光が入る、風が抜ける
「ナラ柾目材とステンレスバイブレーションのオーダーキッチン」
藤沢 N様
design: takamasa kikuta
planning: takamasa kikuta/daisuke imai
producer: tsuyoshi kawaguchi
painting: Nさん
以前に無垢材をふんだんに使って大きなキッチンを作らせて頂いた大和のKさん。
あの時は自邸もご自身で設計されたのですが、今回、ご友人であり、今回の依頼主であるNさんのご新居も設計することになりまして、そのキッチンを私たちが担当させて頂くことになったのです。
そして、またまたキッチンが舞台のリビングと言う設計。Kさんのご自宅のような気持ちの良い空間がどんな形で現れるのかが楽しみでした。
今回は、Kさんの時のようにL型のキッチンではなく、I型のキッチン。さらに、Kさんのキッチンと違うのは、リビングダイニングからも食器棚として収納できるようなプランを、Kさんはあらためて持ってきてくださいました。
両側から収納と言うと、キッチン側は引き出しをメインにした収納でダイニング側は扉をメインにした収納と言う形がスタンダードです。私だったら普通の扉を考えてしまいそうなのですが、リビングダイニングから見えるキッチンの背中に存在感があることでこの場所が引き立つのです。だから、Kさんのイメージはちょっと違ったのでした。
Kさんが考えたダイニング側の収納の扉は、幅700mm以上あるのです。それでいてその扉は無垢材を使います。だから、開けると扉がグワッと手前に出てきます。「扉の前には物が置けないね。でもね、あいつがそれがいいって言うからそれでいいのさ。」と依頼主のNさんが笑ってそう言います。
図面で見ているうちは、使い勝手ばかり考えてしまいがちですが、こうしてできあがって見ると、4枚のパネル(扉)が並んでいる姿は、とても良い。使い勝手だけではなく、見ていて美しいということもとても大切だな、と考えさせられたのです。
さらに、この扉をステンレスの1段上がったカウンターの前面よりも50mmほど内側に凹ませています。
Kさんは言います。
「このほうが絶対に良いから。」
そして、Nさんはこう応えます。
「扉が内側に入って収納できるスペースが小さくなっても、その印象が良いって言うのなら良いのです。」
うーん、良い関係ですね。(笑)
でもこの効果で、ここは扉ではなく、とてもシャープなバックパネルと言う形に仕上がりました。
扉は押して開けるタイプなので、押して扉が開くと、「えっ、ここも収納だったんですね。」と皆さんがそう言っていました。
そう言えば、Nさんがこう言っていましたね。
「こんなに立派なキッチンなら毎日がフランス料理だな。」って。
このKさんとNさんの朗らかな関係が工事全体に表れていて、施工も何だかとても和やかに進んだのでした。工事を担当したのは、地元藤沢の田辺工務店さん。監督さんの伊藤さんもKさんもNさんもお友達のようで、レンジフードを皆でつけたり、大工さんもずっとにこやかに仕事をしていたり、キッチンの塗装も皆でにぎやかに行ったりと、終始和やかムードで工事が終わったのでした。
竣工後に完成見学会も行い、いろいろな方にKさんのテイストを見て頂くことができたようです。
「この家は、そこに住まわれる方のための住宅です。
誰でも、こういう住み方をしたいというものは持っていると思います。それを具現化しただけです。
つまり、当たり前であり、普通のことです。
また、風が抜ける、光が入る、季節の移り変わりが感じられる、などそれも当たり前であり、普通のことです。
それは、奇抜でもなく、斬新でもなく独創的でもない『普通の住宅』です。それを感じていただいたと思います。
普通であるからこそながく愛される。そんな空間です。」
KさんとNさんの望んだものがこうして形になったのでした。
Kさんまた気持ちの良い空間を作る時は、ぜひお手伝いさせて頂ければうれしいです。
天板 | ステンレスバイブレーション |
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扉・前板 | ナラ柾目突板練り付け |
本体外側 | ナラ柾目突板練り付け/ナラ柾目無垢材 |
本体内側 | ポリエステル化粧板「ホワイト」 |
塗装 | ワトコオイル塗装「ナチュラル」(Nさんが施工) |
ナラ柾目材とステンレスバイブレーションのオーダーキッチン
価格:1,030,000円(制作費、塗装は施主様施工、設備機器は別途)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は100,000円から)