ユニークでモダン
「チェリーのリビング壁面収納のオーダー」
藤沢 I様
design:Iさん
planning:daisuke imai
producer:gaku suzuki
painting:gaku suzuki
何年か前に椅子の修理をさせて頂いたお客様がIさんでした。
結局そのとき私はIさんにお会いすることがなかったのですが、その後も父の開くイベントに参加してくださったりと、交流はあったようなのでした。
その時に預かっていた船で使われていたというとても古い椅子の傷み具合、座面の強張った感触などを見ていた時、きっとIさんという人は、もう父よりも年配の気難しい人なのだとてっきり思い込んでいたのでした。
だから、数年後に奥様がいらして、「今の家に住み始めてから、ずっとリビングの家具をどうしようか考えていたのですよ。」と相談されたときは、いよいよ怖い人に会うのだなあ、なんて思ったりしたのでした。
奥様のイメージは、少し赤茶色いけれどシンプルな形の家具。
でも、オフィスの家具のように質素な雰囲気にはしたくないのです、ということ。難しいな。
扉が、ただ四角いそっけなさはつまらないけれど、無意味な装飾もあまり好みではない、いろいろと奥様とお話しするうちに、その人となりが見えてきます。でもね、奥様の核心がいまいち分かりにくい。
それなら、一度お伺いして設置場所を見てもう一度お話をしましょう、ということで、Iさんのお宅までお出掛け。
Iさんのお宅は、古いマンション。(団地のような懐かしい雰囲気です。)
チャイムを鳴らすと、奥様が迎えてくださって、リビングに。少し寡黙な印象のご主人にご挨拶をさせて頂いて、さっそく採寸。そして、周りを見回します。寸法を採っておいたり、お部屋の雰囲気を見ておいたりするとその後のお話がスムーズですものね。
寡黙に見えたご主人。ヨットマンだった学生時代の頃から、ソニーでウォークマンが出てその担当をしていた頃のお話まで、ユーモラスにお話をしてくださって、すっかりステキな人に。
家具のお話よりもIさんのお話のほうが多かったくらい。
肝心な家具の内容は、ひとつにまとめていよいよ製作開始。
今回は、とてもシンプルな形です。だから、なおさら質素にならないようにIさんといろいろとお話をしました。
扉の取っ手には、コントラストがつくような素材、そして、独特の意匠になるように、丸い引き手にしました。
天板はチェリーの無垢材を使って、ただの四角い板ではなく、正面の木口部分に丸みをつけたのですが、丸みを付けてもシャープさが残るような面取りに。写真で分かるかな。 こういう形は、私一人で生まれるものではありません。Iさんとの対話で生まれたここにしかない形です。 こうして魅力的なリビングボードができあがったのです。
しかし大きな天板でした。
どうやって搬入したのかと言うと、なかなか大変だったのです。
大きいといっても、板1枚なので、もしかしたら、階段から上げてリビングまで搬入できるかなって、わずかに希望を持っていたのですが、やはり開放部の多い古いマンションでも難があったのでした。
そのようなわけで搬入はバルコニーから・・。
昔の団地のような作りが幸いして、1階のお宅に専用庭がなかったので、Iさんのバルコニーの真下に3mを越える天板を寝かせて、ロープで縛ります。
3階まで荷揚げするのは、久しぶり。川崎のSさんのキッチン以来かな。あの時も大変でした。
今回は、布団でしっかり来るんで横に寝かせた天板にロープをしっかり巻きつけて、下から2人がエィッと持ち上げて、上から呼吸を合わせて2人で引き上げます。こういう時は、一番呼吸が合う、私と一番古いスタッフが担当します。この前までは河口君でしたが、今は立派なヘッドになりつつある鈴木君。
3階でどうにかギリギリロープの長さも足りまして、汗だくになりながら無事搬入。
できる限りお部屋のメインになるリビングの家具は1枚の天板で作りたいですものね。
良かった・・。
ウォールナットの引手のあるチェリーのリビングボード
価格:400,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は10,000円から、取付施工費は25,000円から)
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