ホワイトオークの書斎の家具とアイランドキッチン

2023.06.11

来月に大きな納品が控えていて今はみんなでその制作に取り掛かっているところで、今月の納品は少ないのですが、その中でもとても大がかりなKさんのキッチンと家具。先日はその設置工事でした。

よくブログの中でも搬入のことを書くのですが、どのような家具でも工夫すると制作することはできるのですが、その形を設置場所までスムーズに運べるかどうかはいつも悩ましいところです。

今回のKさんの書斎の家具は、久しぶりに壁面一面を使った大きな形になりましたが、ある程度分割して運び込めることと、1階ということもあって心配はしておりませんでしたが、アイランドキッチンのほうは2階に設置するということと、天板がセラミックストーンのデクトンでしかも裏打ちの無いデクトンそのままでの搬入。(割れないかしら)さらにキッチンのキャビネットはホワイトオークということで、重量が心配だったのでした。さらには、設置日当日はかなりお天気が荒れるという予報が出ていて、もう1週間も前から悶々としていたのでした。

今回の話はシキナミさんが声をかけてくださったのですが、シキナミさんが連れてきてくださるお客様は個性的な皆様が多くて、今回は美術館の館長さん。ここにはお一人で住まわれて、「ふだんはそんなに料理なんてしないのだけれどね。」ということでしたが、それでも気持ちの良い形を取り入れたい、ということでこの形になったのですが、難しいのは、デクトンとキャビネットのサイドパネルとバックパネルの納まりです。

打ち合わせに私たちのショールームを見に来て下さった時にオリーブグリーンという天然石と、サイドパネル、バックパネルのホワイトオークの納まりをとても気に入ってくださったのでした。ですので、Kさんのキッチンも同じような見せ方で、サイドパネルとバックパネルはトメで接合し、その木口をカウンタートップから見えるようにしたのです。

さらに、その打ち合わせの時に、ショールームのキッチンは天然石のカウンタートップからサイドパネル、バックパネルが10ミリほど出っ張った納まりにしているのですが、「この出っ張りを平らにもできるの?できるならその方がリビング側からもお皿とか取りやすそうだよね。」とKさん。シキナミさんも「それすてきですね。」と二人でうんうん。

これはなかなかシビアな納まりだなあ、と不安に思うなか、「ではそれでいきましょう。」と、その木口を出っ張らせないでツライチで納めることになったのでした・・。(よく分からない、という方はぜひショールームにいらして下さいね)となると現場で組んでいくのはかなり大変ですので、工房である程度固めた状態で作り込んで運ぶことになるのですが、これが重い。

当日までお天気予報をじっと見つめていると、雨がだんだんと前に向かってきているではないですか、ということに気が付きまして、工事前日の好天めがけて搬入だけ先に行なうことにしたのでした。

三郷までの道のりはなんだか雲の多い空模様でしたが、到着する頃には汗ばむくらいの日差しが顔を出しました。

さて、デクトンは割れないように木枠でしっかりと固めておいたので、また、Kさんの2階に上がる階段が直線の階段でしたので、どうにか屋内から荷揚げすることが無事にできたのですが、問題はキャビネット・・。

屋内からはどうにも無理でしたので、当初の予定通りにバルコニーを使うことにしたのです。足場が掛かっているということでそれならかえって揚げやすいかと思ったのですが、キャビネットが大きすぎて足場を越えられなくてバルコニーの下にさえ辿り着けない・・。

そこで、みんなで悩んだ挙句、少し離れた駐車場から続いている用水路の脇をあやうく足を踏み外しそうになりながらも、男4人で頭の上に抱えて(「いやあ、インスタ映えする姿ですよー。」とヒロセ君が言っておりました)よちよちと進むことでどうにかバルコニーの下までたどり着くことができたのでした。ここまでが一番悩みの種でしたので、そこからは部分的に足場を崩して、エイヤッとどうにか揚げることができて、無事に搬入完了。

その日は、翌日の段取りを済ませて、翌日から泊りがけでノガミ君、ワタナベ君、ヒロセ君が作業に臨んでくれました。

キッチンのほうは荷揚げの大変さに比べて、組立のほうは工房で一度組み上げているので、スムーズに完了。

1階の書斎の家具のほうがなかなか大変。壁一面となると、ちょっとした傾きが右端と左端とで大きく変わってくるわけです。レーザー当てながら、その不陸を調整しながら、ようやく昨晩きれいに仕上げて戻ってきてくれました。「かなり調整が大変でした。」と3人とも疲れた様子でしたが、無事に終わったことでホッとした表情も見せながら報告してくれたのでした。

Kさんの蔵書やお酒がきれいにしまわれる日はもうすぐです。