Yさんのナラ柾目の食器棚

2024.05.10

Yさんのところにお邪魔してきました。

扉を開けると可動棚が入っているだけの奥行きが深くて使いにくいと感じていたキッチン背面の造り付け収納をどうしたらよいかというご相談から始まったYさんとのやりとりは、こうして愛すべき形にまとまったわけです。

昨日は私とアキコと二人でお邪魔させて頂いたのですが、Yさんとのお話はすべてが興味深くて、暮らしていくなかで手に取る物々たちとの付き合い方や、この家具との向き合い方、私たち作り手の在り方など、ずっとうんうんとうなずくことばかりで大変貴重な時間をくださいました。

できあがった形が、周りから見ると一見ほかの形と大きな変わりがないように思えても、そこにたどり着くまでのすべての道のりがその形に表れているのであって、それを楽しめるのはそこに関わった当人たちだけで、それをフフフと楽しむ様子がYさんの笑顔によく表れていたことがとてもうれしかったのです。

こうしてお伺いしたことで、私も思いがけず仕上がりの表情の良さを知ることができました。

特にね、元々の造り付け収納が隠される部分は隠れてしまうと、目立たないのは分かっておりましたが、開けた時はどう見えるのだろう・・って自分でもイメージできていない部分があったのです。

でもね、ふと扉を開けてみると、ウエハースのような白い壁をナラの黄褐色の表情が挟み込んだ様子がとても可愛らしくまとまっていたのでした。

そうか、扉や引き出しをつけるために付加した材をナラの無垢にしたおかげなのだなあ。

この部分をナラ材で作るかどうかは制作を始めてノガミ君と相談するまでは決めていなかった部分で、「こう見えるのかぁ、良いなあ。」とあらためて知ることができたのが、Yさんの表情を見られることと同じくらいうれしかったのでした。