ぼくらを育ててくれるひと
「マットホワイト化粧板とナラ節アリ材とコーリアンのオーダーキッチン」
目白 T様
design:Tさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:kouhei kobayashi
コーポラティブハウスという住まいかたの形態は増えてきているようです。
それぞれそこに住む人の特徴が反映された家々が並ぶ集合住宅なのですが、皆さんのいろいろな色があって、そのエントランスを見るだけでも楽しかったりするのですが、それをまとめて施工する会社さんは大変なのだろうなあと思ったりもするわけで、以前にも何度かこのような形態の集合住宅のお仕事をさせて頂いたことがありますが、やはり現場の進み具合が見えないことが多くて、集合住宅の建築工事の中に入っていくのは実は少し苦手だったりするのです。
そのような少し前向きになれない気持ちを持ちながら(持ってはいけないのですが)、Tさんのお話を聞いていたところはありました。(Tさん、ごめんなさい。)
Tさんがご家族みなさんでこちらまでいらしてくださった時にキッチンからリビングの家具までいろいろとお話をさせて頂いたのですが、予算の関係もありまして、お話がしばらく止まってしまっておりました。
これはほかの家具屋さんに依頼されたのかなとちょっと緊張が解けて(すみません、そのくらい苦手だったりして・・。)しばらくした頃、「家全体の費用がだいぶまとまってきまして、やはりキッチンだけでもお願いしたいです。」ということでお話を進めさせて頂けることになりました。
はい、頑張ります。
こうやって、個人邸向けの家具製作に取り組めるようになる以前、父がこの会社を切り盛りしていた頃は、マンションの工事でまとめて数十台の戸棚を作ったりする仕事が多くありました。そういう大きな現場を回しているゼネコンの方々は全体を見回せるくらい芯が強い人ばかりで、なんというかおっかない人が多かったように思えたのでした。
おっかないというか、話が通らないこともあったりして仕事のペースがつかみにくかったりすることが多く、それが今の苦手につながっているのかもしれません・・。
前回、関わらせて頂いたコーポラティブハウスの工事でも、話はきちんと通ったのですが仕事のスケジュールが全く読めなくて、だいぶ時間のやりくりに苦労した思い出もありました。
しかし、今回はTさんとの打ち合わせも奥様の強い思いと今までになかった形になりそうな楽しさでぜひ見事に実現させたいところであり、Tさんもほかの家具は予算の関係で取り止めにキッチン周りだけは、ぜひお願いしたいのです。とご主人も奥様もそう言ってくださったので、うまく進めたいところです。
プランも大方まとまってきて、それぞれの配管の位置も決まり、いよいよ着工となりました。
そして最初の現場での打ち合わせということで、ヘルメット持ってドキドキしながら現場事務所に向かいます。
キッチンにかかわる職方さんたちも集まっていてくださって、打ち合わせが始まったのですが、監督さんも職方さんも皆さん新参者の私にとても丁寧に接してくださる。
現場によっては、「キッチンだけの施工で現場に入るなんて甘っちょろいぜ。」というような感じで接してくる職方さんもいらっしゃるのですが、この現場は皆さん丁寧です。
私はね、本当にいつも感謝していることが、ここまで自分を育ててくれたのはお客さんと現場の職人さんだということ。
家具作りは父に教わったわけですが、14年前にご縁があってスタートしたキッチン作りは、誰かが教えてくれるわけでもない右も左もわからない状態でした。そのような中でも私たちに依頼してくださる皆さん、施工のまどろっこしさを見かねて知恵を貸してくれる職方さん、監督さん。時にはお客さんのなかにキッチンメーカーさんが居たこともありました。
配管の位置って何?食器洗浄機って何?キッチンって何?そんな私たちに手を差し伸べてくれた人たちに恵まれたからこそ、今があるんだなあって、つくづくありがたいなあって思うのです。
そんなことをこの打ち合わせで思ったのでした。
良い現場です。
そんな魅力的な現場でも立地がなかなか複雑。
今回のTさんが住む集合住宅が建つ場所は、車に乗らない人たちはとても魅力的で静かなところなのですが、私たち施工者にとってはなかなか現場にたどり着きにくい場所でもありました。
小学校が近い住宅街でしたので時間帯の通行制限があって、うまく車で乗り込まないと、搬入が大幅に手間取っちゃう。
私だけが朝礼に出るために早朝から出掛けて、みんなは通航制限が解除される少し多し時間帯から来てもらって、ほかの職人さんが搬入するまでの間に手際よく下ろして運び入れて。
設置自体は、キッチンのある部屋が大きな広いワンルームになっていたので、作業は比較的進めやすかったのですが、やっぱりいろいろな業者さんが出入りするから普通の戸建て住宅やリノベーションと違って大きく気を使います。
それでも、こうしてそれぞれの職方さんのご協力もあって、無事にキレイに納めることができたのでした。
「ブログの記事見ました。
2年越しでこうして形になって感激ひとしおです。
私の優柔不断もあり、イマイさんには色々お手間をおかけしたのですが、期待通りのキッチンでとてもうれしいです。
家作りを通して、キッチンが家の中心で自分達がどう暮らしたいかにも直結する大事な場所だと痛感しました。
その場所をイマイさんにお願いできて良かったです。
ずっと賃貸のキッチンだったので、自分がオーダーしたキッチンを使うのが楽しみです。」
ありがとうございました。
しばらく経ちました頃にご挨拶に伺わせて頂きたくて連絡を取らせて頂きました。
「ご無沙汰しております。
お陰様で大変充実したキッチンライフを過ごしています。
先日からこのキッチンをちゃんと使いこなせるようにお料理教室にも通い始めました。
友人や家族を新居に呼ぶ機会が何度かあったのですが、一番褒められるのがイマイさんに作って頂いたキッチンです!
イマイさんには長い間付き合って頂き、コーポラティブハウスという制約の多い中で作業頂き心苦しかったのですが、お願い出来て本当に良かったと思っています。(キッチンは家作りの中での成功ポイントでした。)」
そうですね、最初のご相談から数えると丸3年は経っておりましたものね。
その間に150通近いメールのやり取りをしたのだと思うと長かったなあと思うわけです。(笑)
でも、そのひとつひとつが今こうして力になっているのだなあ、ともあらためて思うわけです。
そして、Tさんにこうして喜んでもらえて、本当に緊張が解けてひと安心できたのでした。
天板 | コーリアン「グレイシアホワイト」/吉本産業ハイパーシンク「HS800ヴァニラアイス」 |
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扉・前板 | ナラ節アリ無垢材/ナラ節アリ突板 |
本体外側 | アイカ工業 カラーフィットポリエステル化粧板「RK-6000」 |
本体内側 | ポリエステル化粧板「ホワイト」 |
塗装 | オイル塗装仕上げ「ホワイトふき取り」 |
マットホワイト化粧板とナラ節アリ材とコーリアンのオーダーキッチン
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