暮れなずむ町
「ナラ板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン」
世田谷 N様
design:内田雄介設計室
planning:内田雄介設計室/Nさん/daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:kouhei kobayashi
内田雄介さんから「新しくキッチンを作りたいのです。」というご連絡を頂きました。たしか、内田さんとは1歳違い(私がおじさん)ですので、感覚がとても近いように感じていて、内田さんも素直にいろいろな意見をおっしゃってくださるので、いつもとても楽しく仕事をさせてもらっております。
今回のNさんは「世田谷のちょっとコンパクトなおうちなので。」ということで、どんなにしてゆけるのか楽しみなのでした。
内田さんのアトリエは、稲城の駅から坂をふんわり上ったところにあります。
まさに長く長く日暮れ夕暮れが楽しめる丘の町ですね。
インターフォンを押すと、いつもよりも髪が長くなった内田さんがにこやかに迎えてくださいました。
「こんにちは、いらっしゃい。」
このアトリエに来るのは初めてで、それまでは内田さんのご自宅で打ち合わせをしておりましたので、また新しい内田さんの色が見えてとても新鮮です。
あれこれ見渡していると、Nさんが到着。
「こんにちは、初めまして。」
と良く響く声のNさん。
誰の声だっけ・・・、と考えていた頭に浮かんだのは武田鉄矢さん。
おぉ、これほど似ている声のかたがいらっしゃるとは。
あぁ、もう金八先生が目の前でしゃべっているようにしか聞こえない。
Nさんはとてもタイトなスーツをパリッと着こなされていて、見る限り私たちと同じくらいの世代の方に見えます。
でも、Nさんのお顔からちょっと視線を話して下を向いてメモを書き留めたりしていると、耳に入ってくる声は金八先生だ!(すみません、Nさん。)
でも、その身なりやお話しぶりように、Nさんの家に対するイメージや伝えてくださる意見はとても的確で、また内田さんのスムーズな対応もあって、キッチンのプランはあっという間にまとまりました。
今回、Nさんのお住まいはNさんがお一人でお住まいになる家ということもあって、リズムよくお話がまとまり進んでいったのでした。
でも、おひとりのキッチンだからと言っても内田さんの色は良く出たかたちになりました。
キッチンの工事が完了して、あらためてご挨拶に伺わせて頂いた時も、「何しろ男ひとり住まいだから、あまりきれいにしていなくてごめんなさい。」とNさんがそうおっしゃってましたが、いえいえ、全くきれいなキッチンで、それに揃えられている持ち物もとても魅力的なものばかりです。
Nさんらしさがよく表れています。
そして、魅力的な内田さんの設計。玄関がとてもコンパクトにまとめられているのですが、ふと左を向くと冒頭の写真のように細い洞窟のようにして階段があるのです。視線は自然と上に向かっていき、半2階に上がるにつれてゆっくりと視界が開けていき、コンパクトなダイニングとキッチンが現れるのです。でも、それがとても広く豊かに見えるのは玄関からの導入部のおかげでしょうか。そしてキッチンからダイニングを見ると、さらに半壊上ったところにあるリビングの足元が見えるのです。風が抜けるような感じで自然が導かれて広がりが生まれている。これがおもしろいように気持ちよい。空間の見せかたって不思議です。
良く図面で見ると広く見えたのに実際に見ると狭く感じたり、また、土地で見るとなんだか狭く感じるのに、建物と成った時にはかえって広く感じる。感覚的にきちんと分かるものもあれば、何かを頼りにして初めて測ることができるものもある。人の尺度って不思議です。
そういう空間を見ていて気持ちよくなりました。
キッチンもそう、1年たった今でもきれいにお使いくださっていることに大変うれしくなったのでした。
いつまでも豊かな気持ちでいられるようにNさんと暮らしを支えてください。
天板 | ステンレスヘアライン |
---|---|
扉・前板 | ナラ板目突板練り付け |
本体外側 | ナラ板目突板練り付け/ナラ板目無垢材 |
本体内側 | ポリエステル化粧板「ホワイト」 |
塗装 | オイル塗装仕上げ |
ナラ板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン
費用につきましては、お問い合わせくださいませ。