とても好きなかたち
「タモの引き戸の食器棚のオーダー」
梶ヶ谷 T様
design:Tさん
planning:daisuke imai
producer:kazunaga watanabe
painting:kazunaga watanabe
「IMAIさま、初めてお便り申し上げます。
現在戸建の注文住宅を検討しており、ぜひカップボードの製作をIMAI様の方でお願いできればと思っております。他にはない無垢の雰囲気がとっても素敵です(^^)。
イメージとしては、「morning sun」のIさんのお客様のような感じです。
上記の例と同じように、ボードの前にダイニングテーブルが配置される関係で、引き戸が良いかなと思っております。
また天井の方にもシンプルな食器棚を追加できればと思っています。詳細なイメージ、サイズなどについては添付の画像をご確認いただけますでしょうか。
どうぞ宜しくお願い致します。」
と、Tさんからメールを頂きました。
再度のご相談メールと一緒に方眼紙に描いた手描きのスケッチを写真に撮ったものがメールに添付されていました。
ご相談を頂く時に、文章だけだとやはり分かりづらい部分があったりするので、このように写真にスケッチを撮って、メールにつけて送ってもらえると、何かと分かりやすくて助かるのでした。
さっそくそのスケッチに基づいて、そして、イメージされていると言う茅ヶ崎のIさんのカップボードを確認しながらプランを考えていきます。そして、提出。
当初は、システムキッチンに濃い茶色を持ってくることを想定されていたので、このカップボードはウォールナットで作ることを考えていましたが、予算の関係で素材を変えることに。
使いやすいタモ材で作りそこに色を入れてオイル塗装をするような仕上がりを提案させて頂きました。ただ、着色オイルを使って塗装をすると、一つクセが出るのです。
それは、色ムラです。針葉樹は特にそのムラの濃淡が極端できれいに仕上がらないので、オイル塗装での着色はお勧めしないのですが、タモ材のような広葉樹でしたら、着色して仕上がることが可能です。でも、色ムラが少し出るのです。気になる場合もあるし、気にならない場合もある。
雰囲気としては、少しアンティークな感じになることが多いのです。ウォールナットのようなスッキリとした茶色にまとまらないことが多いので、なかなか難しいのです。
どんな感じに仕上がるかな。
それから、しばらくいろいろと悩みまして、タモはタモそのままの色を生かすことに。着色すると、導管に入った色が少し鈍く見えて、タモ独特のキリッとした表情がほんの少しうすれてしまうと思い、色をつけない仕上げも提案させて頂いたのです。
そして、Tさんが当初考えていた無垢材の表情豊かな感じに仕上げるためにひと工夫をすることにしました。
いつも突き板を使う場合は、ロットを揃えた板(同じ丸太の同じ場所から切り出した突き板)を使うことが多いのです。
これは、家具に統一感を出させるために同じ木の色、同じ表情を使うと言うのが、きれいな仕上げで一般的な材料の取り方とされているのですが、同じ表情が並ぶため、最近は木のいろいろな表情や色を好まれる方が多いため、同じロットで揃えすぎると、きれいすぎて人工的に感じてしまうこともあるのです。
そこで、あえてロットのバラバラのものを使うことで面白い表情になります。今回のTさんのカップボードはそのようにしてみたのでした。
なかなか良い表情になりました。上の吊戸棚の開き扉と下の引き戸のバランスも良くまとまりました。
それから、今回引き戸をどのようなタイプの引き戸にするかを迷いました。一番シンプルなのは、押入れの襖や障子のように、上下に溝を突いておいてそこを戸が滑るタイプ。シンプルですが、時々ロウを塗らなければすべりが悪くなりやすく、その溝のゴミがたまりやすいのです。
次に地板(カップボードの下の板)にアルミのレールを埋め込んで、戸の下には戸車を入れて、上は溝を突いて置いて滑らせる方法。低コストで滑り良い戸にすることができます。ただ、扉を閉めたときでもレールの金属感が少し目立つのと、レールにゴミがたまりやすいのです。}
最後が、上からとを吊り下げる金物を使うタイプ。一番高価ですが、下の板には溝などが要らないのでゴミがたまらないのと、食器などの出し入れがしやすく、また戸車に比べて音が静かです。
さて、どれにしようかと悩みまして、今回は、滑りやすさとコストのバランスから考えて、アルミのレールと戸車のタイプしたのです。
タモの引き戸のある食器棚
価格:530,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は18,000円から、取付施工費は35,000円から)