静けさとやさしさを少しずつあつめて
「ナラ板目のリビング壁面収納のオーダー」
十条 Y様
design:Yさん
planning:daisuke imai
producer:masankane murakami
painting:masakane murakami
「お世話になります。
家のリフォームをすることになったのですが、私の義理の弟(大森のからくり好き)がイマイ様にお世話になりまして、ぜひ私の家もお願いできないかと思いご相談のメールを入れさせていただきました。
お願いしたいのは、食事の準備をする作業スペースを備えた、食器や日常品を収納できる棚になります。
そもそもなぜリフォームをしたのかと言いますと、昨年子供が生まれたのを機に私の実家の2階で生活することになったのですが、生活に不便で収納不足の問題が解決されないため、リフォームをすることになりました。
イマイ様におきましては、収納不足の問題を解決していただくために台所まわりの収納を中心に、日常品の収納ができるものをお願いできないかと思った次第です。食事の準備をするスペースも不足しておりまして、棚の上でその作業ができるようになればと思った次第です。
なんとなく、今、私のほうで考えているのは添付ファイルのとおりです。製作していただきたいのは、ダイニングとキッチンを仕切る作業台兼収納棚と日常品の収納棚になります。
1は文房具、カメラなどの日常品、2は食器類、3は食品ストックする部分と炊飯器等の調理家電になります。2と3の上の天板は、作業ができるようにステンレスを希望しております。
できるだけシンプルで使いやすい形のもので御願いできないかと思っております。
なお、今回のリフォームで、床は無垢のフローリングになります。ナチュラルな白っぽいテイストになります。
ご予算、細かい部分等、一度実際に私の家をご覧いただいきお話させていただければと思います。
私の都合で申し訳ないのですが、平日なかなか時間を取るのが難しく、土日、祝日でお時間をいただけないでしょうか。よろしくお願いします。」
あの時は、いろいろと大変でしたので、とてもよく覚えております。(笑)
もう、私たちの家具をご覧になっていて、私たちがどんな人物かが分かってもらえているのなら、きっとお話は早い。と言うことで、まずはこのスケッチを持ってYさんのお宅にお伺いすることにしたのです。
埼京線に揺られて降り立った駅は、賑やかでした。いろんなところから、良い香りが漂ってきたり、年配のご婦人が皆ゆっくりと自転車を押しながら、お店を眺めて通りを歩いていく。
そう、むかしむかしの商店街がまだまだまだまだ元気な駅でした。おいしそうなメンチカツや良い香りのコーヒー、ふと反対側ではお茶の香ばしい香りとお茶葉をすくうサラサラした音。子供たちの賑やかな声と、売り子さんの野太い声、路地に入れば、お風呂の匂いも。ワクワクしながらYさんのお宅まで向かいます。
その賑やかさからフッと抜け出たこじんまりした通り沿いにYさんのお宅がありました。
でも、今のこの状態は2世帯住宅ではなく、昔ながらの2階建て木造住宅の2階の3部屋を使ってYさんご家族が暮らしていると言う状況でした。2階に数年前に増築してキッチンを作ってあったので、家事はできるけれど、一番大きなデメリットは、暗い、と言うことでした。
その雰囲気をどうにか変えたいと言うことで、この2階のリフォームは、スタジオコンボの茂呂さんがプランニングしていて、家具だけは私たちにお願いしたいと言うことだったのです。まもなく、茂呂さんもいらっしゃってみんなで賑やかに打ち合わせ。Yさんも、茂呂さんも、私も年が近いせいかシンプルな考え方で意見が一致して、とてもすっきりとしたお部屋でスッキリとした家具になりそうなのでした。
スタジオコンボ建築デザイン事務所
175-0045
東京都板橋区西台3-10-13
TEL:03-6783-1038
http://studio-combo.com/
打ち合わせの中で、せっかく家具を作るのだから、もっとイメージを一新したい、というお話になりまして、数年間にリフォームされたキッチンの正面の素材もこれから作るリビングの家具に合わせるのはどうか、と言うお話になったのです。キッチン自体はまだまだ機能するし、この先そう簡単に壊れてしまうものではない。でも、このキッチンの面材が今度の空間では浮いてしまいそうで・・、そこで化粧板の印象から、天然の木の表情を生かした突き板で作ることにしたのでした。
でも、ひとつだけ大きな問題がありました。どうやらYさんの家は、最初の建築工事に不備があったようで、補強工事をする必要が出てきたのでした。補強工事自体は、私たちの家具とは関わりない部分だったのですが、床のレベルが大きく違っている部分があるのだと言うことでした。ただ、床をはがして補強するほどの必要もないため床は現在のレベルをいかして施工することになりました。はたしてきれいに据えられるかな・・。
そんな不安を抱えながらも製作は順調に終わり、あるお天気の良い日にいよいよ取付です。
小分けにしたユニットたちは幸いなことに階段から搬入することができ、長い天板も長すぎるから、かえって1階から2階に手渡しできるほどスムーズ。床のレベルの傾きは、家具を面ではなく線で支える構造にしていることで、家具自体に歪みが発生することなく、設置完了。
そうして、全ての内装工事が終わって、お引越しもひと段落したあとに少しだけお邪魔させて頂きました。
できたてのまっさらな家具は、Yさんの暮らしの色が入って、とても温かな印象になっていました。
これが見たかったのです。
そう言うと、「外がまる見えだとと格好悪いですよね。」と、物静かなご主人と優しい奥様とで、せーので、窓の布を掛けます。(最初の写真がそうです。)
「二人で働いちゃうと、なかなか家のものを揃える時間が取れなかったりして・・。」と奥様。
「それから、イマイさん、先日弟が家族を連れてここを見に来て下れたんですよ。いいじゃん、ねーちゃん。良かったねって。」
その言葉がとてもうれしかったのでした。
これからも、お二人でここをとてもステキな場所にしていってくださいね。
そうして、私は静けさと優しさがだんだんと集まりはじめたこの場所をニコニコしながらあとにしました。
ナラのリビングボードとアイランドカウンター
価格:820,000円(制作費・塗装費)
システムキッチンの面材交換
価格:180,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は80,000円から)
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