう一度階段を眺めたりするのですが、眺めているだけでは階段は広くなったりしない。じゃあ、皆で頑張って上げましょう・・。
まずは、駐車場に外用の布団を敷き、さらにその上に厚めのきれいな布団を敷いて、家具を載せます。その前に、上の会からロープを垂らして、そのロープを布団の一番下に並べておくことを忘れないように。そして、置いた家具の上に厚めの布団を2重に掛けて家具をくるみます。こんなことをしているうちにだんだんとテンションが上がってきます。
「上げるぞ、上げるぞ。」
最後に家具の真上になる位置でロープを縛ります。この縛るのが緊張するわけです。今までは父がしていたのですが、さすがにいつまでもそういうわけにはいかないから、私が行うのですが、もし、これが解けたら家具が落っこちちゃうわけですから。だから、この時ばかりはいつも緊張するのです。
で、縛り終わったら、古い人間が大変な役を引き受ける、と言うことで、私と河口君が2階に上がり、鈴木君と渡辺君が下で持ち上げます。
うーん、やっぱり重い。河口君も辛そう。鈴木君と渡辺君が手を離してまもなく階上に上がって手を貸してくれます。
通り過ぎる人は何事かと見上げていきます。
ふう、ようやく上がりました。これで第一の問題クリア。次はデスクの天板。長さが2700mmほどなのですが、ただの板でもやっぱり階段からは上がらない。これを3階まで上げなくちゃいけない。今度も縛ったあとに鈴木君と渡辺君が持ち上げて、2階で私と河口君が受け取り、その間に3階へと駆け上がった鈴木君と渡辺君がそのままバルコニー越しに受け取るのです。
通り過ぎる人も大丈夫かと見上げていきます。
ふう、上がった。
第二の問題クリア。
でも、気付いたのですが、荷上げは上から持ち上げている間は自分の力を信じていられるけれど、あの天板を上げた時に3階にいる鈴木君と渡辺君に預けて自分の手から天板が離れた時の心細さはないですね。落っこちないでくれよって思わず念じちゃうくらい。意外に上よりも下のほうが精神的に大変かもしれない。
そんなわけで無事に荷上げが終わったので、鈴木君と渡辺君は会社の作業が残っているので先に戻ることにして、河口君と二人で黙々と作業。カウンターは置くだけだから、上がっちゃえば問題ない。
第3の問題はデスク。デスクを設置する背面は屋根勾配が壁に現れているので、壁が手前に傾斜しているのです。これに合わせてデスクを設置しなくちゃいけない。
河口君とは、工場で仮組みした時に、ここでこうして、ああしてって打ち合わせておいたからね。うまくいくさ。
はい、うまくいきました。
予定していたよりもとても順調に取り付けは終わり、まだ日の温かなうちに帰ってくることができたのでした。
Nさんから、お便りを頂きました。
「一昨日はお疲れ様でした。
息子も自慢げに、「すごいのを作ってくれたんだよ~。」と主人に話しておりました(笑)
思い描いた以上の出来上がりに感謝しています。これから、素敵な家具たちと暮らすのが楽しみです。
またいろいろと、相談させて頂きますね。ありがとうございました!」
良かった、良かった。
ダイニングカウンターは、ただの調理台ではなく、ダイニングテーブルとして使うことをメインに考えています。Nさんのダイニングは細長いので、テーブルを置いてしまうと狭くなってしまう。それなら、と言うことでカウンタータイプのものを作ったのです。基本的にはキッチンの向い側に座れるように考えて、キッチン側は、ゴミ箱やその他危惧や食器などが収納できるようになっています。引き出しのとってもちょっと素敵な形にしています。くりぬいた穴の置くに見えるタモ材を黒く塗ってみたのです。可愛いメリハリが出ました。
そして、このカウンターのポイントは、ブックラック。ちょっと読みかけの本があったりする時にリビングから気軽に挿せるようにって考えてあるのです。これがこの家具の良い表情になっています。
お子さんだけではなく皆で一緒に使えるように考えたデスクです。普段書き物をするほかに、ここにパソコンができるように右側は天板を手前にラウンドさせています。真ん中はお子さんの本などをしまうために棚にしています。その両脇にはうすい引き出しを。天板は、1階の多目的なお部屋にあるデスクに合わせて、タモの集成材を使っています。背面の壁が何となく傾斜している様子が分かるでしょうか。
ブックラックのあるタモ材のキッチンカウンター
価格:370,000円(制作費・塗装費)
タモの集成材を使った本棚のあるデスク
価格:300,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から、取付施工費は50,000円から)
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