明暗

「ウォールナットとホワイトウレタン塗装仕上げの壁面収納のオーダー」

三ツ沢 S様

design:Sさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:tatsuya suzuki
painting:haraki tosou/tatsuya suzuki

いつも思うのですが、私は家具をデザインするのがとても苦手なのです。
「えーっ、でもこんなにいろいろな素敵な家具を作っていらっしゃるじゃないですか。」って、その度によく皆さんから不思議がられるのですが、「でも、今まで作ってきたもののはじまりは皆さんが考えたアイデアがかたちになったものなのですよ。」といつも答えています。実際にほとんどの家具はその通りで、私が発想したプランはあんまりないのです・・・。
昔は自分で考えた形の家具がたくさん作れたらいいなって思い続けてきました。やっぱり自分の好きな形があってそういう形に囲まれた空間ていいだろうなって思っていました。でも、いざ始めてみるとゼロから考えるのって本当に大変なんです。尻込みしちゃう。
それに、自分の考え(デザイン)を「こんな形にしてみましょう。」って押しつけるような気がして。
でも、実際は本当はそうじゃなくて、その始まりをきっかけに家具作りがスタートするからその初め理を考えることってすごく大切なことなのだろうけれど、漠然と考えなくちゃって思うとどこから取り掛かっていいかがとても難しいのです。
だから、「その辺はイマイさんのセンスに任せます。楽しみですね。」なんて言われるとオロオロをしたりして。
実際、自分が家具や物を作ってもらう立場だったら、その作家さんの考える形を見てみたいから、間違いなく「任せます。」って、そういう頼み方してしまいますが・・。だってそのほうが面白いですからね。結果が自分の望むところと少し違ってもその人なりの面白さが見えたらそれで楽しいのです。そこに至るまでのいろいろな過程と結果を楽しんでいるのですから。
でも、自分が考える立場だと全く反対になってしまいます。その主張しない姿勢が良いって言ってくださる人がほとんどですので有難いことです。
だから、今の家具作りの進め方を私は気に入っています。この考え方を私は「無個性」だと思っています。フリーハンドイマイ独特の「家具の癖がないところがフリーハンドイマイらしい」と言う感じです。
今回のSさんは、最後までデザインを迷っている部分があってそのようにしたら家具が室内に映えるのかをずっと考えていました。そして、「イマイさんはどう思いますか。」
オロオロ・・。

ウォールナットとウレタンホワイトのモダンな壁面収納

全景。

Sさんは私の両親と同じくらいの年代の方です。この収納に対する考えがはっきりしていて、「ここにはこれをしまって、ここはこういう風に使って・・。」とある程度プランがSさんの中でできあがっていたようです。最初に打合せをしていた父から引き継いで私が打ち合わせを行うことにはおおよそのプランを父とまとめていました。
打合せはすんなりと進みそうだなって内心思っていたのです。
私が父の話を元に原案を描いて、その原案を元に打ち合わせをするために、もう一度こちらまでSさんに来て頂きました。細かい変更があったものの、どうやらほぼ形は決まりかなっておもった頃に、「やはり仕上がりの色のイメージがなかなか掴めないんだよね。」とSさんはおっしゃいました。ここまで考えていたのは、真っ白くして壁のように目立たせない収納を考えていました。でも、お話を聞くと、お部屋の床もドアも揃えたカップボードやソファも濃い色の家具なのだそうです。
「でも、この壁面収納に濃い色を持ってくると部屋が暗くなってしまうような気がするんです。白い方が明るくなった良いかなって思っているんですがイマイさんはどう思われますか。」
「うーん、私はどちらかと言うと白でも濃い色でもないナチュラルな気の色がいいんじゃないかと思うのです。濃い色に明るい木目の家具が来ても軽い感じがして良いと思います。」と、その場で浮かんだイメージを伝えました。
「うーん、ナチュラルかー。いまいちイメージがつかみづらいなー。うーん、そうしたらとりあえず形はこのような感じで、素材は採寸に来てもらったときに部屋を見てもらって決めましょうか。」と言うことになりました。
採寸に伺った時も、結局私にはどの色が一番ぴったりなのかと言う答えは出せないでいました。私としてはナチュラルな感じが相変わらず良いような気がして、Sさんの奥さんは明るく白い感じが良いと思っていて、どうしたものかなー、って思っていた時に奥さんがペラペラとめくっていた雑誌のあるページを見て、「この家具みたいに2色の色が使われているのはどうかしら。」と。そこには引き出しは濃い茶色でその両脇に白い扉がある背の低いカップボードが映っていました。
「これは面白そう」と思いました。その様子が顔に出ていたのか「何だかよさそうな感じですよね。」って奥さんに言われて「そうですね。」と、ようやく意見が一致。こう決まると早いです。
濃い色は家具の真ん中に持ってくるようにして、上下は白でまとめて、明るさと暗さの両方が引き立つ今のプランでオーダー頂けることになりました。

