おいしいお昼ご飯とたいへん難しいお仕事
「タモのテレビボードのオーダー」
糀谷 T様
design:Tさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:daisuke imai/hidenori terai/tsuyoshi kawaguchi
painting:daisuke imai/tsuyoshi kawaguchi
確か、私が打合せか、取り付けで出掛けている最中にTさんご夫婦はこちらに来てくれたのでした。父とお話をしていて、だいたい大まかな話が聞けたあたりで私が戻ったので、引き続き詳しいお話を聞いたのを覚えています。昨年(2006年)の10月頃のお話ですね。Tさんが持ってきてくださったプランのイラストはシンプルでそのイラストを見た限りでほぼ完成した形でしたので、細かい部分を考え直しただけで順調にお話がまとまりました。
それでは、ということで採寸に伺います。
基本的に冬以外は自転車です。(冬は汗が引いてすぐに風邪引いちゃうので。)場所は大田区の糀谷。たくさんの職人さんが集まる工業の町といった感じのところです。しかし、大田区は遠いのですね。車で走っていると、渋谷や中野の方に行くのは大変時間が掛かるけれど、大田区や羽田の方は意外とすんなり来れちゃう。だから自転車でも同じだと思っていたら距離は渋谷の方がずっと近いんですね。がむしゃらに走っていたら翌日疲れが残ってしまいました。いけませんね。
Tさんのお宅はそのような小さな町工場に囲まれた一角にありました。打ち合わせ中も近くから金属を打つトントンという音が聞こえてきます。昔駄菓子屋を営んでいた祖母の家の近くも小さな工場で狭い狭い路地を曲がると不思議な音がしていたのを思い出します。
さっそくTさんのお宅にお邪魔させて頂き、いろいろな楽しいお話を交えて採寸を終えて打合せをしている時に、ふと、このリビングボード以外のお話になりました。「実は、この梁が気に入らないんですよ・・・。」
お話を聞くと、このお家を立てた工務店さんは結構ポンポンと工事を進めてしまうところだったらしく、口を挟む余地もないまま、せっかくの梁にボードを巻かれてクロスを張られてしまったのだそうです。しかも黒いクロスを。どうにか、他の形にしてほしいと頼んでもなかなか動いてくれずに途方にくれていたのだそうです。普段はお二人でできることは何でもやってしまうそうですが、(現にご自宅でお仕事をされていて、本棚や机のあるそのワークスペースはお二人で作ったのだそうです。)この梁だけはどうにもならずにどうしようかと思っていたところに、「上から木を貼ってお化粧することもできますよ。」と軽く返事をしてしまった私。
そして目をキラキラさせるTさん。
「本当ですか。じゃあお願いします。」
その時はまだ(ふふん、簡単にできるよね。)なんて思っていました・・・。
その後、河口君が家具の製作を終わらせたのを見計らって、梁を化粧する特注の長さ(2600mm)のチークの突き板を材料屋さんに作ってもらいました。すべて用意ができていざ取付へ。
午前10時ごろから開始します。まず黒いクロスをはがして、チークの突き板を梁の寸法に合わせて下の駐車場でカットします。そしてそれに木工用ボンドをローラーでゴロゴロと塗って石膏ボードの上にペタッと貼って落っこちないように仮釘(後で抜くので仮に打つ釘です。)を打って固定します。ボンドが乾くのに2時間掛かります。この時間を利用して家具の取り付けです。家具の取り付けは意外と順調。
さあ、2時間立って固まった板の角に4mm角の長さ2600mm分の無垢を入れます。こうすることで角を丸めることができて1本の大きな梁に見せることができるのです。この無垢を乾かすのにさらに2時間。またこの乾燥時間の間に家具の取り付けです。
結局、その日1日で家具の取り付けは終わったのですが、梁の化粧は一ヶ所は終わりましたがもう一ヶ所は残ってしまい、1日で終わらせる予定がもう1日時間を頂くことになってしまいました・・。Tさんにはさらにもう1日後迷惑をかけてしまいます。
「もう1日掛かったって、うちはぜんぜんいいんですよ。」とそう言ってくださいました。とても素敵なお昼ご飯まで作ってくださったのに・・・、終わらなかったなんて・・。
ちょっと悔しいです。(と、思いながらも今考えると明らかに1日で終わらせるには時間が足りないですね。もっと慎重に予定を立てなくてはいけませんね。)
そしてその2週間後、再び訪問。前回の作業の慣れがあるのか今日はとても効率よく進みます。そして、またお昼ご飯です。うれしい、おいしい。
いっぱいになったおなかを抱えてオイルを塗ってようやく完成。
Tさん、大変大変お待たせしました。そして、ごちそうさまでした。
その後、Tさんからお便りを頂きました。
「さて今回は、完成品もすばらしいですが、これまでのプロセスもとても楽しませていただきました。
私たちの家は住空間としてまだまだ未完成ですので、まだまだお願いしたいところがたくさんあります。全部で何年もかかるかもしれませんが、ちょっとずつ理想の空間にしていくつもりです。またお願いできる用意ができましたら、ご相談にのっていただけるとうれしいです。
あとホームページとブログを楽しみにしています。
いろんな方のいろんな作品を見てまたアイデアを膨らませたいと思います。
それではまたよろしくお願いいたします。」
いえいえ、こちらこそこれからも末永くお付き合い下さいますようよろしくお願い致します。
(また、ご飯を楽しみにしています・・。)
タモのリビングボードとテレビボード・チークの梁化粧一式
価格:980,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は160,000円から)
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