懐かしく思い出深く

「ナラランダム張り突板とスパイスニッチのあるペニンシュラキッチンとクルミのダイニングテーブル」

草加 K様

design:Kさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:masakane mukrakami
painting:iku nogami

ナラ板目ランダム張りのペニンシュラキッチン
Kさんのキッチンはダイニングに向かったレイアウトではなく、玄関からダイニングへと抜けていく途中にあるペニンシュラキッチン。キッチンに入る前にパントリ―にもアクセスできる使いやすい動線なのですが、リビングからキッチンの手元が丸見えになってしまうため、目まくしになるようなデザインを希望されていました。そこでステンレスカウンターよりも1段高いところにナラのカウンターを設けています。
ナラ板目ランダム張りのペニンシュラキッチン
リビングから見るとこのような感じ。廊下側は6枚の扉になっていて、内部はA4サイズのものがしまえる奥行の収納になっています。扉を閉めるとランダム張りの印象がよく分かりますね。また、扉と床の間の台輪部分は結構高さを取っているのが分かりますでしょうか。今回、Kさんのお住まいはリノベーションということで、元々のキッチンの向きとは異なる向きにしているのですが、そのため排水管の水勾配を確保する時に床下で配管することが難しかったので、床上に配管されていて、その給排水管を隠すために台輪が高くなっているのです。

2024年に入ってKさんから久しぶりにご連絡を頂きました。

「こんにちは、ご無沙汰しております。
2020年の7月頃にキッチンを納品していただいた草加のKです。
その節は素敵なキッチンを製作していただき、ありがとうございました。
搬入も大変ご苦労されたようで、感謝しております。
引っ越しが終わったらご連絡する予定が、コロナの状況がもう少し落ち着いてからなどと考えているうちに、すっかりご無沙汰してしまいました。大変失礼しました。
今回は2つご相談したいことがありまして、ご連絡させていただきました。

1つ目はキッチンのタオル掛けについてです。
シンク前に真鍮のタオル掛けをつけていただいたのですが、だいぶ緩んできてしまいました。
使ってみて気づいたことですが、シンクで作業していると必ずタオル掛けに足が当たってしまうので、直すことができたとしてもまたすぐに緩むということの繰り返しになってしまいそうです。
そこで、タオル掛けをもっと幅の狭いものに付け替えることはできないだろうかと考えております。ただその場合、最初にタオル掛けをつけた場所の穴を片方埋めたりすることは可能なのでしょうか?他の方法も含め、検討したいと思っておりますので、何か良いアイデアがありましたらご提案いただけるとうれしいです。

もう1つは、テーブルの製作をお願いしたいと考えております。
以前、ショールームで見せていただいたことがあるのですが、再度お伺いして見せていただけたらと思っております。
お忙しいところ恐縮ですが、ご検討くださいますよろしくお願いいたします。」

ナラ板目ランダム張りのペニンシュラキッチン
側面から見るとこのような感じ。奥がパントリーになっていて、そこから直接廊下に出られるというぐるぐる回遊動線。手前の側板にコンセントがついているのは、この側板にダイニングテーブルをくっつけて使う時に電源を取りやすいようにということで。シンク前の幕板が白く汚れているのように見えるのは、ひしゃげてしまったタオル掛けがついていた部分。タオル掛けを外して、軽く研磨した状態で写真を撮ってしまいましたので。
スパイスニッチのあるステンレスカウンター
ステンレスの天板とスパイスニッチ部分の様子。もともとは天板からスパイスニッチまで一体で作りたかったのですが、どうしても搬入が難しくて。集合住宅や戸建て住宅の2階以上となると実現したい形も制限されてしまう場合があります。でも、なるべくその人の思いを実現したいところですので、いつも悩みながら形を考えていくのです。
スパイスニッチのあるステンレスカウンター
結果として、スパイスニッチと天板は分けて作ったのですが、ニッチ部分に水が流れないように奥は高さを数ミリ上げています。

そうか・・、あれからもう4年も経つのですね。
Kさんからオーダーキッチンのご相談を頂いていたのはコロナが流行する前のことで、ちょうど発生時期を挟んで納品になったのでしたね。
現地確認する際にうっかりマスクを持ち忘れて、慌てて現地近くのコンビニエンスストアで購入した数枚入りのマスクは、現場で忘れた時にって思ってあれからずっと軽自動車のグローブボックスに入れっぱなしにしたままだったなあ・・、いけないいけない。

なんて思い返すうちにあの時の様子が思い出されてきました。
Kさんのご新居となるお住まいはリフォームするマンションなのでしたが、2550のキッチンが無事に搬入できるかどうかが心配だったんだっけ。
特に今回のステンレスカウンターはカウンターの奥にスパイスニッチのような形状を設けることになったので、ほんとうなら天板からニッチをすべて一体で作りたかったのですが、搬入が不可能ということで、天板部分とニッチ部分を切り離して作ったのでした。
懐かしいなあ。

ナラ板目ランダム張りのペニンシュラキッチン
キッチン収納部のレイアウトは私たちのオーソドックスな形。また、今度のタオル掛けはシンク前ではなくシンク下につける形にしたのでした。
シンク前のコンセントとボッシュの食洗機
シンク前のコンセント。最近は色の強さがやさしいグレー色が選ばれることが多くなりましたね。
ボッシュの食洗機
食洗機はBOSCHの45センチフロントオープンタイプ。ゼオライトを搭載したタイプなので、乾燥しやすく使いやすい食洗機になっています。

