Jさんのキッチンとカップボードを制作して:スタッフヒロセ君の制作日記

2024.05.21

オープン収納が付いた吊戸棚。写真は逆さまに置かれています。

ナラを使ったキッチンとカップボードを担当させていただきました。

天板にはナラ材無垢ハギ板とシーザーストーンを使用しています。

今回使用したナラの突板ベニヤは、白太の部分を少し入れてもらい作ってもらったものになります。

白太の面積としては僅かなのですが、左右に向かって長くラインが入っているのがとても印象的なキッチンです。

その白太のライン、というのが今回の難しい点となりました。

引き出しの前板や扉の木目が繋がるよう、一丁取りをするのですが、カップボードの1番右には扉があり、引き出しが4段の所と3段のところや引き出しの高さの違う場所もあり難しい割り付けになりました。

少しわかりづらい話になりますが、通常製作する際、仕上がり寸法+10mmで材料を段取りプレスをするので、引き出し4段の所は切りしろは4段分で40mm有り、3段の所は30mm、扉の所は10mmという具合になります。その切りしろ分の誤差がある事によりどうしても木目をつなげる事が難しくなってしまいます。

白太のラインがはいっているので、ズレが出てしまうと非常に目立ってしまう恐れがあるため慎重にじっくり考え、可能な限り木目を繋げられるよう切り分け製作していきました。

そしてカップボードは2700mmと長いものでしたので、長尺の突板ベニヤですと割高になりコストがかかってしまうため、今回前板には2枚のベニヤを使用しています。その2枚の突板ベニヤの木目の繋がりと白太のラインがごく自然に見える場所を探す点も苦労した点であり、果たして良い場所があるのか、という面でも大変緊張感のある作業になり、何度も仮当てをし、最良の場所を探し出せたと思います。

Jさんのお宅はリフォーム中との事で床の不陸がどのくらい出ているのかという心配もありました。

また、今回リフォームということでJさんが取り払いたいと思っていた壁が構造上取れなかったこともあって、キッチンの左右が壁になっていました。今回、コンロを挟むような天板の形でしたので、けっこうサイズに逃げがなかったため、搬入も無事にいくかどうか心配だったのです。

しかし、kotiさんの内装工事が始まる段階で社長に同行して現調に入る事ができ、現場の状態が把握できたおかげで、事前に取り付け方や加工が必要なところ等をイメージでき、設置当日はスムーズに取り付けする事ができました。

白太の面積としては僅かなのですが、左右に向かって長くラインが入る事により白太の存在感がとても感じられ、キッチン、食器棚、吊り戸棚と作らせていただき、非常に一体感のあるすてきな空間ができたと思います。

Jさんありがとうございました。