元日
2022.01.01
昨年の秋に母が亡くなったのです。
遅かれ早かれいつか向こうに旅立つことが命あるものの定めですので、今までたくさんの猫たちがこの工房を訪れては旅立っていく姿を見ていたからか、あれほどふくよかだった母がだんだんと痩せて言葉数も減っていく姿を見ていてもそういうものだと思えて、なくなった今も悲しいというよりは、そういう道程だったのだと思えております。
今では向こうできっと私たちのことを、「しっかり頑張んなさいよ。」といつもの通り叱咤激励してくれているのだと思うのですが、それもまた私たちの独りよがりな思いですので、きっと向こうで元気にしていると願っております。
そういう慌ただしさの年末を迎える中で、「そうだお墓だ、やれ仏壇だ。」という話になりまして、「仏壇はダイスケがつくるのだろう。」と父、「それならうちも作ってもらおうかな。」とユウ(弟です)にも言われたものですから、告別式も終わって少し気持ちが落ち着いたところで、工房の裏の材が寝っ転がっているところからゴソゴソと、私がこの仕事を始める前からここに置いてあっただろうヒノキとマツを引っ張り出してきました。お母ちゃんには言い方が良くないかもしれないけれど、なかなか仕事で使わない材を寝かせておいてももったいないからそれで作ってしまおうと。
それから、約1ヶ月後に、今年は早々と仕事納めすることができましたので、その翌日からひたすら頑張るのですが、何しろ今はみんなに家具制作を任せていて、自分はもっぱら家具の形を考えるほうの日々でしたので、こうして作り始めてみるとおもしろい以上に大変。
普段みんなにどれだけ大変な形を任せていたかを今さらながらしみじみ感じつつ私と(時々)アキコと(時々)アイ(猫です)は作業を進めるのでした。ひとまず昨日でおおよその形がまとまって、今日はあまり音が出せないのでひと休みしまして、また明日から作業再開。
そのようななかで、アキコが年末にはお母ちゃん直伝のカレーと、昨晩は煮豚をこしらえてくれていまして、それを頂きながら無事に新しい一年を迎えることができました。
今年も皆健やかに頑張ってまいります。