海が見える丘の家
「ナラ板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン」
大磯 K様
design: Hさん
planning: daisuke imai
producer: gaku suzuki
painting: gaku suzuki
「こんにちは。はじめまして。Kと申します。
この夏の終わりよりおうち作りをスタートさせました。家は大磯に建てますが、大好きな海あり、山あり、美味しいものあり、温かい人たちありと、とても住みやすく優しい街です。
建築条件付きの土地で、工務店に建てていただきます。壁やフローリングや建具など、できるだけ自然素材を使い、かつ最小限にシンプルにした家になるといいなと考えております。
そこでイマイさんのオーダーキッチンを目にし、あんな素敵なキッチンが、お気に入りのリビングにあったらどんなに毎日が楽しいだろう、と描くようになりました。
おうち作りの状況としては、現在たたき台となる間取りが完成しており、あとは細かい手直し、なんといっても予算を見ながらの調整となります。間取り、予算に納得のいく時点で建築許可の申請を出し、許可がおり早ければ10月末ごろに地鎮祭を行い着工、2月末ごろには引き渡しです。
お見積もりをいただきたいのはオーダーキッチンとバックカウンターですが、バックカウンターに割けるスペースと金額が今の時点でハッキリしていないので、取り急ぎお見積もりとプランの一例をいただけると幸甚です。
以下が希望です。素人の希望なので、作成するにあたり不都合な点などありましたら、変更していただいて構いません。よろしくお願いします。
設計・・・IHではなくガスコンロ、食洗機は現在のところ考えていません。
サイズ・・・設計図上で間口2550mmなのでこのままプランを作っていただきたいのですが、設計士と相談の上、広げられるようであれば2700mmくらいには広げたい。
奥行きは650mm以上。収納スペースとの兼ね合いで、これから検討していきたいです。
壁付け(キッチンに立ち右側)のI型ですが、アイランドのようなオープンなスペースにしたい。
(設計図上はコンロと換気扇の前に壁が取り付けられていますが、私はそれを取っ払い開放的にしたいと思っています。でも油がはね飛ぶのでは?換気扇がエアコンの流れを吸い取るのでは?との疑問あり)
作業カウンターはすべてステンレス。右から、ガスコンロ→盛り付けスペースと食材を切るスペース(ここを少し大きめに取りたいです)→シンク→水切りカゴ置き場
収納面は右から、調味料を入れるスペース(こまごまとした容器と大きなボトル類を分けて収納したいです)→魚焼きグリル/その下にフライパンやお鍋などを入れるスペース(お鍋は重ねずに並べられるような、フライパン類も重ねず並べて取り出せるようなスペースを希望)調理スペース下にカトラリー類、キッチンツール類、タッパーやざる・ボウルからサランラップやアルミなど、できるだけジャンル別に収納できるスペース→シンク下はごみ箱を置けるスペースにしたいのでオープンスペース→水切りカゴ置き場下に布巾などを入れるスペース(収納は引出タイプ、扉を開けるタイプなど特にこだわりはありませんが、アンダーラインを引いたスペースはスムーズに取り出せるような引出を希望)
バックパネル(ダイニングキッチンから見える面)をキレイに見せたい。木の素材感がしっかり出るようなイメージで。
もともと御社を知るきっかけがLUCCAのYUMIさんのページでしたが、YUMIさん邸のようなキッチンがまさに理想です。
新居の床材はナラかオーク、壁は白の珪藻土、壁・天井は白ですが梁が出る予定なので、そんな部屋にも自然になじむ素材だと嬉しいです。
バックパネルの面を収納にしようか検討中。2歳のこどもがいますが、おしりふき、ケア用品、絵本、おもちゃ…こまごましたものが多いので、すっきりできるようにしまえるスペースとを検討。ただこちらはあくまで検討中で、収納にするのとしないのとでは概算で構わないので、価格がどれだけ変わるか教えていただけると助かります。収納の場合、全面収納。けれどいかにも収納という感じではなく、さりげない扉にしてもらいたい。
いま思いつくままに書かせていただきました。
いえ作りが始まる前は、こだわりが詰まった家にするぞー!と意気込んでいたものの 話が進むにつれ、特に予算面ですがやはり理想と現実のギャップを感じます。当たり前ですが、上を見ればキリがないですね。
かけられるお金に限りがありますが、ならば一番のお気に入りになるはずの、家族が一番長い時間過ごすはずの、お客様にくつろいでもらうはずのLDKは一番チカラを注ごうと思っています。
共働き、かつ子育て中なので、家事にかけられる時間があまり多くありません。なので余計にキッチンは機能的で合理的で、ストレスフリーな空間になればいいなと思います。
そんな中のせっかくのキッチン、見た目のデザインも素敵で温もりあるものになればとイマイさんにご連絡させていただきました。
