
三姉妹かしら
ナラ柾目の食器棚とキッチン物入の改装
練馬 Y様
design:Yさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:iku nogami
painting:iku nogami

Yさんとは久しぶりになんだか濃密なやり取りをしたのだよなあと思い出します。
「練馬に住んでおりますYと申します。
インテリア雑誌でフリーハンドイマイさんのことを知り、以来ホームページやInstagramをいつも拝見しております。
昨年夏にここ石神井公園のマンションに引っ越して参りましてもう1年以上経ちますが、キッチンの背面収納をご相談したいと思いつつ、ひとりで考えていても解決しないところがあり、どのようにご相談申し上げればいいかな、と時間ばかり経ってしましました。
一部に造り付けの収納があり、これを取り払いたいという私の意見と、そのままでいいという家族の考えが分かれておりました。
現在はなるべくこれを残したかたちで残りの幅約123センチの収納を考えたいのですが、その前にこの造り付け収納の活かし方についてご相談しなければ進まないな、と思いメールさせていただきました。
この造り付け収納を包み込み(左右の壁は壊さず、これから作る収納と同素材に扉や右壁面表面を変える)、左に作る収納と見た感じの統一感をもたせることはできますでしょうか。
もしくはこれを残したいという思いからは少し離れてまいりますが、造り付け収納向かって左の壁面は壊してしまい、その分横幅を広くひとつの収納とすることはできますでしょうか。この造り付け収納の部分のとり得る可能性から伺いまして、それをもとに左を考えたいと思っております。
この造り付け収納の壁面内がどうなっているか(構造)によるかも知れません。向かって右面の壁には給湯やキッチンライトのスイッチがございます。
皆様早くから細かくご自身でプランをお持ちのようですが、まだこんなにぼんやりのところから大変恐縮でございます。
何か動き出さなければちっとも進まず、日々食器の収納に不自由しておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。」

ふーむ、内容の濃いお話を頂きました。
そこで、私は思いつくままに、造り付け収納を取るとどのようなことが起こりえるか、収納を生かしたままにするとどのような方法ができるかをお伝えしました。
以前にも似たような納め方をしたお客様がいらっしゃってので、その方々の様子を見て頂くことで、Yさんにとってもどのような可能性があるのか、漠然としたものが少しずつ形になってくれたら良いなと思いまして。
例えば「良い形は使いやすい形」のYさん。食器棚の一番左の物入の棚はもともとダボレールと白い棚板しかない空間だったところに地板と扉をつけて、元から造り付けの戸棚があったように仕上げています。
また、「夢見たほんわかしたキッチン」のHさん。
建売住宅ということで、ちょうどリビングから大きく目につく部分に白いオープン棚がついていて・・。食器棚を作るのにあわせて、そのオープン棚も引き戸で隠してしまおうというなかなかおもしろい形を作らせて頂いたことがありました。
そういう話もふくめてYさんにメールで伝えさせて頂いたのでした。

そして、Yさんからのお返事が。
「お世話になっております。
キッチン背面収納でご相談しましたYと申します。
ご多用のなかご丁寧なご回答をいただき恐縮しております、ありがとうございました。
読ませていただき、他の方の事例も参考にさせていただきました。
造り付け収納左の壁を取り払うことの手間の多さを知りますと、やはりこの空間(左右の壁)は残すことにいたします。
今回の収納づくりでは 食器の収納をできるだけ多くしたい、なるべく隠したい、将来家電の買い替えや生活の変化もあると思うので、各場所の寸法や収納の大きさはそれに対応できる大らかさを残したい、というのが希望です。
また、最終的に選ぶプランにもよりますが、今のところはできるだけ大がかりな工事にならない範囲でできればと思っております。コストはお書きいただきました通り、当初記入したものより増える想定を持っております。こちらの収納が我が家のほぼメインになりますので楽しんで作れたらと思っております。
