思い描く

「カウンター下収納のオーダー」

川崎 O様

design:Oさん
planning:daisuke imai
producer:hidenori terai
painting:hidenori herai

アメリカンチェリーのL型リビングボード

リビングボードとデスク部分の印象。

オフホワイトの上吊引き戸のある食器棚

食器棚の印象。

メールを見返さないと分からないくらいの時間が経っていますね。どれどれ・・・。
最初に頂いているメールが2005年の12月です。
そのメールに、「半年前くらいに突然お伺いしたOです・・・。」と書かれています。そうかかれこれもう1年半近く前になるわけですね。
そう、最初は突然でした。その日は日曜日でこちらに打合せをしに来る方がいらっしゃったので私は一人で出勤していたのです。それで、ちょうどお昼を過ぎたあたりに打合せが終わって、「じゃあ今日の内容を忘れないうちに図面にしようかな。」って思ってボソボソ作業をしていたら、隣の展示室からかすかに足音が聞こえるのです。床がキシキシなる音もしてきて・・。まだ明るい時間だから心細い気持ちにはなりませんでしたが、「誰だろう・・、先ほどのお二人だろうか・・。」と思って展示室に向かうと小柄な女性とばったり。「あっ、お留守かと思ったのですが、開いていたので上がってしまいました。」とドアの方を見るとご主人らしき人も。何だか狐につままれたような気分です。
「あっ、えーと、もしかして打合せにいらしたのですか。」
「そうです。ちょっと近くに来たので突然来てしまいました。」
「そうですか、ではどうぞお掛けになってください。」と打合せを始めましたこのお二人がOさんでした。この日のお二人は特に打ち合わせる資料も持ってきていませんでした。うちにいろんな家具が展示されていると思っていたようです。
うちの場合は、工場のスペースも限られているし、家具を頼んでくださった皆さんは首を長くして待っているのでだいたい出来上がったらすぐに納品してしまうのです。それに展示用の家具を作ることも稀なので(本当はもっとイメージしやすいようにサンプルとなるような家具を作っておくべきなのでしょうが・・。)
そんなわけで、その日はうちがどんな感じで家具作りを進めていくかを説明した利と20分くらいお話して、後日内容をメールで送って頂くことになりました。
それが冒頭の「半年・・・」と言うメールです。突然の訪問から半年が過ぎていたのであの時の展示室の様子に拍子抜けしてしまったのかななんて思いながら連絡はもうこないだろうな・・なんて思っていたのです。
あとからよく聞くと、この間にいろいろと形を検討されていたようです。そして、実はOさんが今お住まいのマンションに越されてからずっとずっとこういう家具をここに作るんだっている強い思いを持っていたのだそうです。
「そうこうしているうちに4年ほど・・、だいぶ時間が経ってしまいました。」なんて明るくおっしゃっていましたが、強い気持ちがなければ何年も掛けてプランを練り上げるのは難しいことです。それをじっくりとここまで熟成させることができたのはOさんの強い意志のとき希望の表れです。素敵なことですね。
その後手違いでメールが不通になってしまったりと、とても時間が掛かってしまいましたが、その分時間をかけたとてもよい家具ができあがりました。
「ここにこの机とカウンターがあるという光景は、私が入居してからずっと思い描いていたものなので、こうやって家具が収められても何の違和感もないんです。もう初めからここに在ったんだって言う思いがあるんですよ。」と、とても素敵な言葉を戴きました。
それは、とてもとてもうれしいです。

オフホワイトの上吊引き戸のある食器棚

まずはキッチンの食器棚。今はまだ片付いていなくて入れられる場所に入れられるものをしまっている状態なんです。と、おっしゃっていましたがとてもきれいに収納されています。ちなみにお皿の仕切りは「無印良品」のものだそうです。これは便利そうです。

オフホワイトの上吊引き戸のある食器棚

ここだけちょっと思っていたのとちょっと違ったと言うのは浅い引き出し。やはり食器をたくさん入れるとベアリングが入っているスライドレールでも少しは重くなってしまいます。この2段目は浅い引き出しをさらに2段に分ければ良かったかな・・と。

オフホワイトの上吊引き戸のある食器棚

上は引き戸。あまり使ったこののなかった上から吊り下げるタイプの引き戸金物を使っています。作った寺井君に聞くと、そんなに勝手は悪くないから使いやすいですとのこと。これからももう少し使ってみようかな。この方が下がすっきりしてゴミもたまりづらいし。

オフホワイトの上吊引き戸のある食器棚

下部引き出しの左隣は面白い形をした引き出しになっています。製菓材料や道具がここにしまわれるのです。

オフホワイトの上吊引き戸のある食器棚

天板も食器棚本体も今回はシンプルに無地単色で少しブルーが基調の白いポリエステル化粧板とメラミン化粧板を使っています。

アメリカンチェリーのL型リビングボード

天板はチェリーの無垢材。あまり厚い板にすると扱いにくいので通常の天板よりもちょっと薄めに仕上がっています。

アメリカンチェリーのL型リビングボード

引き出しの前板に見せるように飾りをつけた扉。

アメリカンチェリーのL型リビングボード

それを開けるとプリンタが収納されています。そこのスライドテーブルにはOさんのアイデアで片側だけ側板が立ち上がっています。雑誌を立てかけられるようにとのこと。

アメリカンチェリーのL型リビングボード

机の右側の収納は引き出しです。

アメリカンチェリーのL型リビングボード

こんな感じでL型になっています。 「まだ配線が終わっていなくて、ちょっと雑然としていますがいいですか・・・。」とOさん。

チェリーのリビングボードと一体デスク

価格:650,000円(制作費・塗装費)

スチールブルーホワイトの食器棚

価格:400,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から、取付施工費は40,000円から)

ちょっと関わりのありそうな家具たち