ご予算だけでなく、時期的なことでこちらも知っておくことがあれば併せてご連絡いただけると助かります。長々と書いてしまいました。お忙しくされていると思いますが、お返事お待ちしております。」
たしかに長々とメールを頂きました。(笑)
それだけに、もうKさんとお会いする前から、Kさんの人となりが分かるような温かいメールです。プランを考えるのも力が入りますね。
頂いたファイルをもとに形を考えていきます。
どのようなラフスケッチでも構いませんから、メールと一緒にお送り頂けますと、プランを作るのに広がりが生まれますので、もし、皆さんもこの先家具をご検討される時は、スケッチも一緒にお送り頂けますとうれしいのです。
キッチンは、最初はKさんがイメージされていたようにリビング側からも収納ができるようなプランを考えてみて、収納できる場合のプランの金額と、そうではない場合の金額をお知らせしました。この部分炊飯器をしまうとすっきりはしますが、使うときには引き出さなければいけない。ご飯を炊いている30分くらいはキッチンの作業スペースが狭くなりますし、炊けてすぐに収納してしまうと余熱で収納部分が少し熱くなるかもしれない・・。レンジも放熱スペースを見込んで収納することを考えると、収納として「もったいない」と思えるスペースができてしまう・・。それから、潔く出しておくほうが良いのではないかという、結論になったのです。、皆さん良く迷う部分でもあります。収納があれば便利なのですが、パックパネルの存在感を見せるなら、扉のようにパネルを小分けにしたくない、また、どこまで予算を掛けられるか、そういうことを天秤に掛けて、自分の暮らしと照らし合わせるのです。
バックカウンター(食器棚)もそうです。今回、Kさんのプランでは吊戸棚はありませんが、振り返ると一番取りやすいところに戸棚があると良いと考える方もいらっしゃいますし、リビングをすっきり見せたいから、腰よりも高い位置には家具はつけたくないと考える方もいらっしゃいます。
また、今回Kさんは炊飯器やレンジなどの家電がリビングから見えないようにしたい、という強い要望があったのです。
でも、それをかなえるとたしかに見た時の印象はとてもすっきりとします。でも、ダイニングに立てば、家電は見えてきますし、何よりも食器がしまえなくなってしまう。K さんは、このキッチンの裏手に広めのパントリーがあったので、そこに食器も含めて収納してしまえば、家電をここに収納することもできたのですが、何度も何度もお話を重ねた末に、やはり食器戸棚である、ということを優先しました。
その家電収納をあきらめた大きな理由は、食器をしまうスペースが減ることよりも、収納した家電を使うたびにK さんにとってストレスが生まれそうな気がしたからです。
こういうことって、自分で考えるよりも誰かと話して、だれかの視点で伝えてもらったほうが良いことがあります。私からの視点、ご主人からの視点、そして奥様ご自身の視点。それをぐるぐる回って、今の暮らしを見つめてみて、そうすることでこういう方向が良いのではという道が見えてくるのだと思います。
ただ、Kさんのイメージよりも私の個人的な好みを優先させて頂いた部分も、今回ひとつありました。
それはバックカウンターのデザインです。
金物を使わないシンプルなうすいガラスの引き戸がある戸棚。そういう形を作ってみたかったのです。
そういう気持ちもあって、家電収納にすることについて、Kさんに再考してもらって、さらに、Kさんは、ここを引き戸ではなく、下に向かって開く扉にしたらどうか、というご要望もあったのですが、(引き戸のように凸凹した感じにならずに正面がフラットにできるので。)、いろいろとご相談を重ねたうえ、最初のプランの引き戸の戸棚にさせて頂くことが来たのでした。
うん、格好良い。
ということで、これでプランは決定。製作のほうもシンプルなプランでしたので、順調に進みます。あとは、現場の進み具合に合わせて設置するだけです。
ただ一つ心配だったのは、Kさんのリビングが2階で、設置工事の時期が左官屋さんが壁を塗る前に設置するということでした。
左官屋さんが入る前の現場ですので、外壁を囲う足場は組まれたままです。さらに、搬入できるのは、バルコニーの窓だけ。バルコニーの窓の下は、ちょっとした幅の地面があるだけでそこからさらに1mほど下がって駐車場になってしまう。足場の隙間をくぐって、その高さを持ち上げることができるかどうかが何より心配だったのです。
いよいよ当日です。
さらに当日は、あまりお天気が良くないよう予報・・・。
走り始めはどうにか持ちこたえてくれそうな空模様です。手早く終わらせましょう。
ぶつかる足場のパイプを玄翁で叩いて外していきます。2月の鉄パイプは冷たいのです。どうにか、部分的に足場をばらして、上に2人が待ち構えて、下に二人、中間に補助1人とフリーハンドイマイの全員で持ち上げます。
一番大変だったステンレスカウンター、バックパネルもどうにか無事荷揚げお会ってしばらくすると、ポツポツと。それがだんだんと雪に変わってきました。
ふぅ。