お話を伺いまして(まだ遠い道のりで恐縮ですが)、普段ぼんやり考えていた形をかいてみました、汚くて分かりにくいと思いますがご覧いただけますでしょうか。
この4つの中からざっくりと費用の面で他とは大きく違ってくるプラン、使い勝手、工事面などで手間の違いがあるもの、できないことなどを教えていただければありがたいです。もしくは他に何かアドバイスをいただけるようでしたら教えていただいた上で方向性を決めていけたらと思います(各プラン、細かい金額が知りたいとかではありません)。
家具型であれば撤去がしやすいといったことは想像しております。
適切で効率のよい段階で直接お目にかかりご相談できれば、と思っております。また、このキッチン周りは梁も多いですが、申し込みとなりますと採寸もお願いできる流れとなりますでしょうか。
このあと、拙い図をFAXで送らせていただきます、どうぞよろしくお願い申し上げます。」
「Y様
フリーハンドイマイの今井大輔です。
ご連絡ありがとうございます。
また、FAXもありがとうございました。
平面図と照らし合わせて、どのような方法が良いか考えてみましたのでお伝えいたします。
もし、Y様のイメージと異なるようでしたら、遠慮なくご意見いただけましたら幸いです。
平面図から計測しますと、キッチン前面から食器棚を設置する予定の壁面まで1520ミリほどあるように思えます。
また、造り付け収納の奥行が490ミリほど、幅が545ミリ(70ミリ+345ミリ+130ミリくらい)ほどになるのではないかと想定しています。
私の個人的な考えだと、お部屋全体の広さや空間の印象にもよるのですが、(1)や(2)や(4)のようにすべて隠すとすっきり見えると思うのですが、かなり重々しい収納(木の塊のような収納)に見えてしまうように思えます。
もし、(1)(2)(4)のようなプランにされたい場合は、家具の表面の素材はどのような素材をイメージされていますでしょうか。
【個人的には(3)が良いと思っています】
私としては、造り付け収納は表面の素材を変える形で、(3)のセパレートのような形が一番すっきり見えてよいのではないかと検討しています。
セパレートのほうが家電を使いやすかったり、天板をちょっとした作業台として使うこともできるかもしれませんので。
そこで、造り付け収納をどのように変えるかについてですが、右側面の右側(給湯器などがある面)は白い壁のままのほうが良いように思えます。
給湯器のリモコンやライトのスイッチがあることと、この面に木の板を張ると、その上の御利上げ天井部分とのおさまりが煩雑に見えてしまいそうな気がするため白い壁のままのほうが良いと思えました。
また、造り付け収納の表面を食器棚と同じ材に変えるにあたりまして、その表面材を左の壁(厚み70ミリほど)を隠すように伸ばして扉や引き出しの前板を作ることは可能です。
さらに左側面のさらに左側は21ミリの食器棚と同じ材でパネルをつける形で白い壁を隠すことができます。
そうすると、扉や引き出しを閉めた時は、見た目として70+345+21ミリで幅436ミリほどの食器棚と同じ素材の収納に見える形にできます。
ただ、そうすると、扉や引き出しの厚み分(厚み21ミリ)手前に出っ張るため、右側面の白い壁の正面部分がその扉よりも引っ込んで見えてしまってまとまりが無くなってしまうので、右側面の正面部分(幅130ミリ部分)だけは食器棚と同じ素材の板(厚み21ミリ)を張ることで、造り付け収納の扉や引き出しの前板と前面を揃えることができると思っております。
こうすることで、造り付け収納の左側面と正面は食器棚と同じ素材で隠すことができます。
そして、食器棚はセパレートにして、下の収納部分は造り付け収納と奥行を合わせて490+21=511ミリほどで作り、吊戸棚はもう少し奥行を引っ込めて400ミリくらいで作るという形が一番シンプルにまとまるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
