サイコロ

「ナラのテレビボードのオーダー」

逗子 N様

design:Nさん
planning:daisuke imai
producer:yasukazu kanai
painting:yasukazu kanai

宙に浮いているようなテレビボード

「一年前ほどキッチンの見積を出して頂いたNと申します。その後いろいろなできごとがあり、結果キッチンは泣く泣くシステムキッチンを導入することになってしまいました。
転居後すぐに震災が起こり、まだまだ気持ちとともに荷物の整理も片付かず悶々とすごしております。
そして複雑な気持ちの中にも、後悔しない生活を送りたい!と思いたち、このメールを書いております。
この発注で気持ちを転換できるきっかけになれば!とワクワクしております。
(前置きがながく、軸足のない文章で申し訳ございません)
キッチンについては別途じっくり相談をしたいのですが今回はテレビボード兼収納棚を作成したく見積もりのお願いです。」

象嵌の引き出しのあるリビングボード

サイコロの目1と2。1はお嬢さんの引き出しになる予定。2は生まれて間もないお子様の引き出し。

そのキッチンのプランを考えていた時に、私たちの家具作りについてはいろいろと理解してくださっていて、私たちがどんな感じの家具を作るかをNさんはすでに知っていらっしゃったので、メールでやり取りするよりもお会いしたほうがお話がしやすいかなと思いまして、まずはお伺いしていろいろとお話を聞いたのでした。

象嵌の引き出しのあるリビングボード

3と4はご主人と奥様が使う引き出し。

そこで、いろいろと聞かせて頂いたのは、やはりキッチンの憧れでした。(笑)
既存のユニットを組み合わせて作るシステムキッチンだと、どうしても自分の望んだ使い勝手とは違って使いにくい部分が出てくるのだと言うことでした。特にNさんのキッチンは間取りの関係で、1800mmかける1800mmくらいのL型のキッチン。かなり狭く感じてしまうと言うことでした。

象嵌の引き出しのあるリビングボード

リビングボードには、配線穴がありますが、今のところ使う予定はないので、まるで家のような形を木のフタを作りました。

L型のキッチンの場合は、Lの角になる部分は、どう考えても使い勝手はあまり良くなくなってしまうから、キッチンg縄ではなく、ダイニング側から使えるようにするなど、オーダーでキッチンを作る場合は、以前に作らせて頂いた辻堂のSさんのようにいろんなアレンジができるのですが、システムキッチンだとなかなか難しいのです。
それで、打ち合わせの最初の1時間くらいは、どうしたらキッチンを使いやすくできるのか、あれこれと奥様とお話させて頂きました。
それからメインのリビングボードのお話になりましたが、こちらのほうがある程度奥様のイメージは固まっていたので、打ち合わせはスムーズ。しばらくして一つのプランができ上がったので、では、このプランできちんとした図面と御見積を作りますね、とお話して戻ってきたのでした。

象嵌の引き出しのあるリビングボード

吊戸棚の扉は上開き扉。開いた時は90度でストップして、閉める時は軽く下に押すと、あとは手を離してもゆっくりと閉まるソフトダウンステーがついています。

そして、まもなく、Nさんからのお便り。
「先日はご足労いただき、大変恐縮です。
なによりキッチンをご相談させていただいたのは、本当に感謝しております。
鬱積していたものが、パァーっと視界が開き、おかげさまで前向きに考えられるようになりました。
そして、必ずや今井さんにキッチンをつくっていただこうっ!と希望がわいております!!
さて、その前にリビングボードですね。(笑)
見積もりと図面、ありがとうございます!
考えるだけでワクワクしちゃいます。」と、やり取りが始まったのです。
そうして、しばらくしましたら、奥様に待望の二人目のお子さんが。

