Kさんの食器棚を制作して:スタッフヒロセ君の制作日記
2023.09.24
今回はKさんの食器棚と吊戸棚を担当させていただきました。
樹種はメープル材です。 箱部分にはメープルのロータリー挽き突板 前板、扉にはメープル無垢材を使用し、天板はステンレスバイブレーション仕上げの天板で小口に5mm厚の無垢を接着しています。
今回の製作で大変だった点は扉の製作でした。
大まかな製作工程としては、板を粗取し、しばらくの間乾燥させ、その後板を製材し、3枚の板を接着して1枚の接ぎ板を作り、その後、端ばめ加工をした横木と、同じく端ばめ加工をした扉を接着し、手掛け加工するといった流れです。
文章で書くとあっという間に出来てしまいそうな感じなのですが、接着した際の僅かな段差や、機械加工の跡などを鉋で取る作業、端ばめ加工の細かな調整等、製作するとなるとやはり大変な仕事になりました。
無垢材の反りどめの方法として裏側にステンレス製のL字型の反りどめを入れる事もありますが、今回の食器棚では、上部に手掛けが有るデザインでしたので、上下に接着する横木のチカラを借り、端ばめ加工することによって、扉の反りどめになっています。
金具を仕込むより手間はかかってしまいますが、裏面は金具がない為、非常にスッキリしています。 そして、その食器棚の上に付く吊戸棚の戸は、枠のないガラスのみの戸にが入ります。 通常家具を取り付ける際、壁の中の柱に向かってビスどめしていきます。 吊戸棚は透明のガラス戸になっている為、ビスどめするとビスに被せるビスキャップが見えてしまいます。もちろんビスキャップが見えていてもおかしくは無いのですが、今回の吊り戸棚は重量、サイズ、共に大きいものではないのでドッコ(壁に加工した材料をビスどめし、そこへ家具を引っかける方法)で固定する事によりビスを見せない取り付け方法をとっている点もポイントになっています。
取り付け当日は高速道路が通行止になるアクシデントもあり、Kさんのお宅までは下道で行く事に。なんとか予定通りの時刻に到着し、取り付けする事ができました。
設置させて頂いたお部屋には、メープルの家具が他にもある事や、今回製作させて頂いた家具がシンプルでスッキリとした形と言うこともあり、納品させて頂いた家具達はKさんのお宅に元から有ったかのような、ごく自然な雰囲気で仲間入りできたように見えました。 取り付け後は、お部屋に置いてある他のメープルの家具を拝見させてもらいながら、お話しさせて頂き、とても有意義な時間を過ごさせて頂きました。
Kさんありがとうございました。