奥行511ミリで作ってもキッチンまでは1000ミリくらいの距離が残せると思いますので、通路としてそれほど狭いと感じることはないように思えます。
また、ゴミ箱は個人的にはオープンな空間にゴミ箱を置く形が一番良いのではないかと思っております。
基本的には汚れたものを捨てることが多いので、ワゴンを引き出したりするとワゴンの持ち手が汚れる可能性があるかと思っております。
もし、隠す場合は、ちょっと行儀が悪いですが、膝で押すと開くようなプッシュオープンタイプの引き出しにゴミ箱を入れてしまう方が良いかもしれません。
(ただ、不用意にぶつかると開いてしまうので、その点でお客様に使いづらいというお話を聞いたこともあります。)
また、(3)の左下の扉ですが、奥行きが511ミリほどになるとそれなりに深い奥行になるので、下のほうに扉になるとしゃがんでも奥が見づらいかもしれません。
しまうものにもよりますが、引き出しのほうが使いやすいかもしれませんのでご検討いただければと思います。
吊戸棚は、どのようなデザインが好みかにもよりますが、引き戸にされたい、というお客様も最近は増えています。
開けっぱなしにして作業ができることが好まれているようです。ただ、デザイン的には開き扉のほうがラインを少なくできるのですっきり見えます。
このあたりは、お部屋全体のインテリアをどのように見せたいかにもよると思いますので、ご意見をお聞かせいただければと思います。
【(1)や(2)や(4)にされたい場合について】
また、木の塊のような印象になるとしても、家電が隠れるほうが良いということでしたら、(1)(2)で考えてみたいと思いますが、(2)のデザインは少し前にシステム収納が流行していたころにはこのような形が良く見られましたが、細かく扉が分かれることで見た目が少し賑やかに見えてしまうかもしれませんので、隠す場合は、(1)のデザインが良いのではないかと思っております。
まずは、以上のように考えております。
長文にて、またわかりづらいご説明になってしまいまして失礼いたしました。
不明な点がございましたら遠慮なくおっしゃってください。
Y様のご意見をお聞かせいただければ幸いです。
ご検討くださいますようよろしくお願い致します。」
うーん、Yさんも私もメールが長い。
「お世話になっております、Yでございます。
FAXをご覧いただき、短い時間でここまで細かく寸法までお示しいただいたご検討、アドバイスをいただきまして本当にありがとうございました。私が知りたかった答えが満載で感激いたしました。
前回のメールで私が最もお伺いしたかったことは・・・」
とYさんのメールはさらに続いていきます。
私は何かを整理していくことが好きです。パズルのピースをひとつずつ動かして適切な形にしていくことが心地よいわけですが、決してそのピースがはまる場所は一つではないので、それがこの仕事の妙だと思うのです。
そのようなやり取りの中で、Yさんご自身の思いもお聞かせくださったのでした。
この家での暮らしが始まって間もなく、この家での暮らしを楽しみにされていたご主人をご病気で亡くされてしまい、悲しさと慌ただしさでいろいろなことへの気持ちを失ってしまったこともあったのだそうです。
しかし、Yさん、「やはり何があっても生活は続くので、当初の予定通り自分たちが心地良い暮らしを追い求め続けたいな・・・と動き出しました。なので、うちは子育て真っ盛りファミリーではなく、今回は(自分で自分の)「再出発応援企画」、加えて私と娘二人の女性3人の生活のためのスタジオ造り・・・みたいなお願いとなります。
主人のことで駆けつけて下さる彼の職場のお仲間や来客も増え、ある意味主婦としての時間制約も減りましたので、これからはどんどん自分や娘の友達も迎え入れてここで楽しくやっていけたらと思っております。
最初からイマイ様がご丁寧に相談に乗って下さいまして心よりありがたく思っております。」
と、気丈な様子でお話してくださいました。

私はこの頃、谷崎潤一郎の「細雪」というお話を打ち合わせに向かう電車の中で、あの魅力的で賑やかな四姉妹の様子を一人くすりとしながら読んでいたのですが、まだお会いしたことのないYさんとのやり取りはその四姉妹の幸子さんを思わせるような頼もしさと温かさを感じていてとても楽しい時間でだったのです。
