いつものスタイルで
「食器棚のオーダー」
鎌倉 O様
design:Oさん/seiji imai
planning:daisuke imai
producer:shouko tsuchie/hidenori terai
painting:shouko tsuchie/hidenori terai
「はじめまして。鎌倉在住のOと申します。
御社のホームページ大変興味深く拝見させて頂いております。
今回我が家を部分的にリフォームすることにしました。狭くて使いにくいダイニングキッチンを、ぜひ今井さんの手作り家具で使いやすく変身できたらと思い、昼間お電話させていただきました。」というFAXを頂きました。
私はその頃何だか忙しくて、父が何度がOさんのお宅にお話を伺いに言ったのです。
形がだいたい決まってきて、現地の正確な寸法が必要になってきた時期に、私は父と同行してOさんのお宅に伺いました。鎌倉の八幡さまのそばの小道と言うか路地をプイっと2つばかり曲がったところがOさんのお宅でした。路地は入っていくほど狭く、車は通れなくなります。だからちょっと歩けば渋滞している道路なのにここはさらさらと葉っぱが触れ合う音がよく聞こえるくらい静かなところでした。そんな気持ちの良い場所なのですが、私はどのように搬入したものか思案ばかりしていました。トラックはこの道のどこまでは入れるのか曖昧で(他のお宅の庭の木が道にかなり出っ張っていたからです。)、スタッフ総出で台車を押しながら搬入しようかなと思っていました。
結局いい案が浮かばないまま、Oさんの台所の採寸と最終的な打ち合わせを行い、その日は帰ったのです。
そして、そんな車のことを気にしていたから、気がつかなかったのですが、この変則的なキッチン収納の形は突然Oさんが考えた形と言うわけではなく、以前よりずっとこのスタイルで家具を使い続けていたのだそうです。採寸の時に2つの既製品の家具が置いてあったのですがそれに私は気がつきませんでした。
この形が一番使いやすいのだそうで、このスタイルで今までずっと家事をしていたのだそうです。
なるほど。
そのイメージに父が手を加えてこのキッチン収納ができあがりました。
そして、もう一台。
キッチン収納からちょっとはなれたところ、ダイニングの角にある家具がこの食器棚です。今まで使っていた食器棚も思い切ってOさんは処分して、キッチン収納と合わせた形で作ることにしたのです。
この家具を取り付けている間に素敵なことがありました。
このOさんのお宅のある小道は古く由緒のある通りだそうで(忘れてしまったのですが・・)、人力車の通り道にもなっているのです。
車なんて絶対通れないから、しばらく家具を外に置いておいても大丈夫だろうと思っていたら、「あのー、すみません。」と元気の良い男の人の声が聞こえて、振り返ってみると車を引いているお兄さんでした。「ちょっとだけ、家具を寄せてもらえますか。」と言われて、寄せに行った時に、人力車に乗っているお姉さんに「まぁ、素敵な家具ですね。」と言われたのです。突然のことで何だか照れくさかったけどうれしかったのです。
何だか穏やか町です。
ナラのダイニングテーブルと一体になった食器棚
価格:610,000円(制作費・塗装費)
ナラのカップボード
価格:380,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から、取付施工費は70,000円から)