ずっと前から

「ナラのカウンター下収納と壁面収納のオーダー」

荒川 W様

design:Wさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:hidenori terai/gaku suzuki

ナラの引き戸のあるリビングボードとテレビボード

カウンター下収納の全景。開き扉は、ガラス越しにスライド蝶番が見えたくないということで、あまり使う機会の少ない軸吊蝶番を使ってみました。納まりがすごくきれい。でも、扉の調整ができないので吊り込みはシビアです。

2008年8月現在
「はじめまして。家具の見積依頼でご連絡しました。
荒川区在住のWと申します。
6年前に結婚を機に現在のマンションに入居しましたが既存の家具で気に入ったものがなく今まで家具を買わずに過ごしていました。
注文家具でオーダーしようと決めてからは御社のHPを楽しく拝見させていただいておりましたが、今回家族が増えたのを機に思い切って見積もりをお願いした次第です。
以下に詳細についてまとめましたのでまずは簡単な見積もりで結構ですので教えてください。
全ての家具のデザインはすっきり、シンプルでお願いします。
○カウンター下収納(グラスやカップを収納予定)
サイズ(およそ)
W1660 D260 H720~890(高さは720か890で検討中)
添付写真のような感じですが色、デザイン等は写真よりもすっきりシンプルな感じでお願いします。
○壁面収納(テレビやDVD等収納予定)
サイズ(およそ)
W4500 D500 H720
レコードプレイヤーがあるのでプレイヤーを収納できるように作成お願いします。
H720というのは現在使っているダイニングテーブルの高さに合わせた高さです。
壁面収納にテーブルをつけて使用しますがテーブルの足が板状なので、テーブルと重なる部分の収納の扉をどうするか(オープンにするか引き戸にするか悩み中です)
また、高さ720だと現在使用している32インチの液晶テレビを入れるのにぎりぎりの高さではないかと思います。
(本当は下に引き出し一段くらい作りたいのですが)詳細については実際図面をお願いする際に相談させていただきます。
素材についてはカウンター下収納、壁面収納共通でお願いします。
突き板と、天板等部分部分で無垢材で作りたいという希望はあるのですがそうすると値段が跳ね上がりますよね・・
おおよその目安を教えてください。
/お忙しいとこと恐れ入りますがよろしくお願いします。」

ナラの引き戸のあるリビングボードとテレビボード

リビングのテレビボードとカウンター下収納の印象。高さをダイニングテーブルの高さに揃えているので、ボリュームがある家具でも重い印象はありません。

2007年の7月にこういうメールを頂きました。
おおよその目安と言うのが、なかなか出しにくくて(ある程度見込んで概算金額を出しても、そこから形が変わればあっという間に金額が変わっちゃう。だから、目安になりにくいのではないかなあと私は考えているのです。)、そこで原案となる図面を描きます。(シンプルな形で、図面を描いても描かなくても、金額が出せる、と言う形じゃなければ時間が掛かっても図面を描いちゃいます。)図面を描いておけば「この形についてでしたら、いくらのコストが掛かりますよ。」ってお話しやすいのです。そして、その原案を元に形を絞り込んでいきます。
そんなわけで、数回プランを変更して、1ヵ月半ほどかけて私とWさんとで一つの形を見つけました。
予算的にも大丈夫と言うこととですので、さっそく採寸にお伺いしました。もうまもなく秋に入る頃でした。

ナラの引き戸のあるリビングボードとテレビボード

テーブルの高さにするとその上にテレビを載せると高すぎて、見ていると疲れてしまうこともあるので、天板の下に置くようにして、ただ置くだけじゃなくて後ろのパネルに吊っています。配線もそのパネルの奥に隠して家具内を通しているので、とてもすっきり。

都電に揺られて、荒川河川敷あたりにユラユラと向かいます。ベルを押すと、奥さんが迎えてくださいました。「今日は自転車じゃないんですね。」と微笑みます。
そっかー、自転車で来ればよかったかなあ、ちょっと残念。でもね、最近体力が落ちてて自転車乗ってもすぐ疲れちゃったりして・・、いけませんねえ。
基本的に室内の絡みの少ない家具になりそうでしたので、採寸を早々に終わらせて、いろいろと家具についてお話を伺います。洗面収納も作ることになりました。どれもおもしろい形になりそうです。
楽しそうな仕事ができそうだなあ、なんてニコニコしながら会社に戻り、後日変更したプランをお送りしました。
しばらくすると、Wさんの都合がちょっと悪くなってしまい、家具はちょっとあとになるとのご連絡を頂きました。
あらっ、ちょっと残念。
年内には全て終わらせようと考えていましたので。
それでは、と、気長に待つことしました。

