来年もよろしくお願いします

2023.12.31

今年もこうしてアイといる大晦日。
生まれて数か月くらいの頃に倉庫の下から顔を出してきたのが最初の出会いで、額に一筋の灰色の毛の模様があって、母が「アルファベットのアイみたいだね。」ということで愛と名付けられたこの人は、おそらく人間の都市でいうと私と同じ年くらい。
こうして、おじさん二人で暖房に身を寄せ合って、大晦日を過ごしているのです。
元々、私と同じように大人数の中にいることが苦手な性格なのか工房のみんなが居ても落ち着かないし、何よりもアキコが苦手らしい。(それためアキコはとても淋しいのでした。)
だから、こうして人気のない時はここでゴロゴロしていられるわけです。

今年も一年のあいだにいろいろな形の家具やキッチンを作らせて頂くことができました。
こうして、お声掛け頂けることに感謝しております。

静かな時間に思うのは、私がおじさんになっても、このさき皆さん声をかけてくださるのだろうか・・。なんて思うのです。
スタッフのみんなとも時々話すのですが、自分たちでは気持ちの中で気が付いていなくてもひとつずつ確実に年を重ねているのですが、新鮮さというのはやはり薄くなっていくものです。
新しい暮らしを始めようと考える皆さんの世代は、どんどん私の年齢よりも若くなってきていて、その若々しい気持ちに応えることができているのだろうか、来年も応えることができるだろうかと、不安になることがあります。
だからと言って斬新さや華やかさを押し出す形は相変わらず苦手ですから、やはりどこか知っている形になってしまうことが多かったりして。
それがひとつの安心感になっているのかもしれませんが。

しかし、それでも一つと同じものを作っているつもりはなくて、皆さんと一緒に暮らしを見つめることで私たちにできる答えを伝え続けることができる、ということは私たちにしかできないことで、きっとそういう部分を見てくださって皆さん声をかけてくださるのかな、と不安と喜びが混じりあった気持ちが頭の中でごちゃごちゃしながら大晦日が過ぎていきます。

昼近くになってお日様が顔を出すようになりました。
アイは少し早い昼食を少しだけ採って、日なたに出ていきました。

今年も充実した時間を過ごすことができました。
ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願い致します。