つたえる楽しさむずかしさ
「ナラとステンレスとグレーポリのセパレートタイプの食器棚のオーダー」
横浜 T様
design:Tさん
planning:daisuke imai
producer:hideaki kawakami
painting:iku nogami
化粧板と木をうまく組み合わせた食器棚を作りたいのです、と相談にいらしてくださったTさん。
今までにない素材の選び方に感心するばかりでした。
その化粧板も白ではなく少し曇ったようで明るいグレー。
そして、カウンターにはステンレスのバイブレーション仕上げを使いたいということでした。
なるほど、そういうきれいな形、ありますよね。
少し懐かしくもあって、どこかヨーロッパの空気を感じるような。
私では全く思いもつかなかった素材の使い方に、聞けば聞くほど勉強になります。
「でも、イマイさん。迷っているんですよ。どの部分にオーク材を使って、どの部分を単色で見せるかって。」
なるほどなるほど。
Tさんのイメージを聞きながらこちらで描いたスケッチはTさんの手によって茶色とグレーで色付けされていました。
これはなかなか難しい。
どうしたら木目が映えて見えるのかって。私も悩みながらもアドバイスをしてみますが、もうこのイメージはTさんが持っているものですので、Tさんも「イマイさん、」って聞いてはくれるのですが、話しかけながらもイメージは決まっていっている感じで、私を見ながらも私の後ろを見てお話ししてくださっているような・・。
Tさんにとっては頼りがいがなくて情けなく見えてしまったかもしれませんが、こういう経験が私にとってはたいへん糧になります。ありがとうございます、Tさん。
こうして、おおよそイメージがまとまって、いよいよ内覧会。
部屋を見ながら、一つずつイメージを確認して行きます。
最近のマンションの内装は流行があるからなのか、建具などが濃い色でさらに鏡面仕上げ、壁が少しくすんだ白になっている内装をよく見かけます。
キッチンのカウンターも御影石をきれいに磨き上げた仕上がりで、どこか華やかな内装にまとまっていることが多いのです。
Tさんのイメージはどちらかというと、淡い色とナチュラルな色を組み合わせた印象で、内装のイメージとは少し離れた感じになります。
その空間に合わせるにはどうしたらよいかな。
あれこれと内覧会の限られて時間の中でイメージを重ね合わせて、ようやく形がまとまりました。
と思ったら、さらに細かい部分についてのご相談が。
ひとつが解決すると、次の形が見えてきて・・。薄明りのなかを何となく進んでいたら不意に進む道がはっきりと見えてきて、次にどちらに進んだらよいかを考えているような、そういう手さぐりに近い驚きやうれしさを感じながら、家具を作るという作業は進んでいくのだと思います。
そういうことってきっと楽しいのだろうなあ。って思うのですが、自分はどこかそういうことが苦手なのです。
先日も44歳にしていよいよ近くのものが見えにくくなってきて、これが老眼なのかなあって思いで、アキコと一緒に眼鏡を見に行ったのですが、自分の思いを伝えるのがなかなか苦手でして、「一応視力を見てもらったら。」とアキコに言われて、言われるがままに娘と変わらないくらいのかわいらしい女性にいろいろと確認してもらったのです。
私が目の前の細かいものだけが見られれば良いということをもっときちんと伝えていればよかったのですが、その方は一生懸命私の普段の視力に合わせたサイズがどのくらいなのかを丁寧に提案してくださったりとても親身になって時間を使ってくださったのですが、結局最初に思っていた度の強いものにすることになりまして。
これが本当に皆さんのイメージに合わせた家具を作っている人物なのだろうかと、不甲斐ない思いだったのです。
でも、皆さんのお手伝いをする側になることにはもちろん自信がありますよ。安心してください。
はい、おかげさまで良いかたちがまとまりまして、無事にHさんのキッチンに魅力的な形にまとまった食器棚が無事に据えられたのでした。
不器用ながらも皆様のかたちをきれいに整えていけるようにこれからも頑張ります。
ナラとグレーのポリとステンレスの食器棚
価格:600,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は15,000円から、取付施工費は30,000円から)
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