tanned oak
「ナラのマントルピースのようなテレビボードのオーダー」
大塚 K様
design:Kさん
planning:daisuke imai
producer:yasukazu kanai
painting:yasukazu kanai
「初めまして、Kと申します。リビングにTV、DVDプレーヤ類3台を収納するためのボード+その両側に350mmから450mm幅の扉つきシェルフ2台という形で考えています。
高さは1200mm程度で統一し上部を飾り棚として利用。イメージはマントルピースのような存在で、できればTVは隠せるように。
また壁がタイル張りのためTV収納部分の背板は無しで。壁にピッタリと家具を付けられるよう、配線のおさまりがいいデザイン。
色は今のところウェンゲや黒、もしくは画像にあるような乾いた感じのオーク。またはそれらとのコンビ。好きなディティールの家具の画像を添付しました。
希望のみをつらつらと記載しましたがよろしくお願いいたします。」
とKさんからご相談のメールを頂きました。
さっそく、添付されていた「フラマン」というメーカーのキャビネット。色褪せた白いオーク、木地のままのオークのような印象の家具です。
その他にも真っ黒い色を生かしたテレビボードと、やはり白く着色されたテレビボードの写真がありました。
こういうクラシカルなデザインの家具は難しいのです。装飾ひとつで印象ががなりと変わってしまう。
まずは原案となる形を考えて、それをもとにKさんと打合せを始めました。
色をどうするか、装飾の部分はどんなモチーフにするか、こちらまで来て頂いて、細かい部分までお話しして、そこから、さらにKさんの心象に踏み込んでいって・・。約3か月くらい掛けて一つの形を見つけ出しました。
こうして、いよいよ形は決まりました。
そして、今回の製作担当はカナイ君。スズキ君の采配で今回はカナイ君が担当することになりましたが、どうかな・・。
まだ、入ってそれほど年季の経たない職人が担当するには、ちょっとヘビーな今回の家具。あれこれ試行錯誤しながら、時には回り道をしながら、彼なりののみ込みの速さで形にしていきます。予定していた装飾部分がパーツとして適合しなくて、入社したてだけれどすでにベテランのムラカミ君が手を差し延べたりしながら、良いスピードで形ができあがりました。良い仕事です。
と、ここからはまってしまいます。
形はイメージ通りのものができましたが、ここから色褪せたオークを表現していくのが、なかなか大変なのでした。
今回は、グレイッシュな感じで色褪せた感じを表現することになったので、ワトコオイルではなく、オスモ使うことにしました。サンプルを塗って、その色で進めることにしたのですが、広い面積を塗っていくとその色だけだと、きれいにまとまった感じになってしまいました。
せっかく風化した感じの浮造りもこれだとあまり生きてこないかもしれない・・。
ひとまずどうするかを考えるために、その日はそのままに・・。
でも、答えを見つけなくてはいけないので、夜中にふと思い立って、もう一度フラマンの写真を眺めては、テレビボードの表面を磨いていきます。ちょっとしたエイジング加工です。うっすら色が落ちた感じでいったん手を止めて、3歩下がって全体を見渡します。だんだんと良い印象になってくる感じがしていました。
翌日、カナイ君にこの方法で進めてもらうことに。
1回目、2回目・・・。良い感じのムラが出てきました。浮造りの陰影も良く表れてきました。色の感じを見てもらうために、仕上げる前にKさんに連絡。ブログに乗せた写真を見て頂いて、喜んでもらえたので、そのまま進めて完了。納得いく色に仕上がりました。
ふぅ。
「イマイ様
先日は猛暑の中の搬入設置、ありがとうございました。
その晩、早速主人が機器類をセットいたしました。
配線も目線もすっきりし、とても良い感じです。なにより、TVがリビングの主役になっている様がどうしてもしっくりこなかったもので。
おかげ様で我が家の毎日の生活の中に、しっくりと馴染んで鎮座しております。
大事に致します、ありがとうございました。」
ナラのマントルピースのようなテレビボード
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