「イマイ様のページはこれまでも読ませていただいていたはずですが、あらためて載せていただいたエッセイやお考えに触れますと(いざ自分のこととなったら)本当に暮らしや考え方が散らかっているまま検討に入っていたな、と感じます。その分イマイ様にお手間をおかけして申し訳ございません。
「彩られていく」「つたえる楽しさむずかしさ」の事例、全体の雰囲気にも惹かれます。
娘にカウンターの収納方法を相談をしましたら、これまでの私の収納の仕方の使いにくさを指摘されました(奥のものが取り出しにくい、ただ重ねたらいいというものじゃない等)。せっかく今回いただく新たな機会ですので、私もこれまでとは違うものを体験してみたいな、と思い始めています。」
まさに蒔岡家のような印象。

こうして、ひとつずつ漠然としたものが形を成していき、ひとつのプランとしてまとまりましたタイミングでこちらに一度いらして頂き、いろいろな考えをまとめることができたのでした。
「本日はご多用のなか、朝からたくさんのお時間をいただきましてありがとうございました。
ポカポカお天気の中の遠足、富士山が近くに美しく臨める素敵なショールームで、実物を拝見しながらイマイ様に細かなご相談をさせていただくことができ、おかげさまでとてもうれしい1日でした。
私の表現やイメージが散らかっており、おまとめいただくことにご負担をおかけいたしました。
要所要所で背中を押していただき恐縮でございます。ありがとうございました。
ルンルンの帰り道、途中下車して世田谷美術館の倉俣史朗さんの展覧会を観に行きました。商業インテリアデザインが主な方ですが、亡くなられて間もなくの30年前、私が大学の終わり頃に1度回顧展を観て刺激を受けたもので・・・。
それ以来私も軽く人生の1章が過ぎましたが、いま触れたらどんな感じかな?と…。やはりデザインの根底に夢と哲学がおありであらためてこの30年間の社会の変化や自分の脳が硬くなってる感じを自覚、よくほぐしていただきました。遊びごころ、常識の打破、自由な発想、実験的な要素…こういったものを許容する街なかのデザインを発想できる方が少なくなり、そういう作品にスポンサーもつきにくくなっているとしたら寂しいな、と思いました。
今日はおかげさまで大満足とこの先が楽しみになる1日をいただきました。
こんどは遠方よりお呼びたてすることになり恐れ入りますが、17日よろしくお願い申し上げます。
奥様にもくれぐれもよろしくお伝え下さいませ。」
「ご連絡ありがとうございます。
世田谷美術館に寄って行かれたのですね。
私も見たいなと思っていたので、うらやましいお話です。
私が20代の前半に建築と家具のデザインを教えてもらえる夜間学校に通ったことがありまして、そこでいろいろなプロダクトを見る機会がありましたが、倉俣さんの作品はあまり惹かれなくて、もっぱら木製の作りにばかり興味を持っておりました。(笑)
あらためて見てみますと、夢見心地の様子や重力から解放される浮遊感のようなものを表現していたって聞いて、なるほどそういう軽快さと遊び心だったのだなあと今更ながら思うことができて見ておきたいなあと思っておりました。
たしかに息苦しさの感じられる今の社会には遊び心は必要だと思います。
遊び心というか気持ちがゆったりとしていられる時間や場所があるとよいなあと思います。
私もそういう形を実現できるように頑張りますので、この先もよろしくお願い致します。」

ということで、ここまでがまだ最初の入り口です。
今までのやり取りは食器棚のイメージを膨らませるための練習のような感じで、ここからが実際にイメージしながら形や寸法が暮らしに合うかどうかを思い描いていきます。
少し使い勝手が悪くなるかもしれないけれど家電を収納するべきか、それとも外に出したまま使うべきか、引き出しの深さや幅などのサイズのバランスがYさんの使い勝手に合っているか・・・。
ここから約50通ほどのメールをやり取りしてようやくまとまった形をノガミ君が制作に取り掛かります。
そして、そのノガミ君の制作日誌です。
「初めて図面を見た時は大変そうな家具だな、というのが正直な感想でした。
