灯りをともして
「タモリボス黒檀仕上げのリビング壁面収納と食器収納棚のオーダー」
大森 A様
design:Aさん
planning:daisuke imai
producer:tsuyoshi kawaguchi/gaku suzuki
painting:tsuyoshi kawaguchi/gaku suzuki
「はじめまして。Aと申します。
以前より貴HPを楽しく拝見させていただいております。
この度、住宅の新築工事をすることになり、現在その造作家具の製作を検討しております。
HPをお見かけする所、どれも素敵なものばかりで私には敷居が高いかと思っておりましたが、一生にほぼ一度しかないことだと思い、見積をお願いすべくご連絡差し上げました。
検討している家具は下記の通りです。
①ダイニングの壁面収納
②キッチンカウンター及びカウンター下収納
③家電タワー
④食品庫
⑤ダイニングテーブル
色々ありますので、メールでご説明するのが素人としては難しいので、できればお会いしてオーダーのご相談させていただきたく存じますので、ご都合のよい日時をご連絡くださいますようお願い申し上げます(できれば土日でお願いしたいと考えております)。
ちなみに現場は東京都大田区大森です。3月末に着工済みで竣工予定は9月末を予定しております。」
さっそくご挨拶のあと、お話をお聞きいたしました。
「まずは見てください。」と工務店さんが参考に描いてくださった図面を広げて見せてくださいました。
「おぉ、これは大変だ。」そんなふうに思える形でした。結構複雑だし、基本的に竣工後の工事を行っているので、あとから施工するにはどう納めたらよいか悩みどころ満載のプランでした。さらにご主人は仕掛けが好きで(男の人はだいたい仕掛け好きです。)、ポイントポイントが難しい。
でも、ご主人とのお話はとても楽しく、構造的に難しい部分は、難しいからときちんと理解してくださって、そこから良い方向へとお話を進めていって・・。そのような感じで、基本のプランを少しアレンジして大まかな形が決まり、その1ヵ月後に現地に打ち合わせに行くことに。
そろそろ大工さんの仕事が終わる頃だからと言うことで伺ったのですが、現場は結構進んでいるようで、焦ってしまうのでした。
間に合うかな・・。
工務店さんも交えて、うちが竣工後工事でどう納めたいか、コンセントの位置はどうしておけば良いか、いろいろとお話をします。
これでようやくお話がまとまりました。9月末まであまり時間がないから、頑張らなくては。
それから、再度図面を作成し、もう一度現地で打ち合わせることがあり、プランを修正して、気がつくと8月に入ってしまって・・。
ちょうどその頃、Aさんから建築工事が思ったよりも進んでいないと言うお知らせを受けました。ふぅ、少し余裕ができました。
と思ったら、この年の異常な酷暑にやられてしまって、1週間ほど完全にダウン・・。
あぁ、遅くなる・・。
立ち直った8月の下旬に、ようやく大工さんの工事が9月には全て完了すると言うことで、最終確認のためにまた現場へ。そこでAさんと再度細かい部分を打ち合わせて、9月末にようやく形がまとまりました。
ここまでで、とりあえずひと段落。
ここから、製作に入るわけですが、ちょうど忙しい時期と重なってしまって、Aさんも何度も私たちのところに足を運んでくださっていて、Aさんのお仕事の関係でこちらによることもあったりして、私たちの状況を理解して下さっていて、全ての家具を一時期に納品するのではなく、必要な家具から順に作らせていただくことになりました。
まずは一番必要で、一番大変なリビングダイニングの家具です。
パズルのように、どこをどう作ってゆけば、現場できれいに納まるか、図面で分らなかった部分も出てきます。作りながら納め方を検討し、必要な時はAさんと相談してようやく完成の目処がつき、最初の取付工事は12月12日に決定。
ここまで約半年で、この形がまとまっただけでも良くできたなあと思います。
ここでふた段落。
続いては取付なのですが、この大森と言う町は、古い町がそのまま残っていて、道がとても狭く、土地もコンパクトです。Aさんのお宅も敷地が狭いため、3階建てでした。
そうなると、一番問題になるのは搬入です。下町のような路地がまだたくさん残っている土地だから、家も土地いっぱい使って精一杯立っているのです。Aさんのお部屋の中で話していると、隣のうちのお母さんが子供たちを呼ぶ声がきちんと聞こえてしまうくらい。だから、なるべくコンパクトに分割して階段から入れられるサイズにして製作し、どうしても難しい長物だけはバルコニーからの搬入。当日はお天気に恵まれて、搬入も無事に済んで、取り付けもいろいろと細工をする必要が出てきましたが、作業時間をたくさん頂いて、その日の夜には大まかな部分が完了。
そして、5日後の2回目の取付で、リビングダイニングがようやく完了。ホゥッと胸を撫で下ろしました。
が、大変なことを忘れていたのでした・・・。と、そのことはひとまず置いておきます。
そうして、年明け早々に洗面室の小さな戸棚などを取り付けさせて頂き、春が始まる頃に寝室の壁面収納と、ダイニングテーブルとダイニングチェアを納品させて頂き、これでようやく完了したのでした。
年末に完了したと思っていたリビングダイニングの収納ですが、実はダイニングの収納にオーブンレンジが入りきらないことが分かりました。私もAさんも細かく打ち合わせしていたのに、見落としてしまったのでした。すみませんでした、Aさん。
問題は奥行で、レンジの奥行を見落として、設置場所の壁の奥行を優先して考えてしまっていたのです。レンジを置けても、収納扉が閉まらなくなってしまったので、Aさんといろいろと検討して、時間を頂いて、あらためて食器棚部分を手前に少し引っぱり出すことに。
かなり大掛かりな工事になってしまうと思いましたが、意外にスムーズにきれいに修復完了。
全てが終わったのが、最初にご相談のメールを頂いたちょうど1年後だったのでした。
この1年の間に、Aさんには待望の赤ちゃんが生まれて、つい先日までお二人で緩やかに暮らしていらしたのが、すっかり父親、母親モードに。ほんのりとした暗さを大事にするお二人の空間に新たな灯りがともったのでした。
タモで作ったリビングの造作一式
価格:2,230,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は70,000円から、取付施工費は170,000円から)
ご注文・お問い合わせをご検討中のかた
ちょっと関わりのありそうな家具たち
-
2015.03.02リビングボード、壁面収納のオーダー
静けさとやさしさを少しずつあつめて
「ナラ板目のリビング壁面収納のオーダー」…
-
2015.01.30リビングボード、壁面収納のオーダー
Cake Studio
「リビングボードのオーダー」 横浜 T様…
-
2015.06.19リビングボード、壁面収納のオーダー
みんながここに集まってる
「ナラ板目のリビング壁面収納のオーダー」…