pastral kitchen

「マットホワイト化粧板とタイルを使った食器棚のオーダー」

横浜 A様

design:Aさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:yasukazu kanai
painting:yasukazu kanai

チェリーとウォールナットとタイルの南欧風食器棚

Aさんから頂いたスケッチ。

以前に小さな台を作らせて頂いた「閑雅」の横須賀のAさんから大変久しぶりにメールを頂いたのでした。

「今井大輔様
大変ご無沙汰しています。横須賀のAです。
以前お世話になってからもう5年くらい経ちますが、その節は小さいものにも関わらず、自分がイメージした以上の素敵なものを作って頂き、本当に有難うございました。
あれからいろいろありまして、台の方は十分な手入れもしてあげられていないけれど、チェリーはとてもとてもいい色になってきました。 今井さんにお願いして本当に良かったと心から満足しています。 あの時から、自分で家を持つ事になったら絶対今井さんにお願いしよう、と思ってきたのですが、ようやくそれが実現する運びとなりました。
家といいましても、小さいマンションですが、台所に物入れと、食卓と、予算が合えば椅子もお願いしたいのです。
本当は、もう夏の初めから決まったことだったのですが、自分がこうしたいというイメージがどうしても固まらず、しょっちゅう今井さんのウェブサイトを見ながら、ああでもない、こうでもないとやっていて、あっという間に夏も秋も終わってしまいました。
ようやく絵をかけたものの、大変心苦しいのですが、とてもタイトなスケジュールをお伝えせねばなりません。 入居可能月が3ヵ月後で、内覧会が来月なのです。内覧会を逃すと、次に中に入れるのは、2ヵ月後となってしまいます。台所は、下がり天井部分があるので、長さを測らないと駄目ですよね・・・。
家具そのものは、今からのお願いなので、入居時に間に合わなくても良いです。どうせなら、納得がいくもので造って頂きたいので。
とはいえ、入居前の納品に間に合うならば、それにあわせて転居できるのでイメージを見てざっくりした予定をいただければ、有難く思います。
以下、具体的なご相談です。
食卓と椅子は、「素朴で良いひとたち」の食卓と椅子。ただ、私のマンションの居間の広さとのバランスでは、W1600/D800くらいが妥当なので、天板の厚みは40ミリでもいいかな、など悩みます。素材はチェリーが好きですが、木目の感じが床と合うかしら・・。
チェリーとウォールナットとタイルの南欧風食器棚
カップボードは添付の写真のような感じで、木のカウンターとその下のタイル張りの感じがとても気に入り、こんな感じにしたいのです。
私の場合、横幅が1200mmしか取れないので、真ん中のワイン等をいれる部分は割愛。2段のオープン棚にし、味噌の瓶や梅酒や梅干のビンを置きます。(その他、鍋類を置いたり・・・)
カウンターは、食卓とあわせてチェリー、その上の吊り戸棚については、オフホワイトの化粧板で、オークの色味で縁取り、開閉はフラップ式で2段。(日常使いの食器を置く)
戸棚の下には、オーク色の小箱(どこにあったか明記できませんが製作例で見ました。菜ばしとか皮むき器とか、細かい調理器具を入れたり、と考えていて、必要な時には小箱を引き抜いてカウンターに置いて使ったりしまったり出来るように。)
カウンターの左側ですが、スノコのようにしている部分は、その奥にゴミ箱をおきます。スノコのように隙間をあけたドアをつけ、左奥へしまいこむようにドアを納めて普段は使いたい。ここは木製で色みをオークに。
その上ですが、表面は吊り戸棚と同じオフホワイトの化粧板で、左に開閉する扉をつける。 つまみをどんな感じにするかイメージが出来ていない為、絵ではのっぺらぼうになっていてすみません。扉を開けたら、1つの固定棚(炊飯器をしまう為)と、バスケットを設置して乾物などを納めたいと考えています。
吊り戸棚は天井までにせず20センチほど開けて、逆に左側の収納は天井までにしたいです。(下がり天井分、欠けた形になります。ここだけ奥行きを書き忘れました)
フラップにするだの、左奥に扉をしまうだの、きっと構造的に無理な面がある事と思いますが、素人考えで”こう出来たらいいな”で言っているので、お許しください。
長々と、本当に勝手ばかりで申し訳ありませんが、どうか宜しくお願い致します。」

チェリーとウォールナットとタイルの南欧風食器棚

こちらが完成像。ウォールナットとチェリーとスカイブルーのタイルと白い面材を使っているのですが、素材がばらつくことなく、全体の印象も柔らかすぎず、とても良い感じに整いました。

アメリカンチェリーのダイニングテーブル

こちらは、ダイニングテーブル。当面は2人で使えれば良いのですが、将来的に4人でもきちんと座れるサイズで、と言うことで少し小ぶりなテーブル。

「時間が経つのは早いものですね。
記憶はとても近くにあるのに、振り返るともうそんなに時間が経っているのですね。
以前Aさんのお母様が話されていた、米ぬかで床を磨くことのお話が今でもきちんと私の中に残っていて、家や家具に対していつもきちんと向き合わないといけないなと、あの時のお話を思い出すたびに気持ちが引き締まります。(笑)
お仏壇の台が良い色になってきたとのこと、もし機会ができたら見せて頂けたらうれしいです。
チェリーはあっという間に飴色に変わって良い色になっていきますものね。」
Aさんとのお付き合いは今思い返してもとても印象深い思い出です。朝早くお邪魔させて頂いたり、日曜の朝ごはんを一緒にごちそうになったり。
そんなAさんからまたご相談を頂けることがとてもうれしかったのでした。

