
小さな積み重ねがその人の形になっていく
ナラ板目ランダム張りの食器棚
世田谷 O様
design:Oさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:daisuke hirose
painting:daisuke hirose
「イマイ様
初めまして、Oと申します。
今回、食器棚の設置を考えておりご連絡させていただきました。
汚い絵で恐縮ですが、なんとなく添付の図のようなものをイメージしております。横幅170センチ、奥行きは50センチから55センチくらいで考えています。
・飾り棚はできる限りシンプルにしたいです。
・下の棚は、ゴミ箱収納以外は引き出しにしていますが、引き出し収納を一部削って、炊飯器or電子レンジorトースター用のスペース(スライドテーブル?)を1箇所作るか悩んでます。
・上の棚は、扉3枚か2枚。3枚であれば、そのうちの1枚は、ガラス(アクリル?)もいいかもと思ってます。
・木の種類は決めてません。色味の雰囲気や、お値段を考慮して考えたいです。
・天板や、棚の内部は、お手入れのしやすい素材が良いです。
一旦、つらつらと書かせていただいたのですが、この後、どのように進めさせていただければよいか、ご教示いただければ幸いです。
おおよその見積もりや、スケジュール感を知りれたらなと思っております。」


壁から飛び出た棚板というのはなかなか難しかったりします。
よく大手キッチンメーカーさんの施工例でも見かけますし、私たち自身もそのような形で納めたこともあります。
ただ、私たち自身で作る時は新築工事やリフォーム工事の最中に大工さんに取り付けてもらう形を採っています。
完成された空間に後付けすることはできることはできるのですが、強度的に不安があるのです。
そういう専用金物(T字型をしていて、金物を壁につけることで壁から棒が突き出たような形になる物)も出ているのですが、てこの原理で棚の先端に強い力が加わるとあっという間に金物が壁からもげてしまうと思うのです。
ですので、いつもは棚板を壁内に埋め込む形で大工さんに付けてもらうか、専用金物自体を私たちのほうで自作して強度を確保するか、棚板ではなく、ボックス状の形にするかというお話をさせてもらっています。
ボックス状というのは、吊戸棚の下にカップなどを並べて置かれているあのオープン棚のことです。


Oさんにもそのお話をさせて頂きまして、まずは少し木としての存在感が出てしまうのですが、以下の日記に載っているような棚を作る場合でお話を進めることになりました。
2019年6月21日「荒川のMさんのところへ」
でも、結果的にはOさんは私のお伝えした注意点と使い勝手をはかりにかけて一枚板はつけないことにしたのでした。
ですので、できあがりの形は写真を見るとシンプルにまとまっておりますが、ここに至るまでは、このようにいろいろと行きつ戻りつしながら決まっていったのでした。

例えば、樹種。
いつもは希望の木の色などが決まっていない場合は、タモで見積することが多いのです。
以前はナラも使いやすかったのですが、価格がかなり上がってきてしまっていることもありまして、価格な標準的なタモで全体の金額の印象をつかんでもらいながらお話を進めることが多く、そこからOさんの場合は、タモに比べてもう少し濃淡の柔らかいナラを選んで、さらに杢目があまりきれいに並びすぎないようにということでランダム張りの突板を使うことになりました。
さらには、ハンドルや吊戸棚の内部の仕上げ方や天板の見せ方など、一つ一つがOさんの形となっているのです。
詳しくはそれぞれの写真のキャプションをお読みいただけますとうれしいです。

こうしてできあがった形は、心配だった搬入も問題なく済ませられて、無事にOさんのキッチンに据え付けられたのでした。
「お礼が遅くから申し訳ありません。
とても素敵な食器棚を作っていただきどうもありがとうございました!
想像以上に良い感じに収まってとてもうれしいです!
吊り戸棚の背板も色を変えて大正解でした。
真鍮の取手なども可愛く、昨日から食器棚を眺めては幸せな気分になっております。
これからゆっくり楽しみながら食器などを収納していきたいと思います。
昨日作業に来てくださいました皆様にもどうぞよろしくお伝えください。」
後日、ご挨拶に伺わせて頂いて、とても丁寧に使ってくださっている様子を見させて頂きうれしくなりました。
今回のナラはちょっと大柄だったためか、多少ざらつきが出やすいかなと思っていたのですが、ツルっとした手触りのままお使い頂けていたので、いつも通りのお手入れの方法をご説明させて頂きました。
家具が一つ入ることでキッチンの印象は大きく変わります。
また、何かワクワクしたアイデアが生まれたらいつでもご相談頂けたらうれしいです。

ナラ板目ランダム張りの食器棚
価格:760,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から、取付施工費は50,000円から)