気持ちを伝えること
2016.04.17
昨日は4組のお客様と打ち合わせがありまして、皆さんとても魅力的な方々で、そしてその考えている家具も楽しそうな形になりそうなのですが、その中でも最初にお話しさせて頂いたお客様とのやり取りがとてもうれしかったでした。
最初のご相談のメールにご主人も奥様も「耳が聞こえないので、筆談かメールでお願いします。」と書き添えられておりまして、どのように打ち合わせさせて頂こうかと思っていたのです。
耳は不自由ですが、言葉はほとんど聞き取れるくらいしっかりお話ししてくださいましたので、「筆談のほかに口の動きで何となく分かりますが、もし分からなくなったらごめんなさい。口をはっきりと動かしてもらえると助かります。」と、奥様。
考えているのは食器棚で、Hさんの「紙に描いた食器棚」のような形をイメージされているということはメールでお知らせ頂いておりました。
それから、いろいろと打ち合わせしていくのですが、はっきりと意識してしゃべることって難しいのだな、自分は日頃は何も意識していなかったなあとあらためて感じたのでした。
筆談をしてしまうと、口が下を向いてしまって、それを意識すると筆談の文字がうねうねしちゃって・・。
それでも、ひとつのセンテンスを書いて見せて、ひと間おいて奥様がニッコリ。
そして、しゃべる時も「・・・は、このような感じになります。」(伝わったかな・・。)とひと間おいていると、奥様がニッコリ。そして、ご主人に伝える。
お互いを呼ぶ時も、声を出しても聞こえないから、さりげなく肩をポンと叩く、優しい仕草。
奥様は使いやすい形に重点を置いていて、ご主人が印象の良さに重点を置いて、そのやり取りも優しさにあふれていて。
なんかね、お話しできる、ということがとてもうれしかったのです。
普段は、何気なくしゃべっていて、時には話しながらも次のことを考えている時だってあります。
でも、気持ちを伝えよう、話を伝えようとすると、その言葉を伝えることに一生懸命で、聞いてくださるYさんも聞き取ろうと一生懸命見てくださる。そして、伝わるとニッコリ。
いつも皆さんには、なるべく分かりやすくお伝えしようと努めておりますが、その時Yさんとのやり取りは、どこかもっともっと深いところで伝わったような気がしてとてもうれしくなったのです。
そして、いつも何気なく話していること、見ていること、聞くこと、食べること、寝ること、そしてきちんと生きている、ということは、本当にありがたいことです。
最初から行なえていることには、なかなかその有難さに気づくチャンスが少ないけれど、こうして時々その素晴らしさを教えてくださる人がまわりにいてくれることに感謝しております。