今回の家具は吊り戸棚、引出し収納、そして元々お部屋にある備え付けの物入を新しく作る家具に合わせて扉を交換して、部分的に引出しに作り替えるというものでした。
また、新しく作る家具と一体感をだす為に物入の左の袖壁の上からパネルも一緒に造り付けるのです。
このお仕事のどこが大変かというと家具を作ることでなく、取り付けることが何より大変なのです。
あまり知られていることではありませんが、マンションにしても戸建住宅にしても、壁や床がまったくの水平や垂直に仕上がっているところはなかなかありません。これは欠陥住宅とかそういう話でなく家を建てる時には様々な事情でミリ単位の多少の誤差は少なからず出てしまうものです。(でも、日常生活を送る上では全く問題ありませんよ。)
ですが、家具を取り付けるとなるとそうはいきません。
家具は工場で作っているので直角、直線を守って作りますので、それを水平や直線の出ていない所へ取り付けるとなると隙間や段差になってしまいます。
なので予定寸法より材料をあらかじめ延ばしておいて制作して、現場で削って調整できるようにして置いたり、フィラー(隙間調整材)を用意していく、コーキングを入れるなどして対応します。
こういう作業も現場に合わせてその場で作っていくので大変な作業ではありますが、今回の一番難しいところは、そこではなくて備え付けの可動棚収納を引き出し収納に変えるところだったのです。
特に他の家具屋さんや内装屋さんが制作された家具の仕様を変えるとなると、その家具がどのような構造で作られているのか、どのように取り付けられているのかは分からないことが多いのです。このような見えない部分が多い状況では何を準備していくかどのようにアプローチしてしくか、段取りがしづく、取り付け当日まで少し不安でした。
今回の取り付けは現場で行う作業が多いので、中一日を工房で作業する可能性も踏まえて2日間の作業日程を取らせて頂きました。
レーザー水平器で取り付け位置の様子をみると壁の立ち(垂直)は良かったのですが、床の水平と袖壁の直角がでていなかったため、最初の難関となりました。
取り付け方法は悩みましたが、持っていった家具の前板と仕様変更する引き出しの前板の高さをきれいに揃えないといけないので、家具の下端を削ったりパネルの裏にパッキンを挟むなどして対応しました。またサイドパネルを削れるように少し伸ばして造っていったので現場での微調整にもうまく対応できました。
一番心配だった引き出しへの仕様変更ですが、こちらは備え付けの収納の構造や水平レベルがそんなに悪くなかったためそのまま作業に入れることができました。
レールを取り付けるには、位置出しの型ベニヤを持っていきましたので現場での墨出し時間を短縮することができました。
その後、多少のレールの位置調整が必要だったものの、順調に作業を進めていき、予定通り2日間で取り付けを終えることができました。
取付作業中にはY様にはとてもすてきな心配りをして頂きまして、お昼ご飯や作業途中の差し入れまでして頂いたりと、私たちは家具を届けに来たのに、なぜだかとても素晴らしいおもてなしを受けてしまったかのようで、大変恐縮してしまいました。ごちそうさまでした。
今回の家具は、新しく作った部分と仕様変更した部分の一体感を出せるかが一番の要で、それがうまくできたことに安心しました。
Y様にも気に入っていただけたようで、この家具がこれからの生活にどんどん馴染んでいってくれたらうれしいと思います。」
取付当日は私は別の予定が入ってしまって伺うことができなかったのですが、ノガミ君とヒロセ君とタケイシさんがホクホクとうれしそうに帰ってきたのを覚えております。
Yさんからいろいろとお茶やお昼ごはんなどたくさんのおもてなしを頂いたのだそうです。
ありがとうございました。


その取付後に、Yさんからうれしいお便りが届きました。
「イマイ様。
お世話になっております。
ご丁寧なメールをいただきありがとうございました。
貴重な2日間 ノガミ様、ヒロセ様、タケイシ様に遠いところいらしていただきまして本当にありがとうございました。皆さまのご丁寧な作業のご様子にうっとりしてしまいました。この部屋特有の困難にもご対応いただき心より感謝申し上げます。
