その日まで

「ナラ板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン」

辻堂 S様

design: Sさん
planning: daisuke imai
producer: gaku suzuki
painting: Sさん

たしか、茅ヶ崎のIさんのご友人だったのだと思います。
Sさんは、Iさんのキッチンを見て、私たちのところに問い合わせを頂いたのでした。
「いつか、新しい家で教室を開きたいと思っているんです。」
そうおっしゃったSさんの希望しているキッチンは、L型の大きなキッチンでした。そこの一角で生徒さんを交えて作業ができるような、そんなキッチンを作りたいと考えていたのでした。

お料理教室のためのオークとステンレスのL型キッチン

リビングからキッチン正面を見る。

さらにL型がの1辺がキッチンとダイニングの間仕切りとなるような形にしたいと言うことで、レンジフードがつくコンロを壁面に配置し、シンクをペニンシュラタイプのデザインとし、ダイニングからも収納になるようなキッチンを考えました。
Iさんのキッチンとキッチンバックカウンターのような印象にしたいと言うことで、ダイニング側の収納は、引き戸の収納がメインで、L型の角になるデッドスペースになってしまうそうな場所は、ダイニング側から引き出せる大きな引き出しにしています。
シンク側はシンプルにシンクの右隣に大型のコンテナのような引き出しを設けて、その上を作業台になるようにしています。
コンロ側はシンプルに乾物やカトラリーを入れる小ぶりな引き出しとスパイス・ボトルラックがある構成。そしてその間にガスコンロとオーブン。

お料理教室のためのオークとステンレスのL型キッチン

ちょうどL型になる部分の印象。ステンレスのヘアライン仕上げは、どの角で斜めのラインがきれいに浮き出るのが特長です。

こうして見ると、整然とした佇まいでとても穏やかな表情のキッチンですが、実はここは2階。何しろ搬入が大変だったのです・・。
まず、今回ご新居の工事を担当された「ベストホーム」さんと打ち合わせて、上棟後に大工さんが工事をされている時に、監督さんと一緒にキッチンの墨出しをして、設置場所と配管位置を確保しておきました。それからいよいよ製作開始です。製作のほうは順調に終わりましていよいよ搬入となりました。今回は通常行われているシステムキッチンの搬入時期とは異なる工期の終盤のほうに工程をずらして頂きました。なぜかと言うと、現場に足場が組んであると、荷上げがこんなんだったからです。特にステンレスカウンターは、L型に一体に溶接してできていますので、ある程度のスペースが必要だったのです。そして、足場を崩して、バルコニーのデッキを組み立てる時期のちょうど間にキッチン工事に入らせてもらったのです。

お料理教室のためのオークとステンレスのL型キッチン

キッチン収納側。Sさんのイメージは、「食器は自分でガシガシ洗うので、食器洗浄機は必要なくて、その代わりに大きな引き出しがほしいのです。」ということで、とても大きな引き出しを設けました。またこの天板では、いずれ生徒さんがここを囲んで作業をする予定です。

「お世話になります。
ブログ見ました。
形になっていて感激です!
はやくご対面したいです。
搬入が大変そうで。
みなさま、無事で。
キッチンちゃんも無事で。
わたしはただ祈ることしかできませんが、当日パワー送ります。
どうぞよろしくお願いします。」

お料理教室のためのオークとステンレスのL型キッチン

リビング側の引き戸の印象。今回はレールなどは使わず、昔ながらの溝を滑らせる引き戸。


お料理教室のためのオークとステンレスのL型キッチン

水道の水栓と浄水器の水栓。

はい、Sさんからも元気を頂いたので頑張ります。その甲斐あって、監督さんも配慮してくださって、他の業者さんが少ない日を作って下さって、本体の搬入は問題なく終了。天板も思ったよりも簡単に運びあがりました。4人でやると作業が早い。しかし、一番難航したのは、ガスオーブンでした。運送屋さんも2階まで上げるのは大変だからということで、オーブンの納品先を私たちのところに指定しておいたのです。それで私たちみんなで簡単に荷揚げしようと考えていたのですが、これが重いのですね。みんなで息を切らしてしまいました。(笑)
でもどうにか搬入完了。
現場で組み上げていくことはそれほど大変ではありません。家具は必ず一度工場で組み立てて状態を確認してから運び入れるので、一度行っているから意外とスムーズなのです。そんなわけで、その日の作業は無事完了。
そのあと、Sさんのお休みの時に現地に来て頂いて、オイル塗装の方法をお伝えします。

お料理教室のためのオークとステンレスのL型キッチン

ガスコンロとオーブンの納まり。


お料理教室のためのオークとステンレスのL型キッチン

生徒さんたちがこのキッチンを囲むことを考えて、あえて、L型の角にシンクを配した珍しいレイアウト。

オイル塗装は、基本的に誰でもできる塗装で、使い込んでオイルをすり込んでいくことで家具はどんどん良い色ツヤになっていきます。でも、その方法がなかなか分かりづらかったりするのです。打ち合わせの時や家具納品の時に塗装方法を皆さんにお伝えしているのですが、できれば最初に自分たちでやってしまったほうが、覚えやすいし、コストダウンにもつながります。
そのような訳で、塗料と道具を用意して頂いて、Sさんお二人で塗装をします。きちんとした方法で2度塗って完成。
良い具合に仕上がりました。
このあとに、あらためて現場に入らせて頂いて、塗装が終わった扉や引き出しをセットして、はい完成。とてもとても良い印象に仕上がりました。

お料理教室のためのオークとステンレスのL型キッチン

調味料とボトルの引き出し。


お料理教室のためのオークとステンレスのL型キッチン

複数の人が家電製品を使えるようにコンセントは全部で4口。

「イマイ様、ブログで完成の様子見ました。
素敵に仕上げていただいて、ありがとうございます。
いよいよ土曜には引っ越しです。
あんなに素敵なところに私達住んでいいのかな、と主人とよく話してます。
夢だと思っていた新築戸建てが現実になり、思い描いていたキッチンを目の当たりにすると、丁寧な暮らしをしないと、と気持ちがひきしまります。
あの空間は私達だけで楽しむにはもったいないし、たくさんの人にもみてもらいたいので、しばらくはパーティーパーティー。
時期がきたらお教室の開講していきたいです。
ちょっと疲れたら立ち寄って、元気になって去っていく。そんな空間にできたらな、と思ってます。
今井さんには今後もお世話になります。どうぞ末永くお付き合いください。」
教室は、お子さんが小学生になって少し手が掛からなくなる頃に開きたいと言うSさん。
オープンされるその時は声を掛けてくださいね。その日まで、とても楽しみにしています。

キッチン仕上
天板 ステンレスヘアライン
扉・前板 ナラ板目突板練り付け
本体外側 ナラ板目突板練り付け
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 ワトコオイル塗装「ナチュラル」(Sさんが施工)

ナラ板目材とステンレスヘアラインのL型オーダーキッチン

価格:1150,000円(制作費、塗装は施主様施工、設備機器は別途)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は35,000円から、取付施工費は130,000円から)

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