懐かしい色で仕上げた食器棚
2015.11.26
先日の取付に参加できず、ご挨拶できなかったので、あらためてOさんのところへお邪魔してきました。
使い始めての点検も兼ねてお伺いしましたが、食器棚は快適に使えているとのことでひと安心。
オイル塗装の普段のお手入れの方法をご説明した後にお茶を頂いていると、「アルダーっていう木はもろいのでしょうか。」と奥様。
詳しくお話を聞くと、ここに越されてからダイニングテーブルを購入されたのだそうですが、その脚が天板にねじこむタイプの脚でさらに形状が四方に転んでいる(末広がり足が斜めになっている)デザインのものだったそうで、組み立てたあとに脚に軽くぶつかったら、天板からもげてしまったのだそうです。
「きっとそれはアルダーの強度ではなく、構造上強度を出しにくい形だったのではないでしょうか。」と伝えさせて頂いたのです。
その後そのテーブルの費用をお知らせ頂くと、とてもリーズナブルな価格でした。私たちが作ったらその費用では作ることさえ難しく、テーブルの材料を全部用意できるかどうかの価格でした。
使う人からすると金額は安い方が良いのでしょうけれど、実際にしっかりした形を考えて、ずっと使っていくことができるものにするためには、そこに費やす時間や力が必要になってきます。そうなるとやはりその費用では作れなくなっちゃう。
私自身、家具以外のことになると、ふと気が付くとコスト重視で物を見てしまう時があったりして。そのものができるまでの過程や技術をきちんと見ないといけないってその都度反省するのです。
どうにかして、もっと物を作ることのすてきな面を伝えたいけれど、コストと言う部分で大きな壁ができてしまうことがあるのです。
その後、Oさんはテーブルの脚が壊れてしまった経緯を販売店さんにそう伝えましたら、新しいものに交換してくださったのだそうです。
でも、その新しいものもしばらく使うと、普通に使っていただけなのにやはり同じように足がグラグラに。
結局、また新しく交換しても同じことになってしまう可能性がある、ということでテーブルのお代を戻して頂くことになったのだそうです。
「なるほど、それはちょっと淋しいですね。」
「はい、壊れたテーブルはかわいそうですが、でも今度も脚がまっすぐなしっかりしたものを購入することにしました。良い勉強になりました。」とOさん。
手に入れやすい状態、と言うのはとても魅力的なことなのですが、ただただ安いと言うものにはやはり無理があるのではないかと思います。
だからと言って高い物ばかりで揃えれば良いというのではなく、きちんとした質の良いものが適正な価格で流通されるようになると、使う人もこの製品の適正な価格はこういうものだと分かって気分が良いし、作り手である私たちももちろん良い気分で仕事ができるのです。
でもね、それがなかなか難しい・・。
Oさん、興味深いお話を聞かせてくださいましてありがとうございました。
また、使っていて何かあればいつでも言ってくださいね。