パントリーのこと
2024.03.13
昨日は夕方の17時にこちらまでFさんご夫婦がいらしてくださいました。
こんな遅い時間に来られるなんてめずらしいのですが、お話を伺うと、「初めての家作りでいまいち勝手が分からないこともあるなか、設計士さんから食器棚となる背面収納は今日明日くらいに決める気持ちで早く決めたほうが良いですよ。」というお話を頂いて、慌てて仕事帰りに目黒から来てくださったのでした。
ご新居自体はようやくこれから工事着工になるということで、オーダーキッチンならこのタイミングで決めておかないと間に合わなくなることもありますが、背面収納は特に建築工事との関わりは少ないので、そこまで早く決める必要もないかなと思っております。
どちらかというとまだ図面の上で話をしているだけなので、なかなかイメージしづらい部分もあるから、もう少し工事が進んで(例えば現場に石膏ボードが張られる前後になって)実際の部屋に立ってみるときちんと空間が分かりますので、そうなると、こういう風に暮らしてくだろうというイメージがもっと具体的に湧いてくると思うのですよ。そういうタイミングで考え始めるというのでも全然遅くないです。むしろ、住み始めてからオーダーを頂くことも多い家具なので、慌てなくても大丈夫ですよ、というお話をさせて頂きました。
慌てて決めないといけないとおっしゃった設計士さんの真意は分からなかったのですが、このタイミングで相談にいらしてくださったことで良かった点もありました。それは、パントリーについてです。
Fさんとのお話の中で、「パントリーを無くして、食器棚のスペースを大きく採ろうと思ったのです。」という話がありました。
無くしてしまうことがその空間にとって、Fさんご家族にとって正解なのかもしれないのですが、念のため自分が暮らしてきて思ったことをお伝えしたのでした。
我が家はパントリーがありません。(その話は、オーダーキッチンの制作例の「私のアトリエ、まずはキッチン」や、エッセイの「パントリーについて」「キッチンとの向き合いかた」に詳しく書いたと思いますのでもしお時間ございましたら読んで頂けるとうれしいです。)
でも、買い物に出かけるとストックしておきたいものもある程度買い込んでしまうのです。お米や調味料やお菓子やお酒(これが一番大事)などなど。それを置いておける場所としてパントリーがあるとやはりとても便利なので、パントリーがない場合は、そういうストック品が保管して置けるシンプルな戸棚があると良いなと思っているのです。
今までのお客様でもそういうスペースがない間取りにお住まいの方々のお宅にお伺いすると、お水のペットボトルやお酒や乾物などが床に無造作に置かれていることもありました。いつの間にかそれが定位置になってしまって、部屋が狭く感じだり、キッチン周りが片付かない原因になっていたりすることがありましたが、シンプルな戸棚をひとつ設けるだけでかなり空間がまとまったことが多くありました。
床に物を置くと、いつまでも片付かないイメージがあって(我が家の娘の洋服たちがまさにそう)きちんとしまうべき場所を決めるだけでかなりすっきりします。そのためにもパントリーは重要なのではないかと思っているのです。
そういうお話をFさんにさせて頂くことで、今日ここに来るまで気が付かなかった家族の動線に気づくことができました。
あとは、「家電を収納することはメリットになるかデメリットになるか」とか「食器棚の奥行はそのご家族のキッチンでの過ごし方を考えるとどのくらいのサイズが最適なのか」とか、家具の配置とサイズを変えることで、建築と関わっていてあとから変えられなくなってしまう部分だけを今の時点で決めておければ、あとはもっと現場の工事が進んでからでも大丈夫です。
そういう話ができてFさん、ちょっとホッとした様子で戻られました。
ようやく雨が小降りになりましたね。
隠れていた人見知りのアイがいつの間にか出てきていて、私を見つめていました。(ご飯くれよってことかな)