ナラの寝室収納
2022.06.18
Tさんの寝室に作らせて頂いたサイドボード。
今日はノガミ君とヒロセ君とタケイシさんとで磯子の丘のあたりに住まわれるTさんのところに納品に向かってもらいました。
「車が横付けできないものですから、少し距離のあるところを歩いて運んでいただくことになりそうで。」とTさんに事前にお知らせ頂いていて、これはなかなか大変かもしれない、と思っておりましたが、3人で順調に進めてくれました。
今回イメージされていたのは、少し使い込んだナラやチークの色あいということでしたので、今回は3色のオイルを組み合わせて、色を表現しています。ただ、色を混ぜて塗っちゃうとなかなかバランスが取れなくて色ムラも出てくるので、1~3回の間で塗る色を変えて塗装をしています。
下地にクリアを入れておくと、2回目以降の色は表面に付きにくく、導管によく色が入って、時間を経たかのような豊かな表情になってくるのです。本当は時間が自然とこの表情へと変化させてくれるのを待つ楽しみもありますが、こういう仕上げ方も表現方法のひとつとしてあるのです。
昨日も兵庫県から山梨県に越してこられるというMさんが食器棚のご相談にいらしてくださいました。
打ち合わせの中で、「何というか、きれいに整いすぎているよりは、もう少し自然な感じというのでしょうか・・。」とイメージを言葉にしづらくてMさん自身もどかしくお話されていたのですが、ふとご主人が「突板というのはどのくらい丈夫なのでしょうか。」というご質問を頂きまして、それなら良い例があると思いまして、私が19年前に作ったケヤキの突板を天板に使ったダイニングテーブルが今はスタッフみんなの日報を書くテーブルにしているのですが、それを見てもらおう、と思って事務所に案内しましたところ、「そう、これこれ!こういう感じが私は好きなのです。」と奥様。
突板の機能を見て頂くつもりが、思いがけずこの使い込んだ様子が奥様のイメージに合ったようでして。
「なるほど・・、これはどちらかというと良くない例でして・・。」最近はオイルもあまり塗っていないから白けた部分とまだらになって見えているし、うちのハルチィがちびっ子の時にフォークやスポーンで付けた傷はそのままだし、(でも突板だからっていまでも剥がれが無いので丈夫です。)
と説明させて頂きました。「このような表情はきれいに作ったものを使いこんで初めて出てくる表情だったりするのです。というか本当はオイルを塗ってあげてもっときれいにしてあげないといけないところなのですが、怠けてしまいまして・・。」と。
「なるほどー、よく分かりました。じゃあ最初はやはりきれいに仕上げて頂く方が良いですね。」と奥様。
家具の仕上げはいろいろな表現方法がありますが、過度なエイジングは場合によっては、その家具本来の良さも消してしまうこともありえたりします。
今回のTさんの色は、過度にならずとても風合いよく着色できましたので、この時間を経た部屋によく合うと思うのです。
この家具と一緒にアンプカバーというちょっと変わった部材も作らせて頂きました。
次回お伺いできる時には、それらすべての印象がどのようにTさんの暮らしに馴染んでいるのかを見られるのが楽しみです。