ナラの引き戸のあるリビングボードとテレビボード

リビングボードの一番右端はAV機器収納部。リモコンと放熱を考えて格子扉です。ここを開けると・・・。


ナラの引き戸のあるリビングボードとテレビボード

レコードプレーヤーがスライドして出てくるのです。

2008年の2月に、「お久しぶりです。ようやく落ち着きまして・・。」とメールが入ってきました。Wさんです。
「ご連絡お待ちしておりました。」
前回お会いした9月からだいぶ時間が空いてしまったので、もう一度お会いしてお話しすることにしました。
今度はWさんが、前回お会いできなかったご主人を連れて、工場の様子や素材を見にこちらに来てくださいました。
ご主人を交えてお話しすることでプランがさらに洗練されていきます。テレビを壁掛け式にしたり、配線の取り回しを考えたり。男性同士じゃないと浮かばないアイデアがどんどん入ってきます。そうしてプランは完成。その後、スリッパ入れとコート掛けのご依頼も頂いて、夢がどんどん膨らんでいきます。

ナラの引き戸のあるリビングボードとテレビボード

コンセントプレートは同じナラ材で製作。

そして、取付。家具の台数が多いので、当日はお昼までご馳走してくださって、ほぼ1日がかりで取付。体中の水分が入れ替わるくらい汗をかいてしまいました。でも、おかげで家具はとてもきれいに納まりました。良かった。
「新しい家具が来て、家具と共に我家の新たな歴史がスタートした気分です。
でもどの家具もずっと前からあるみたいに馴染んでて・・・不思議です。
きっと今井さんの腕が良いからですね。
これから家族みんなで大切に使っていきたいとおもいます。
ホームページも今後も楽しく拝見させてもらいますね!
またお願いすると思いますのでその時はよろしくお願いします。
(次は玄関の鏡と将来的にはダイニングテーブルが欲しいです。。)」
楽しみです。テーブルが変わるとまたグッと雰囲気が変わるでしょうからね。

ナラの引き戸のあるリビングボードとテレビボード

カウンター下収納とリビングボードが交わる角の部分の印象。そして、引戸の印象。今回の引き戸は戸の下に車を入れて、アルミのレールをの上を走らせるタイプの引き戸で、開け閉めがとても軽いことが特長。


ナラの引き戸のあるリビングボードとテレビボード

こちらは玄関に作らせて頂いた、スリッパラックとコート掛け。スリッパ入れのイメージはといって教えてくださったのが、アンティークの李朝家具。赤松でできていて朱色に塗られている文机でした。


ナラの引き戸のあるリビングボードとテレビボード

そのイメージに近づくようにアルダーを使って、赤茶色のオイルでツヤを出す仕上がりにしてみました。


ナラの引き戸のあるリビングボードとテレビボード

アルダーは、元々水の仕込みがばらばらで、着色するとものすごい色ムラが出るのですが、それがあえて好み、と言ってくださったWさん。


ナラの引き戸のあるリビングボードとテレビボード

コート掛けも同じ色で整えました。


ナラの引き戸のあるリビングボードとテレビボード

洗濯機を囲うようにして戸棚を作り込みました。コストは抑えたいけれど、白い化粧板では味気ない、ということでシナ合板をウレタンクリア塗装で仕上げました。


ナラの引き戸のあるリビングボードとテレビボード

背の低い奥様がちょうど使いやすい高さに引き出しを設けています。


ナラの引き戸のあるリビングボードとテレビボード

富士山のような形の手掛けも見た目だけではなく。構造上この形になっているのです。

ナラのガラス引き戸のあるカウンター下収納

価格:360,000円(制作費・塗装費)

ナラのリビングテレビボード

価格:650,000円(制作費・塗装費)

シナの洗面室吊戸棚

価格:240,000円(制作費・塗装費)

アルダーのコート掛け、スリッパラック

価格:200,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は40,000円から、取付施工費は80,000円から)

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