ウォールナットとウレタンホワイトのモダンな壁面収納

白い家具本体はポリエステル化粧板で、扉はウレタン塗りつぶし塗装仕上げです。塗装で仕上げると扉の角が丸くできて柔らかい感じになるので、ホワイトでも冷たくなく優しい感じがします。


ウォールナットとウレタンホワイトのモダンな壁面収納

一番上とエアコンのすぐ下の収納はは本などが入る棚板の入った収納です。この写真の扉のところにはミニコンポとプリンタが入ります。この部分はソフトダウンステーをつけたので手を離してもゆっくりと閉まります。苦労して撮ったわりには、なかなか分かりづらい写真です。


ウォールナットとウレタンホワイトのモダンな壁面収納

中段はウォールナットを使っています。木目は板目。タケノコ状の線の細い木目が良い感じです。


ウォールナットとウレタンホワイトのモダンな壁面収納

その引き出しの隣はパソコン用のデスク。ここは息子さんが使う為に作ったのだそうです。


キーボード収納引き出し

そのデスクのすぐ下に幅の広いスライドテーブル。普段はテーブルの中身が見えないようにしているので、使う時は前板が手前にパタンと倒れます。


ノートパソコンを収納できる引き出し

そのテーブルの右隣にも一回り小さ目のスライドテーブル。こちらはご主人のノートがしまわれています。


ウォールナットとウレタンホワイトのモダンな壁面収納

そのノート収納の下にはワゴンがあります。


ウォールナットとウレタンホワイトのモダンな壁面収納

このワゴンは紙ごみ用の紙袋スペースと新聞置きスペースになっています。(奥さんのどうしてもと言うアイデア)


ウォールナットとウレタンホワイトのモダンな壁面収納

家具につけたツマミは、基部がクローム鏡面仕上げでヘッドがこげ茶色の木がついている珍しい形のものを使いました。色がウォールナットとほぼ同じだったのでとても似合っています。


壁面収納にペットケージを組み込む

下段左にはペット用のケージが納まります。なれない場所にちょっと戸惑い気味。 このひとたちは時折ケージから抜け出ては、私たちの作業を観察・・。そのたびは私たちは緊張・・。


ウォールナットとウレタンホワイトのモダンな壁面収納

家具側面もウォールナット。 実はこの部分大変手の込んだことをしています。写真では全く分かりませんが・・。この側面奥行の2/3は壁がむき出しだったのですが、「家具がくると、そのクロス壁の見え方が半端な感じになるから、同じ家具の仕上材で覆ってもらいたいのです。」と言う奥さんの希望を組んで側板を伸ばして壁を覆ったのです。


ウォールナットとウレタンホワイトのモダンな壁面収納

おまけに作った踏み台。一緒に住むおじいさんが窓を開け閉めするのに使っている台がとても不安定なので同じ材料で作ってほしいと言うお話を請けて作りました。

ホワイトウレタンとウォールナットの壁面収納

価格:800,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は18,000円から、取付施工費は40,000円から)

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