穏やかなダイニング
「カバザクラを使ったキッチンアイランドカウンターのオーダー」
高尾 M様
design:Mさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:tsuyoshi kawaguchi
painting:tsuyoshi kawaguchi
高尾のMさんからご連絡を頂いたのは本当に久しぶりでした。今から三年前の秋頃にMさんからダイニングテーブルと食器棚の依頼を頂いたのでした。いちょう並木は、枝からその実をぶら下げ、そして香らせた通りは、雨上がりでスゥッとした空気になっていて、その中をフカフカした葉の絨毯の上を柔らかく駅からMさんのお宅まで歩いたのを良く覚えております。
再び、Mさんのお宅に辿り着くと、「はーい。」と元気の良い声が返ってきました。
あの時、おなかの大きかった奥様でしたが、今では大きく育った坊やが奥様とそばに立っておりました。
時間が経つのは早いものですね。
食器棚の引き出しが調子悪くなってしまったと言うことで、その様子を見て、そして、今Mさんが考えている家具について聞かせて頂きました。
Mさんのリビングダイニングは大きな一つのスペースなのですが、玄関からドアを開けると、もう、この大空間になってしまう。広いのは良いのですがメリハリがほしい、そして収納が少ない分を補いたい、と言うのがMさんの今回のご相談でした。そこでMさんが考えたのが、玄関から入ってきた時にダイニングやキッチンが丸見えになってしまうので、その目隠しとなって、さらにリビングとダイニングを分けるような役割をする家具を作りたいと考えていたのです。
「これはずっと前から考えていたのですが、今まではこのベビーベッドが、仕切りのような感じになっていたのですが、もう息子も大きくなってきたことだし、このベッドを片付けなければいけなくなって、そうなると向こうからキッチンが全部見えちゃうのがどうかなって思いまして。」ともう使わなくなってしまったベビーベッドに目を向けながら、ご主人が話してくださいました。
面白そうですね。
それから、Mさんのご要望を聞いて、どんな感じの家具にしていきたいかを伺うにつれて一つの方向が見えてきました。テーマは、「さりげなさ」です。何となく自然とそうなった丸み、手触りにしたい、と言う奥さんの希望です。私も一つだけ自分の要望を組み込ませてもらいました。横格子です。
今回のMさんの家具は、大きさの割りに奥行が深い家具になる予定でした。あまりシンプルにしすぎると、大きな塊だけの家具になってしまいそうで。どこかスッと鋭い線が入っていたほうが印象が引き締まるかなって思ったのです。聞くと、奥さんがもしかしたら、「通気ができるような引き出しがあるとうれしいです。」と言っていたので、部分的に横格子を入れさせてもらいました。
でも、できあがった家具を見ると、やはり入れて正解だったようです。Mさんにも前の時以上に喜んでいただけて、大変うれしくなりました。
ただ一つ残念なのは、この穏やかなMさんご家族のダイニングが、この家具が置かれたために外からはあまり感じることができなくなってしまったことです。(笑)
実際に、玄関からお部屋に入って、この家具に触って、ダイニングに辿り着くと、ほら、ようやくMさんの温かさにふれることができるのです。
カバザクラを使ったキッチンアイランドカウンター
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