あらかじめ工場で仮組しているので、組み立てて固定していくのはそれほど大変な作業ではありません。組み終わった後に、ガスコンロとキッチン水栓とレンジフードをつけていきます。(だんだんと家具屋さん以上のスキルが必要になってきているのです。)
こうして、夕方になるころに作業は完了。
あとは、現場が落ち着いた頃を見計らって、Kさんと一緒に塗装です。
最近は、このオイル塗装をご自身でされるという方が増えてきました。これはとても良いことだと思っております。
オイル塗装は汚れが付きやすくって、お手入れするのが大変とお思い方がいらっしゃるのですが、時々をイルを塗ってあげることで、それほど汚れは染み込まないものです。でも、身構えてしまうのは、その塗る作業が大変そうだから、という声をよく聞くのです。
でもこのオイル塗装って、それほど大変じゃないんです。塗り終わった皆さんの声を聞くと、「腰が疲れちゃいましたけれど、久しぶりに楽しかったです。」と楽しんで下さる方が多いのです。それに家具がきれいになっていくのって見ているだけでも気分が良いですし。
そうして、自分たちで手を掛けて使っていくことで、オイル塗装の家具はどんどん良い雰囲気になっていくのです。
水で濡れて放っておいたらカビになっちゃうのかしら・・、と塗装する前は心配していた気持ちはもうどこかに飛んで行ってしまいます。濡れたら、なるべく早く拭いて、風とおしの良い暮らしをして、小さなお子さんのいたずらが心配でしたら、お子さんにきちんと何度も伝えることで、お子さんはきちんと分かってきます。お母さんとお父さんの姿を見て子供はいつも真似をしますから。
「濡らしちゃったら、きちんと拭いてね。」
「おかあさん、わたしきちんと拭いたよ。」
「わぁ、良くできたね。えらいね。」
良いことをしてお母さんに褒めてもらえたらちびっ子たちもうれしくなります。
暮らしはそうしてだんだんとできあがっていきます。
そして、汚れが気になってきたら、お父さんの出番です。油汚れを洗剤付きの布巾で拭いて(時には洗ってしまったりして)、さらにはやすりでこすって落として、それから、再びオイルを塗ってあげると新品とまではいきませんが、今までの鈍い輝きがまたぴかっとした良い美しさに戻ります。
そう、洗顔した後にお化粧水で肌に潤いを与えてあげるのと一緒です。
そうしてだんだんと美しさは磨かれていきますよ。
このようなお話をしながら一緒に塗装をしようと思っていたのですが、ちょうど予定していた日に、ひどい風邪をひいてしまい、塗装方法をお伝えして、最初だけちょこっと一緒に塗装をしたところで、ダウン。
すみません
せっかくそのあとにレストランでランチも誘って頂いていたのに・・。
でも、ご主人と奥様とで何だか学生のように和気あいあいとしながら作業をされていました。それを見ているだけでもほっこりしました。(笑)
「キッチン、バックカウンターの使い勝手ですがとてもいいです!
ただ収納面など私自身の課題が多く残っていて(もっと効率よくできるのでは?もっとキレイに機能的に使えるように工夫できるのでは?)、それもまた楽しみでもあります。
少しずつ克服している点、改善の余地のある点、いろいろお見せできればと思います。
また私事ですが、このたび第二子を出産することになりました。
前回塗装でお会いした際は、まだお腹も目立たなかったのですが、次回お会いするときにはだいぶ出ていると思いますので予告を(笑)
来月末より会社はお休みになるため家にいる時間がだいぶ長くなります。今よりもじっくりキッチンに立つ時間が増えると思うので楽しみです。」
お引き渡しが終わったあとには、このように楽しんでいらっしゃる様子がよく分かるお便りも頂きました。
海からの良い風が入り込んでくるこの家での暮らしは、これからご家族が増えてますます楽しみですね。
天板 | ステンレスヘアライン |
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扉・前板 | ナラ板目突板練り付け |
本体外側 | ナラ板目突板練り付け/ナラ板目無垢材 |
本体内側 | ポリエステル化粧板「ホワイト」 |
塗装 | ワトコオイル塗装「ナチュラル」(Kさんが施工) |
天板 | ナラ板目無垢材 |
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扉・前板 | ナラ板目突板練り付け/ナラ板目無垢材 |
本体外側 | ナラ板目突板練り付け/ナラ板目無垢材 |
本体内側 | ナラ板目突板練り付け/シナ合板 |
塗装 | ワトコオイル塗装「ナチュラル」(Kさんが施工) |
ナラ板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン
価格:800,000円(制作費、塗装は施主様施工、設備機器は別途)
ナラ板目のバックカウンター
価格:300,000円(制作費、塗装は施主様施工)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は100,000円から)