それはもうお気に入り
「チェリーのコの字型とダイニング収納の食器棚のオーダー」
東久留米 K様
design:Sさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:masakane murakami
painting:masakane murakami
「初めまして、Kと申します。8月に東京の東久留米市の建売戸建に引っ越すことになりリビングボードとキッチンボードをさがしています。
まだこんな感じで!とさだまっていないのですが、半年程こちらのHPとブログを見させて頂いて作ってもらいたい気持ちでいっぱいです。
ただ主人がキッチン収納は木で作ると油汚れなどのメンテナンスが大変ではないかとやや反対気味で。
木について私はまったく無知です。
お忙しいところ申し訳ないのですが、お時間ある時に教えて頂けないでしょうか。よろしくお願いします。」
と、言うメールをKさんから頂きました。
最近はここから少し距離が離れた地域にお住まいの方からのご相談も多くなってきました。とてもうれしいことなのですが、距離遠くなればなるほど、私たちがその方に会いに行くのに時間が掛かってしまう。
家具って、もちろんずっと使えるものなのですが、ずっと使うためには手入れをしていかなければならないのです。
木の家具ならもちろんのことですが、化粧板や樹脂や金属など何もしなくてもずっと使ってゆけると思える素材を使った家具でも、やはり手を入れてあげないとだんだんと悪くなってしまうのです。
私たちの場合はキッチンも作ります。キッチンと言うと水場であり、間取り的には北側に配置される家が多かったりします。
そうなると、湿気からくるストレスを受けて木が動いたりして、場合によってはほかの部位を圧迫することさえあるのです。
木って丸太から切り出されて板になってからでも強い力があるんですよ。
Kさんのご主人が思われるように気を使うことが心配になるって気持ちは当然あると思います。
だから、できれば家具を使う方の住む場所がこの工房から近いほど良いと思うのです。
でもそれはなかなか難しくて、やっぱりご相談頂く皆さんは、ここから車で2~3時間くらい掛かってしまう距離に住んでいらっしゃる方が多いのです。
でも、そのくらいの距離なら何かあっても1日間あれば対応できますからね。
ですので、もちろんよろこんで承ります。
そこで、このようにご連絡させて頂きました。
「はじめまして、お問い合わせありがとうございます。
木の家具と油汚れの相性ですが、落としにくいということはないのですが、食器棚などは長年使っていると、どのような素材でもやはり油煙でべたついてくると思います。
気を使った家具の場合でも、油汚れがひどい時は、中性洗剤を使って表面を拭いて頂いても大丈夫です。
そうして油汚れを分解した後に、水拭きをしてぜんざいを取った後に、また家具用のオイルを塗ることでツヤが戻ってきれいに使うことができます。
私の自宅のダイニングテーブルの油汚れを取ってオイルを塗った時の様子:
http://freehands.exblog.jp/21189549/
ちょっと荒々しい方法ですが、こんな感じで洗ってしまうこともできます。
また、家具の塗装方法を変えることで汚れをより付きにくくすることもできます。
オイル塗装は木の内部に油分を染み込ませて仕上げる塗装方法でして、木の手触りがよく分かって木の経年変化が楽しめる塗装ですが、塗膜が薄いため、汚れが多少つきやすかったりします。
汚れなどを掃除しやすい塗装の一つにウレタン塗装があります。
こちらの塗装は、木の表面に樹脂の塗膜を作るので、家具を触った印象は樹脂を触っているような感じになりますが、その分汚れは染み込みにくいので掃除がしやすいです。
また、もしよろしければこちらをお読みいただければと思います。
「塗装についての簡単なご説明」
もし、こちらのほうまでいらして頂く機会がありましたら、実際の塗装のサンプルや実際に使っている木のキッチンなど、ショールームでいろいろとお見せすることができますのでご検討頂ければと思います。」
すると、さっそく一度こちらまで来て頂けることに。
ありがたいです。
今のKさんがお住まいの所沢からこの神奈川の真ん中なのに住所がまだ「郡」になっていて、手動で扉を開ける単線の電車が走っているこの寒川まで来て下さるのです。
本当にうれしいことです。
こちらに来て頂くまでに少し時間がありましたので、先にKさんの食器棚のイメージをFAXで送って頂けることになりまして、それを元に図面を作成することにしました。
来て頂いた当日にゼロからお話しするのも良いですが、あらかじめ原案があって、それを元にお話しを進めたほうが手掛かりをつかみやすいと思いますので。
と言っても、今までも原案は作ってあったけれど、実際にお会いしたらどんどん別のほうに話が盛り上がって、形がまったく変わっちゃったと言うお客様も数多くいらっしゃいます。(笑)
でも、今回は大丈夫。奥様の手描きのスケッチでしたので、そのイメージが大きく変わることはないでしょう。
そしてこちらに来て頂いて、イメージを元に細かい部分まで再検討して。
また家具とは別の部分も手を加えるそうで、ご新居の床を張り替えるのだそうです。少しずつ手を加えて自分好みの空間を作ってゆくというのは楽しいものですよね。
そして、食器棚のほかにダイニングの家具についてもご相談を頂けることになりました。もちろんこちらの家具の素材も、食器棚や張り変える床に合わせてチェリー材で。
そしてプランがまとまったところでご新居の内覧会にお邪魔させて頂きました。
場所は、新しく造成した新興住宅地の一角で、家具の設置場所も1階ということで、搬入もスムーズにできそう。
そして、設置場所の採寸を・・。食器棚は特に問題なく進められそうでしたが、ダイニングのほうにちょっと問題が・・。
家具を設置する予定の壁に換気口がついていたのです。
さて、どうしよう・・。
内覧会がひと段落した頃に、Kさんと打ち合わせを行ないます。
あの換気口を塞ぐことはできないので、どうにか通気が滞らないようにしなければいけない・・、あれこれあれこれ・・。
と、相談しました結果、扉が通気できるようなデザインにしましょう、ということに。
大きく加工手間が掛かってしまうので、コストも上がってしまうのですが、格好良いからこの案でいきましょう、とKさんも快諾。
そして、製作を進めて取付工事へ。
内覧会の時に見ていた明るい床から、チェリーの深みのある色に変わっている床を眺めながら、工事を始めましたが、コンセントをうっかり色違いのものを持ってきてしまって、設置完了後にあらためて黒いコンセントを持ってお伺いさせて頂き、これで設置は無事すべて完了。
「先日は納品ありがとうございました。
組み立てからじっくり見たかったのですが、前日の夜に息子に少し熱があったのでできあがりを見に行くと・・、大興奮です!
建て売りの我が家は無難ではありますがワクワク感がありませんでした。そこにイマイさんの家具が入ったことでまったく表情が変わりお気に入りのリビングダイニングになりました。
主人もお願いして良かったと喜んでおります。ありがとうございました!」
Kさん、ありがとうございました。
何か必要なことがあれば気軽に声を掛けてくださいね。ちょっと遠くてもすぐにお伺いしますので。
チェリーの食器棚
価格:620,000円(制作費・塗装費)
チェリーの通気口のあるダイニング収納
価格:480,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は55,000円から)