象嵌の引き出しのあるリビングボード

今までの暮らしでは、この角に小さなテレビ台を置いてテレビを見ていたので、今回も同じような使いかたにしようと言うお話だったのですが、リビングボードの上にテレビを載せると高すぎて見づらいけれど、テレビに合わせて、その場所だけ高さを変えるとスッキリしないし・・、と言うことで思い切って、テレビの位置を変えて、お部屋で過ごすスタイルを変えたのでした。

ということで、しばらくおなかが安定するまで、時間が開くことに。

象嵌の引き出しのあるリビングボード

引出しと扉を開けるとこのような感じ。

3ヶ月ほど経った頃に、
「たいへんご無沙汰しております。お変わりありませんでしょうか?
体調も安定しはじめたので、リビングボードのお願いを再開したくご連絡した次第です。」
と連絡を頂いたのです。

中に浮いているようなテレビボード

こちらがテレビボード。パッと見ると宙に浮いているように見えますが、奥行がそれなりに深いボードなので、壁に吊るようにすると、使っていて早い時期に、歪みが出てくる可能性がありましたので、見えないような一度そっと脚をつけています。

そのあいだにいろいろな方々の家具を作らせて頂いていたので、もう一度Nさんの形を確認しておかなければいけないと思いまして、再訪。
今度は、前回忙しくて打ち合わせに参加できなかったご主人も一緒です。そうして、3人でお話しするうちに、ご主人の考え方や好みと意見があってしまいまして、今までのプランからより楽しい方向へと。
奥様がお茶を用意してくださっているにコソコソと打ち合わせ。

宙に浮いているようなテレビボード

テレビボードの一番左は、上に開く扉。なぜここだけ上に開くのかと言うと、お嬢さんが遊んだおもちゃを自分で楽しくお片づけできるようにするためなのです。

「象嵌もできますよ。」
「象嵌って何ですか?」
地の木に彫刻して別の木を埋めたりする表現方法で・・。」フムフムフム・・。
「あー、こっそりと何を話しているんですか。」
と奥様。
そういうわけで、サイコロの象嵌とテレビの壁掛け工事が決定。

宙に浮いているようなテレビボード

中央と右側は、下に向かって開く扉。中央部分はレコーダーなどの機器が入っていて、一番右は、本などが入るようにと考えています。

と、テレビの壁掛け工事も引き受けることになったのですが、さて、うまく行くかな・・。
取付工事当日は、あらためてご主人にご自宅の設計図面を引っぱり出してもらって、製作を担当した金井君と私と3人で、この壁なら線が通せるから、とか、いや危ないかもとか打ち合わせ・・。金井君の前職は現場監督さん。
結局おそらく筋交いに当らないと思われる壁を開口して、コンセントをつないで、他のケーブルをつないで、壁掛け金物を取り付けて、無事終了。
これで、Nさんのリビングとダイニングはひと段落ですね。
あとは、奥様が一番望んでいるキッチン。まだ使い始めたばかりのキッチンだから、作りかえるのはずっと先だとは思いますが、またいつでも気軽に声を掛けてくださいね。そのときを楽しみしています。

Nさんからお便りを頂きました。
「イマイ様
先日は納品ありがとうございました。
念願叶ってのイマイさんの家具、やっぱりオーダーしてよかったです。
木目や計算されたラインの美しさはやはり心にもやさしさがともり、安心・安定感を導いてくれます。
なによりも片付け下手な主人が、きちんと収納を心がけてくれます。
(納品後いそいそとCDを収納しておりました)
サイコロ目の1番が娘のスペース。彼女もちゃんとお片付けしてくれて自分の城のように楽しんでいます。
またテレビ側の上開きスペースに入ってはかくれんぼしてます。(笑)
「壊れない」とおっしゃってましたが、内心ひやひやしてます。
テレビの取り付け、ご苦労かけたようでありがとうございました!
やっぱり、、、いいです。 完璧です!
お忙しいようですが身体にご自愛ください。」

ナラのサイコロリビングボード

価格:550,000円(制作費・塗装費)

ナラの宙に浮いているようなテレビボード

価格:200,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から、取付施工費は38,000円から)

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