今日、右の造り付け収納の扉や引き出しの前板をつけていただきましたあたりからグッと全体像がはっきりしてきて、息をのむ美しさに言葉にならないうれしさがこみあげました。
お若い皆様を自分の人生に引きずり込むことさえ憚られますが、昨年来自分の中で止まっていた時間が動き出し、(主人が石神井公園が好きというだけの理由で彼が選んだこのマンションでしたので)今となっては私とこの部屋の接点も掴めずぽっかりとしたところに自分らしいピースがぴったりとはまってくれて、これからもこの空間を愛おしく思えそうです。制作して下さいましたノガミ様にお目にかかることができましたこともうれしゅうございました。
設置の大変さやご丁寧に我々の生活に作品を送り出してくださるご様子を間近で拝見することができ、今後このように素晴らしい工芸品、美術品とともに生活ができるかと思うとわくわくいたします。
関わって下さいました皆様からいただけた温かい幸せを大切に使わせていただきます。
皆さまにもくれぐれもよろしくお伝え下さいませ。本当にありがとうございました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。」
すてきなメールをくださいましてありがとうございます。
Y様の暮らしに彩りを添えることができて、私たちも大変光栄に思っております。

それからしばらくしまして、再びすてきなお便りが。
「ご無沙汰いたしまして申し訳ございません。
3月より少し仕事の状況が変わったり、次女が就活でたびたび帰ってきたりで私の実力が追いつかずバタバタしておりました。
それから、ノガミ様の制作日記拝読いたしました。
以前にヒロセ様のものを読ませていただいており、お作り下さった方の思いを知ることができるこういった企画を興味深く感じておりましたが、このたびは我が家のことを・・・驚きました。
ノガミ様の持っておられる物腰どおりの静かで柔らか、ご丁寧な文章にお世話になった2日間を思い出しました。
あの時苦心されているご様子は拝察し、少しお話の中でもご説明も受けておりましたが、現場が難しい状況も想定された万全のご準備でお越しいただき、また、中1日の余裕ももたせてご対応いただいたことを改めて知り、設計、制作と同じかそれ以上に設置の場面の出たとこ勝負の厳しさ、当日の作業やご判断の重さ感じることができました。「位置出しの型ベニヤ」、すごーく興味を持って持ち込まれた時から拝見していましたので、よく覚えています。今回造り付け収納の取り扱いに悩んだ末にイマイ様よりベストなご提案を受け、(ノガミ様にはご面倒ばかりおかけしましたが)引き出し付きの収納に変化したところを私の友人がたいそう感心しておりまして、友人自身もそういう事情を含むリノベーションを経験していたことから「自分にこのような発想はなかったし、ここまでのご提案をすっとして下さり、実現させてくださるなんて本当にすごい、本当にいいところで価値があるオーダーができて良かったね」言ってくれました。
左側壁面も覆うような左に長い引き出し前板のあたりにも感激して唸ってました。私は何もしていないのに誇らしかったです。
イマイ様に相談に乗っていただきました当初より全ての段階の細やかさがあってのこの上ない現在の満足感です。
設置につきましては是非もっとたくさんの皆様に知っていただき、そこも含めたオーダーの価値や満足度の高さも知っていただきたいな、と思いました。
イマイチームの皆様が我が家にお届けくださいました可愛い可愛い食器棚はおかげさまで私共の生活になじんでくれて元気です。
取手を引くたびにそれを細工して下さったご様子が浮かび、大切に扱いたいなーと毎回感じています。愛おしい気持ちを高めてくれるあの美しい取手仕様にしていただいてよかったです。
くれぐれも皆様によろしくお伝え下さいませ。」
ナラ柾目の食器棚
価格:750,000円(制作費・塗装費)
パントリーの改装
価格:330,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は50,000円から、取付施工費は110,000円から)