Uさんの玄関収納:スタッフ ヒロセ君の制作日記

2022.06.17

今回はハードメープル材を使った玄関収納を担当させていただきました。
設置するお宅は現在リフォームをしていて、そこに玄関収納と、大工さんが壁を抜いたところに小さな扉を設置するという事でした。
玄関収納は幅1800mm高さ2400mmを越える大型なもので、外側はメープル材、内部はシナ合板で仕上げています。
メープルの部分は突板を使わず全て無垢材を使用しています。
無垢材なので反りや割れ等が出てしまう事も考えられます。
その為、使用する寸法よりも一回り大きいサイズに切り分け、しばらくの間乾燥させ、その切り分けられたサイズの木にとって楽な形状になるように落ち着かせ、木の動きを確認し、その後製材していきます。
木は常に収縮を繰り返し、設置する環境によって動きも異なります。手間はかかりますが、こうする事によって少しでも反り等のリスクの可能性を減らす事ができればと私達は考えています。

今回の家具製作で苦労した点は、やはり框扉の製作が大変で難しい部分でした。
四方の枠はホゾで組み、材料の側面には鏡板が入るよう溝がついてあります。
中に入っている薄い鏡板は無垢のフラッシュパネルになっています。
無垢のフラッシュパネルは、一度メープル材を10mm程の厚みに割いて乾燥させます。
その後製材をして2.5mm厚まで削り、芯材となる合板に練り付けるという作業です。
工程としてはとてもシンプルなのですが、上の戸と下の戸の木目が合う様にする事、全体の見た目の印象に違和感がない様に配置する事、そして1枚1枚の板を隙間がなくなるよう微調整を繰り返し練り付ける事など、突板のフラッシュに比べるとすごく長い道のりですが、やはり突板とは違う良さが出ていますね。
そうして戸のパーツの組み立てが終わると手掛けの加工や戸車の加工をして完成となる訳ですが、ここまでの過程を考えるとここで失敗は絶対にできないという緊張感の中、作業を進めたのでした。

さまざまな工程を経て無事完成させる事が出来ました。画像では中々伝わりづらい所ではありますがメープル特有の光沢感ときめの細かさ、そこにオイル塗装も相まってきれいに仕上がったと思います。手で触れた時の感触もすごく良い仕上がりです。
そして、大きく存在感は抜群なのですが、そのシンプルなデザインは静かで落ち着いた印象だと感じました。
先日、無事取り付けも終わりましたが、リフォーム工事はもう少しだけかかりそうな感じでしたので全て完成した状態を見る事が出来なかったのは残念ですが、すごく良い雰囲気になるのではないかなと思いました。
Uさんありがとうございました。