Tさんの座卓をテーブルへリメイクしました。:スタッフヒロセ君の制作日記

2024.11.01

最近、家具のリメイクやお客様がお持ちの板を使用し家具を製作する、というお仕事が以前より増えてきている気がします。

住宅をリフォーム、リノベーションすることは一般的になっていますが、家具をリメイクし形を変え再び使用するという選択種もこれからは増えていくのかもしれません。
今回は座卓からテーブルにリメイクするという依頼でした。長い間使われていたであろう座卓の脚は折りたたみ式で、壊れてしまったというわけでもなさそうでした。今の住宅事情を考えますとやはりダイニングテーブルが一般的になっているので、そのような事情でリメイクされるのではと思い作業に取り掛かりました。


リメイクの材料として使用するのは天板と天板にくっついている幕板を使用します。
新たに製作するものとしては、脚です。四隅に脚をつければ良い話しなのですが、それでは十分な強度をだしたり、脚を垂直に立てる事が難しいため、一度しっかりとした脚を作りその脚に既存の天板を被せネジで固定する構造になっています。
既存の幕板は経年によりたわみが出ていたり、各箇所において寸法の誤差が出ていました。そのため新たに製作する材料は僅かに寸法を変えたり、新規の脚と既存幕板の当たる部分がピッタリあたるよう微調整を繰り返し相性を合わせていきました。はめては確認し外すという作業の繰り返しで大変ではありましたがどうにか上手いこと合わせられたのではないかと思います。


今回の仕上げはクリアのオイル塗装になります。そのため天板の塗装を落とさなければなりません。天板厚が15mmほどという薄い物で、反りなども大きかったため、きちんとした平面を出すとなると厚みが大分薄くなってしまい天板としての強度が下がってしまうため塗料のみ落とす事にしました。天板面はベルトサンダーを使い落としていったのですが、天板面はステイン系の塗料のようで想定していたより深く染み込んでいたため、なかなかキレイな木肌が出てきませんでした。小口部分は特に塗料の吸い込みが多いためトリマーを使い、コロ(ガイドベアリング)を0.5mmほどずらし加工していきました。
そしてオイル塗装をして完成となりました。

今回の作業では天板の塗装剥がしや微調整等の時間が新規で製作した脚と同じくらいの時間がかかってしまい想定していた以上に大変な作業になりましたが、私自身リメイク家具に携わった経験がほとんどなく、リメイクの難しさや大変さも学べたと共に、経年変化によりその木が持つ深い味わいや魅力、リメイクする事によりまたキレイな木肌が出てきたりと改めて木という素材の良さを再確認できる作業になりました。座卓からテーブルに形が変わり、またTさんの暮らしと共に長く使われてもらえればと思います。ありがとうございました。