ところで、真鍮のタオル掛けのお話は以前にも同じような意見が出たことがありました。
たしかにちょうど腰や太ももが当たる位置につけることが多く、私も自宅では知らず知らず体重をかけてしまっているなあ、とこの話を聞いて思い起こされました。
でも、お送りくださった写真のようにひしゃげてしまうのだなあ。ということで以前のお話が出てからはあまり細い径のものは使わないようにしておりましたが、Kさんにもご迷惑をおかけしてしまったということですみません。

引き出しの様子
引き出し最上段の様子。ハンドルは真鍮丸棒直径8ミリの磨き仕上げのもの。
引き出しの様子
引き出し2段目の様子。布巾がしまわれることが多いのはどのお宅も一緒なのですね。
引き出しの様子
引き出し3段目の様子。
引き出しの様子
引き出し4段目の様子。

このタオル掛けの具体的なお話とテーブルの件で、Kさん、久しぶりにお母様とお二人でいらしてくださいました。
4年前の思いで話をしながら、その時にテーブルのお話をしていたことはすっかり私は忘れていて、こうして覚えてくださったことがとてもうれしかったのでした。
そのテーブルはちょうど今打ち合わせで使っているクルミの脚の先が細くなっているテーブル。
このテーブルは今はここから独立して一人で頑張っているムラカミ君が作ったもの。
全体の雰囲気を伝えて、細かい部分は彼に任せて仕上げてもらったのですが、脚先がかなり細くなっていて華奢に見えるのですが、実はしっかりしていてその形が洗練されて見えるためかけっこう皆さんによい形ですねと言ってもらえるのです。
そのテーブルのデザインをKさんのイメージに合うように細かく調整して作らせて頂くことになりました。
ありがとうございます。

ガスコンロはノーリツのプラスドゥ。
スライドワイヤーシェルフ
そして、ガスコンロ「プラスドゥ」の下は3枚のスライドワイヤーシェルフ。
スライドワイヤーシェルフ
ワイヤーシェルフ1段目の様子。
スライドワイヤーシェルフ
ワイヤーシェルフ2段目の様子。
スライドワイヤーシェルフ
ワイヤーシェルフ3段目の様子。

「テーブルのために事前に切らして頂くのは申し訳ないので、搬入できるかどうかは私のほうで確認しますので。」とそうおっしゃって頂けたので、ここだけは周囲しておきたいと思うポイントをKさんに伝えて支あらべて頂くことに。
そうして搬入には問題がなさそうだったので、組み立て式のテーブルにはしないで、脚と幕板をしっかりと固めた作りで進めることにしたのでした。

調味料用の引き出し
コンロと壁の間は壁を火元から離す必要があるので、細長い引き出しにすることが多いのです。その調味料用引き出しの1段目。
調味料用の引き出し
調味料用引き出しの2段目。
調味料用の引き出し
調味料用引き出しの3段目は主にボトルがしまえるように設計することが多いです。

納品は制作を担当したヒロセ君と向かいました。
ちょうどこのキッチンを作った年にヒロセ君がこの工房に来てくれたんだっけ。
ショールームのキッチンを入れ替えようと思ったきっかけとなった湘南料理道具市の搬入の時にはたしかヒロセ君も居たっけなあ。あの道具市の最中に「新型コロナが・・。」なんてニュースが入ってきて、何だろうと思っているうちにあっという間に周りが重々しい空気になっていって、道具市の人足もいっとき少なくなってしまったのを思い出しました。
あの寂寥感が少しよみがえってきました。
私たちがどんなに良い方向に向かうように願ってもまわりから物音が聞こえなくなっていくような自分の感覚が無くなっていくような気持ち。あの一時期は先が全く見えなくなって、この仕事を続けたくても続けることが難しいとアキコと話し合った時期でもありました。
それでも、こうして心待ちにしてくれるみなさんや、声を掛けてくれるみなさんが居てくれたおかげで今があるのだなあ、とKさんの住む町に近づくにつれ、寂寥感だけではないうれしい思いがよみがえってきたのでした。
ヒロセ君もKさんのマンションのエントランスを見て搬入が大変だったことを懐かしそうに思い出しておりました。
そして、キッチンがとても丁寧に使ってくださっている様子をうれしそうに眺めていて。私も実は搬入時までしかこのキッチンを見ていなかったので、どちらかというと設置完了までを見ていたヒロセ君よりもその姿を見ることができていなかったので、その使い方のやさしさに彼以上にうれしくなったのでした。

テーブルの搬入を終えて、天板と幕板の固定をヒロセ君が行なっている間に、もう少ししっかりした径のタオル掛けを取り付け直して、元の穴は研磨してビス穴や汚れがある程度目立たないように補修して作業は完了。
また、機会ができたらぜひ使い込んだ様子を拝見させて頂けたらうれしいです。
Kさん、ありがとうございました。

クルミのダイニングテーブル
そして、クルミのダイニングテーブル。足の先細る感じは私たちのショールームのものに近づけていますが、面取りの感じなどはもう少しエッジを残したデザイン。
クルミのダイニングテーブル
天板はこのような感じ。私たちの良く作るデザインで、10アールの丸みに上下C2ミリの面取りという仕上げ。
天板 ステンレスバイブレーション/ナラ板目無垢材
前板・扉 ナラ板目ランダム張り突板
本体外側 ナラ板目ランダム張り突板
本体内側 ポリエステル化粧板
塗装 オイル塗装仕上げ
キッチン仕上げ

ナラランダム張り突板とスパイスニッチのあるペニンシュラキッチン

価格:1,020,000円(制作費のみ、塗装は施主様施工、設備機器費用は別)

 
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は50,000円から、取付施工費は130,000円から)

クルミのダイニングテーブル

価格:310,000円(制作費、塗装費)

 
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から)

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