まずは、内覧会が近づいているので、原案をひとつ作成してお会いしてそこでいろいろとお話を聞かせていただくことに。
キッチンに立ちながらいろいろとお話を聞かせて頂いた印象だと、Aさんは実はもっと洋風なイメージ好みだったと言うことでした。
前回作らせて頂いた台の印象と、あの時の立ち振る舞いかたを拝見していましたので、きっと和風なテイストが好みに違いないってずっと思っていて、スケッチを頂いていてもなお、どこか和風に取りまとめなくては、って思っていたのです。でも、いろいろとお話をしてみると、「素朴で温かみのあるヨーロッパの片田舎の農家の印象が好きなのです。」と言う意外なお返事に、戸惑いながらも、やはりお話しながらじゃないと本当のことは生まれてこないものなのだなあとあらためて思ったのでした。
それで、「お話だけだと伝わりにくい部分もあると思いますので。」と言うことで、今度は私たちのところに来て頂くことに。百聞は一見に如かずです。ショールームが新しくなってから、Aさんはいらっしゃっていなかったので、きっと良いインスピレーションが生まれると思ったのです。
ここに来ていろいろと見て頂いたのは、やはり良い刺激になりまして、タイルの色と素材のバランスを実際にいろいろと比べながら考えたり、素材の手触りを知って頂いたり、こういうふうにして形がより明確にAさんの中にも、私の中にも固まっていったのでした。

そしていよいよAさんと家具のご対面。
残念ながら、私たちは今までこの気持ちを感じたことがないのです。
考えて考えて、できあがりを待って、ようやく目にした時の喜びが。
自分でも何かをオーダーで依頼したことはありますが、家具のように細かいところまで考えて、それが自分の頭の中で形になっていて、きっとこんな家具ができてくるんだって言うワクワク感と実際に目の前に現れた時に喜びって、きっと素敵な気持ちになるんだろうなあって思うのです。
けれども、私たちは自分で作る立場だからこの気持ちが分からなくって、それが少し残念。でも、使ってくださる人がこうして目の前で喜んでくださることが私たちにとってはとてもうれしいことです。
よかった、
ありがとうございました。

チェリーとウォールナットとタイルの南欧風食器棚

白いエンボス柄の化粧板をウォールナットで縁取った様子。Aさんが子供の頃に見ていた食器棚がこういう感じで、どこか懐かしく温かいイメージをずっと持っていたのだそうです。

チェリーとウォールナットとタイルの南欧風食器棚

その縁取りは、扉面よりも少し出っ張らせることで、はっきりとした印象になります。とても懐かしいのに、とてもミニマルでモダンな印象にも見えませんか。

チェリーとウォールナットとタイルの南欧風食器棚

「出会えたことがうれしく思える」の町田のOさん食器棚で作った吊戸棚の下の小箱。これはなかなか好評で、Aさんのほかにも「あの形は良いですね。」と言って頂けるデザインなのです。今回は、ウォールナットで製作。良い柄が出ています。

チェリーとウォールナットとタイルの南欧風食器棚

天板はチェリーで。おそらく前回作らせて頂いた台のようにあっという間に良い飴色に変わっていくのだと思います。

アメリカンチェリーのダイニングテーブル

よい柄です。

「今井大輔様
昨日は狭いところでの取り付け、大変お疲れ様でした!
2月中に納品していただき、本当に有難うございます。
まだろくに整理が出来ておらず、引越しの段ボールも残ったままの中、キッチンに収納が入り、食卓が入り、やっと「住まい」らしくなってとてもとても嬉しいです。
使い方のご説明、ご丁寧にどうも有難うございます。
今井さんと金井さんがお帰りになって、早速、開けたり閉めたりしみじみ、触りまくりました(笑)
棚の縁取りをタイル張りにすることで、農家風というか、ちょっと甘いイメージもあり、居間と一体の部屋の雰囲気とどう噛み合っていくのか、私自身もほんの少し不安もあったのですが、今井さんのご提案のウォルナットの縁取りがすごく効いていると思います。
また、引き出しに模様があることでぐっと引き締まり、こんな風になったのね~、と昨夜は幸せ感を、それはそれは、満喫していました。
しばらく時間はかかると思いますが、真新しい我が家もそのうちに私の「色」が出てくるだろうと思います。収納の棚も食卓も、一緒に・・・それが今から楽しみです。
食卓も、好みの大きさに出来上がって大満足です。
実際に今井さんのところに伺って、色んなものを見せて頂いたのが、とても良かったです。 天板の厚み、足の太さ、そして全体のバランス。
やはり、実際に見てみないとイメージがつかめないものですものね。ショールームは今井家の皆さんのお人柄が感じられる、とてもとても居心地の良い空間ですね。灯りとか、小物とか、魅力的な商品がいっぱいでした。
機会があったら是非また伺いたいです。
こちらこそ、末永くよろしくお願い致します。
最後になってしまいましたが、作ってくださった金井さんにも、どうかくれぐれもよろしくお伝え下さい。
追伸:
リゾットは少々にんにくが効きすぎでした、、あとの訪問がお有りだったのにすみません!
慌てていたので、少し塩気も不足気味でしたが、まあご愛嬌でお許しの程・・」

タイルとチェリーの食器棚

価格:510,000円(制作費・塗装費)

チェリーのダイニングテーブル

価格:240,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は18,000円から、取付施工費は38,000円から)

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